キヤノンから『RF24mm F1.8 MACRO IS STM』が発売されました。開放F値1.8の大口径で0.5倍のハーフマクロという、いかにも幅広い撮影が期待できるこの広角レンズ。その機能を持ちながらもコンパクト設計となっているので、発売前から人気があるのも頷けます。興味を持てば目を近づけてじっくり見たくなるのが人の常。当レンズは14cmまで寄れますから、人が本能のまま動くのを邪魔しません。普通のレンズならピントや画角の都合で「ああ、下がらなきゃ」となるシーンでも、また「暗いからシャッタースピードを落とさなきゃ」となるシーンにおいても、そういった思いをしなくて済むのでストレスフリーなのです。自分が好きなように動けることの快適さは何にも代え難く、童心に帰って目を輝かしながらカメラをあちこちに向けることができるでしょう。楽しく撮影した作品は撮影時の思い出とともに宝物となります。『EOS R5』と組み合わせて撮影してきました。どうぞご覧ください。
海を少し眺めたあと、新しくオープンした丘の上のカフェへ。何ヶ月前だったか、従業員募集の貼り紙を見てカフェができることを知りました。その日からオープンを楽しみにしていたのです。「広角」も「大口径」も「ハーフマクロ」も、どれもテーブルフォトにうってつけの要素です。どう撮ろうかと迷いながら待っていたら、印象的な美しい葉が乗ったパスタが到着して、この葉を主役にしようとすぐに心が決まりました。葉からお皿までの短い距離でも当レンズならたっぷりとしたボケ味を得ることができます。座ったまま撮影できるのも嬉しいポイントです。
歴史ある洋館の階段に陽が射し込みます。床に当たった光が壁の上部へ反射しているのを見て、まるでピンボールのようだと思いながら、次にどこへ反射しているのかとその先を目で探します。
タイプライターで打たれた日付は1928年のもの。もちろん打ったのは近年でしょうが、写真に精細に写った紙の凸凹や色の具合などから、もしかしたら本当に100年近くこの場所にあったのではないだろうかなどと夢想します。
個人的には何度も撮っているこの螺旋階段ですが、毎回光も違いますし撮り方を変えているので飽きることがありません。どう撮ればいいのか、いつか正解が見つかるかもしれませんし、そもそも正解なんてないのかもしれません。写真を撮る人にはそれぞれひとつふたつそんな被写体があるのかもしれません。
長かった工事期間から明けて、ついに街のシンボルであるこのタワーがリニューアル。この日は翌日のリニューアルオープンに備えて、イベントの準備が行われていました。きっと毎晩ライトアップして、街の人々の心にもあかりを灯してくれることでしょう。
特別に華やかな花というわけではないと思うのですが、夕方の黄みがかった光を受け、まるで金色に輝いているかのように見えてシャッターを切ります。最短撮影距離付近まで寄りました。そのおかげでF5のわりに大きなボケ味を得ることができ、ピントを合わせた花を主役たらしめてくれました。後方の丸ボケも面白い仕上がりに。
上から見ると、道行く人がそれぞれ影絵を作っていました。何カットか撮った中で、自転車が通ったときの写真も影が面白かったのですが、右上の方のオレンジのワンピースが発光しているようで素敵だったのと、中央で歩いている方の大股な感じが気に入って、こちらの写真を採用としました。この世とは別にもうひとつ影でできた別の世界があるかのようです。
線路の端にあるこの駅は、始発駅なので出発までしばし待つことがよくあります。そんなときは駅をじっくり見渡してみるのですが、チューブ状になっているこの構造はまるで海外旅行に来たかのようでもあり、何度見ても実に見事な造形をしています。改札を通ってエスカレーターでホームに降りるとき、この景色が突如眼前に顕れます。
自然体を包容してくれるレンズ
「もし旅に一本だけレンズを持っていくとしたら」──。旅のレンズはいろいろな要素を求められるのでよく語られるテーマですが、当レンズはその強力な候補になると思います。まず第一に描写性能に妥協がないこと。帰って写真を見てがっかりすることがありません。そして広角ですが広角らしい表現しかできないレンズではないのも魅力です。小型・軽量ながらに、大口径ならではの美しいボケ味を楽しんだり、早く動くものを捉えたり、狭い室内や大きな建築を撮ることもできて、ディテールを精細に写したければ自由に近寄ってハーフマクロで大きく写すことができるのです。この日の撮影では暗いシーンに出会いませんでしたが、レンズ単体でも5段分の手ブレ補正が付いており、例えば今回と同様に『EOS R5』と組み合わせると手ブレ補正は6.5段分まで上昇します。夜にスナップを撮ることもあるでしょうから、そんなときも心強いです。弱点が思いつかない『RF24mm F1.8 MACRO IS STM』はまさに死角なし。おすすめです。
Photo by MAP CAMERA Staff