

『FE 24-70mm F2.8 GM』や『FE 70-200mm F2.8 GM OSS』と同タイミングで登場したGマスター初の単焦点レンズ『SONY FE 85mm F1.4 GM』が約8年の歳月を経て待望のリニューアル。『FE 85mm F1.4 GM II』はレンズ構成は8群11枚から11群14枚と変わり、超高度非球面XAレンズが2枚に増え、コーティングが「ナノARコーティング II」に改良されました。従来機種から約178gも軽い「約642g」と約20%の軽量化と約13%の小型化も実現しています。そして進化したAF性能。最適化された2基のXD(extreme dynamic)リニアモーターを搭載し、従来比で最大約3倍までAFを高速化。動体追随性も最大約7倍まで向上したということです。MTF曲線を見て解像性能に大いに期待をするとともに、従来機オーナーにとってはAF性能の向上も気になるポイントではないでしょうか。「α9 III」の最高約120コマ/秒の高速連写にも対応していますが今回は解像面を見てみたく「α7RV」との組み合わせで撮影を行ってきました。ぜひご覧ください。
頭上を見上げると目を細めてしまうくらいの眩しさ、光に透けたメタセコイアの葉っぱたちを捉えることが出来ました。ボディ内の周辺減光機能をONにすると、開放絞りから周辺減光もなくとても優秀です。

まだまだ夏の暑さが残ります。絞ってから遠景をどれだけ解像してくれるのかを見てみました。モクモクと立ち上がる雲の輪郭を立体的に見せてくれました。撮ったあとに気付きましたが彩雲が出ています。開放絞りから周辺減光がほぼないレンズですが、空の青の深さを忠実に再現してくれています。

奥の方に歩いていく被写体もオートフォーカスがしっかりと掴んでくれました。超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズ2枚、ED(特殊低分散)ガラス2枚を採用しており、諸収差が効果的に抑えられています。そのおかげか嫌な色付きなどもなく、被写体の立体感もあり、クリアに見えます。

F2.8に絞ってビル群を撮影してみました。偶然ながら電線や多様な格子状のものが盛り沢山で『FE 85mm F1.4 GM II』の解像力の高さを見るのにちょうどいいカットになりました。

テーブルクロスにかかるしっとりとした光の表現力が実に見事です。床を照らす光との描き分けがしっかり出来ています。個人的には『FE 85mm F1.4 GM II』の推しポイントです。描写性能においてもさらに磨きがかかった証明のように思います。

最短撮影距離は従来モデルと同じ80cm(MF時)。サボテンの影から出ている小さな芽にピントを合わせました。ピント面も鮮明で、開放絞りでも産毛まではっきりと確認できる解像力と、とろけような自然なボケ描写です。「リニア・レスポンスMF」はタイムラグが少なく応答性に優れており、ピント合わせもスムーズに行えました。

照明の光をテーブルに反射させて鏡面になるように撮影したカットです。少し伝わりづらいポイントなのですが、ピント面の少し丸みのある金属の厚さと光沢感に惹かれました。

少し日が傾き始めてきた時間帯。茂みはすこし薄暗くなってきた中、斜光に照らされたマリーゴールドを撮影しました。強めの光と花との組み合わせでは彩度が高くなりすぎる傾向がありますが、そんなこともなくかといって色が薄すぎることもなく。絶妙なバランスで写し出してくれました。

もっとしっかりした光が当たったカットもありましたが、あえてこちらを選びました。この量の光と当たり方、開放絞りでこれだけ解像してくれるとは恐れ入ります。

椅子のパイプに当たった光をしっかりと捉えます。撮影していると「あの光を表現してくれたらいいな」とシャッターを切るときがありますが、期待値以上の結果を出してくれます。本来レンズとの相性というか個性を理解するまでには時間がかかると思うのですが、おそらくすぐに信頼できるレンズになると思います。

回転している最中のメリーゴーラウンドの女神様が真横にきたときのタイミングで撮影しました。暗くなってきた環境でもオートフォーカスがしっかり効きます。被写体の背景が割とごちゃっとしていますが、立体感もあって綺麗にまとめてくれました。前ボケになっている二頭の馬も自然な感じにボケてくれているのでノイズになりません。

窓の区切りごとに空のグラデーションが変わるのと、その少し手前の位置でスポットライトに照らされて人物が浮かび上がってくるのが面白かったので引きでまとめてみました。ライトの位置からずれている人はシルエットになっているのもユニークです。多めの情報量をまとめるには引いて撮る必要がありますが、中望遠画角としてはとても応用の幅が効くレンズですし、構図を詰めながら一歩一歩調整をするのはある種のゲームをしているような感覚にもなれるのでぜひ色々と楽しんでみてください。
射止める中望遠
これぞ正統進化。その進化を待っていた。というユーザーは多かったと思います。解像力やボケ味などさらに磨きのかかった画質の良さにも感動するのですが、やはり何よりスピーディーで快適な撮影ができることに、進化への賛辞を贈りたいです。『FE 85mm F1.4 GM II』で被写体を撮る度に、そのレスポンスと写りの良さに使っているあなたの心さえ射止められてしまうはず。『FE 85mm F1.4 GM』を使用されている方へのおススメはもちろんのこと、これから中望遠レンズを使ってみたいと思っている方にもぜひおすすめしたい一本です。ぜひ一度使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff