
今回はシグマより発売される『 SIGMA Sports 200mm F2 DG OS 』のフォトプレビューをご紹介いたします。「200mmF2」圧倒的スペックを誇る望遠レンズがついにシグマから発表されました。 通称ニーニーとも呼ばれる望遠レンズ、数多のレンズが存在する現代においても、歴代で数えるほどしか現れていない大口径望遠。今回登場する『SIGMA Sports 200mm F2 DG OS』は、フルサイズミラーレス専用設計として世界初の1本となります。リニアモーターHLA(High-response Linear Actuator)採用の高速AFと6.5段の手ブレ補正効果。外装には太陽光を吸収しづらい遮熱塗装を採用し、Sportsライン仕様の耐候性能であらゆる環境での撮影に対応しました。これだけのハイスペックを約1.8kg(1,820g)と2kgを切る質量で実現させたというのが非常に驚きです。実は筆者も実際に「200mmF2」のレンズを使うのは今回が初めて。「200mmF2」というレンズがどんな世界を見せてくれるのか、個人的にも非常にワクワクしながら撮影にいってきました。ぜひご覧ください。

撮影を開始してから数分。アフリカクロトキの顔の皺、そして嘴のざらりとした質感までが、凄まじい解像感で描かれていて衝撃を受けました。加えて、前景の枝による自然な前ボケ、背景の美しい玉ボケ、胴体にかかる葉っぱの影の自然な階調表現。全てが、非常に高いレベルで調和しています。このレンズの実力を確信し、これからの撮影に胸を躍らせるには十分のカットでした。

じっとしていたコアラが、不意に動き出した瞬間。暗い室内、とっさの出来事でもISO感度をいたずらに上げることなく、1/500秒という高速シャッターを確保したまま、AFも瞬時に合焦し写し止めることができました。そしてこれがクロップ後の画だということ。クロップしてもこの毛並みの質感とディテール。レンズの持つ圧倒的な解像力を実感します。

動きが止まったかと思えば、この表情。まるで悟りの境地に達したかのようなコアラの真正面の視線に、思わず笑みがこぼれてしまいました。左がクロップなし、右がクロップありの画角です。クロップなしのカットではピント面の圧倒的な描写力はもちろん、前景・背景が美しくぼけることで、コアラの存在感が際立っています。この立体感は、個人的にとても好みです。そしてクロップしてもなお、この精細さ。どちらも惚れ惚れする写りです。

レンズ構成は14群19枚。そのうちFLDガラス2枚、SLDガラス2枚と高性能なレンズを惜しみなく使っています。ホウオウボクという燃えるような赤い花をクロップで撮影しました。光を浴びて輝く花びらの鮮やかな発色、そして葉の一枚一枚までを描き分けるシャープさ。そのどれもが見事で、レンズの持つ基本性能の高さを、改めて実感させられた一枚です。

しっとりとした、実に色気のある1枚。ハイビスカスの赤がより濃く、色が出るように露出を少しアンダーに調整して撮影しました。最短撮影距離は170cm。被写体にぐっと寄ることで、主役であるハイビスカスの花びらの質感をシャープに捉えつつ、背景を滑らかに溶かすことができました。普段はあまり近寄らないレンズだとしても、いざという時にこれだけ写る。その信頼感が、撮影者にとっては心強い味方です。

被写体は、フェンスに立てかけた1台のロードバイク。フェンスと背景との分離がとても良く出来ていて、主役であるロードバイクの存在感がぐっと引き立ちます。縦構図での中距離の撮影でも立体感のある心地よい1枚に仕上がりました。

鋼板の継ぎ目や塗装の質感を忠実に描いてくれました。特に数字の「7」の辺りの描写が凄まじく、今まで体験してきた中でもまさに最高峰の描写性能だと感じました。

次に、F8まで絞り込んで遠景の解像力を見てみました。夏の陽炎が出ている条件下ですが、それでもなお、圧倒的な解像力。手前の船の細かなディテールから、高層ビルの窓枠1本1本まで描き出されており、思わず「ここまで写るのか」と声が漏れました。クリックすると原寸サイズの画がご覧いただけますのでぜひご覧ください。

この1枚は、長い1本道の中央に人物がいると想定し、ピントを合わせました。強烈な圧縮効果により、前後の空間がぐっと凝縮されています。その中で、シャープに切り取られたピント面と、滑らかにぼけていく前景・背景との対比が見事です。「何をどう撮っても楽しい」と感じさせてくれるのは、あらゆる性能を突き詰めたレンズだからこそ。特に、このレンズによるポートレート撮影で数々の傑作を生み出すだろうと、予感させられます。

夕暮れの光が反射し、きらめく水辺での撮影。逆光の中でも歩いていく人物のシルエットに迷いなく合焦してくれました。手前の草むらが、輪郭が溶けるような柔らかい前ボケになり、背景の水面と合わさって独特な描写になりました。

夜景撮影でも6.5段という強力な手ブレ補正のおかげで手持ち撮影が可能です。1/100秒の手持ち撮影は安定して撮影できました。そして開放絞りでの圧倒的な描写力も衝撃的でした。レインボーブリッジを吊るす無数のワイヤー、そして奥に見えるタワーの鉄骨まで見事に解像してくれています。ちなみに、この後他のシーンで試した1/50秒でも全くブレずに撮影できました。その実力、まさに圧巻の一言です。
世界初フルサイズミラーレス用200mmF2
初めてこのレンズを手にし、ファインダーを覗いた瞬間の高揚感。そして「これは凄いかもしれない」という直感に間違いはありませんでした。筆者にとっての「200mmF2」という初めて体験するスパイス、その個人的な感動を差し引いても、紛れもなく素晴らしいレンズです。ボケ味や立体感に惹かれたのはもちろんですが、解像力の高さには本当に驚かされました。ポートレートや室内スポーツといった得意分野だけなく、この圧倒的な描写力は、あらゆるジャンルで新たな表現の可能性を切り拓いてくれるでしょう。このレンズでしか、撮れない世界がある。200mmF2の世界、ぜひ一度、この感動を体験していただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff