タムロンから発売されているAPS-Cサイズ用の大口径超広角ズームレンズ『TAMRON 11-20mm F2.8 Di III-A RXD』に待望のキヤノンRFマウント用が登場しました。既にSONY Eマウント用、FUJIFILM Xで高い評価を得ている本レンズですので多くを語ることはありませんが、新たにAF/MF切り替えスイッチと、より簡単にファームウェアのアップデートを可能にする「TAMRON Lens Utility」に対応するなどの新機能が追加されています。更にバージョンアップした便利で優れたレンズを約3250万画素の「EOS R7」との組み合わせで撮影してきました。これまでのシリーズ同様、小さなバッグにも収まる優れた携帯性のレンズの写りをぜひご覧ください。
35mm判換算で17.6-32mm相当の画角が楽しめる超広角ズームレンズ。センサーサイズの関係で他の2マウントより望遠端で2mm程大きくなりますが、見た景色を広大に切り取ってくれます。
紅葉の森の中から眩しい池の方へレンズを向けましたが、大口径の広角レンズでありながら周辺減光はほとんど見られず、広い画角を目一杯使える清々しさを感じます。
広角端での最短撮影距離は15cm。望遠端でも24cmまで寄ることができます。広い画角を生かして大きなボケの背景を重ねれば、一般的な中望遠マクロとは違った近接撮影が楽しめます。
細い枝の紅葉はかなり風に揺られていましたが、静かで高速なステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載したレンズのAFはとても機敏で、動きの早い被写体を得意とする「EOS R7」との相性の良さも感じました。
何度も訪れている洋館も本レンズのパースペクティブ効果によりこれまでとはまた違った仕上がりになりました。斜めに伸びるそれぞれの直線に歪みは無く、気持ちの良いワイド感が得られます。
明るい広角レンズは室内撮影にとても重宝します。窓から差し込む強い西日がフレア気味に写りましたが陰影の再現がとても上手で、影になった部分の装飾もしっかり描いてくれました。
寒い季節に咲く十月桜も広い画角に太陽と一緒に収めることで暖かい雰囲気の写真に仕上がりました。透ける花びらや光条の描きも綺麗ですし、質感描写もさすがの一言です。
隅々まで光を上手に取り込むので被写体にグッと寄っても嫌な影が出にくく近接撮影が気軽に楽しめます。ボケも美しく、ファインダー内に集中しすぎると思わず被写体に触れてしまいそうになりました。バンパー代わりにフード装着はもちろん、保護フィルターのご用意もお忘れなく。
キヤノンとのライセンス契約の下で開発・製造されたレンズですから、ボディの性能も十二分に引き出している印象です。ボディに搭載された手ブレ補正がスローシャッター時のブレをしっかり抑えてくれました。VC(手ぶれ補正機構)は搭載されていませんが、ブレなく点光源を捉える画を見るとさすがブレに強いタムロンレンズだなと思ってしまいます。
暗くなるまで1日撮り歩きましたがこの携帯性の良さからくる機動力の高さは素晴らしいの一言。人混みの中で見つけたスノードームもサッと収めることができました。もちろん正確で素早いAFによる機敏さもあってのものです。
赤煉瓦の東京駅が黄色光でライトアップされていたので露出と色温度を低めに撮影すると、ハイライトが抑えられ建物の細部がよりくっきり現れ、肉眼では見えなかった部分までしっかり描く高い解像力が確認できました。明暗差も被写体の細かさを苦にしない高いポテンシャルも見逃せません。
近接もダイナミックに
広大な景色から近接撮影までシーンを選ばず幅広く活躍してくれました。なにより約340gという軽量さがAPS-Cサイズのボディとのバランスも良く撮影をより快適なものにしてくれます。
周辺減光もなくズーム全域で隅々までシャープな描写は、高精細なデジタルカメラの性能を最大限に引き出してくれています。タムロンでは初となるキヤノンRFマウントのレンズですが、この好相性を実感したら次のレンズも楽しみになってしまいました。皆様もぜひお試しください。