ソニーからAPS-C用広角レンズ3本が同時発売されました。3本のうち『E PZ 10-20mm F4 G』と『E 11mm F1.8』につきましては先だってご紹介しましたので、今回は『E 15mm F1.4 G』のフォトプレビューをお送りします。
『E 15mm F1.4 G』は35mm換算22.5mm相当の大口径広角単焦点Gレンズです。Gレンズならではの高い解像性能と美しいボケ味を実現しています。開放F値1.4という大口径にもかかわらず、全長7cm足らずで重量もわずか219gと小型軽量なので、静止画でも動画でもとり回しがよく携行性にも優れます。15mmという画角、そして17cmという最短撮影距離を活かしたダイナミックな構図も得意とあって、風景やスナップをはじめ様々な撮影で重宝することでしょう。さっそく街で撮影してきましたので、どうぞご覧ください。
よく見かけるような葉っぱに、見慣れない実がついていました。ブルーベリーほどの大きさで、柔らかなトゲがついています。淡いグリーンでなんだかここだけ独立したサボテンのよう。さすがGレンズ、実の表面の質感まで見事に捉えてくれました。
街中にある綺麗な色をしたドアが気になります。たまに2階や3階の壁についていることもあり、あれは何のためなのだろう、フェイクだろうか、などと考えるのが好きです。一般的にドアは開けるとその先があるものですから、どんな景色が広がっているのかつい知りたくなってしまうのだと思います。
腰をかがめないと入れない小さなドアをくぐると、チェシャ猫が迎えてくれました。立体絵画風のオブジェで、その前には階段があります。階段をのぼるなどしてどの角度から見ても、チェシャ猫は見つめ返してくるから不思議です。
おもしろい位置に窓があるお店がありました。上半分だけに日が当たっていたり、前には可愛らしい籠のついた自転車が置いてあったりして、心惹かれてシャッターを切ります。実はこちらはカステラ専門店。ひとつ買って帰りおいしくいただきました。
空や木を見上げるのが好きだという人がいます。美しいと思ったり、季節を感じたり、変化を繊細に感じ取るその様がなんだか素敵に思えて、筆者も真似をして見上げるようになりました。まだ単にやっているだけですが、真似るだけでも目の前のことでいっぱいになりがちな心に余裕が生まれるように思えます。
そして足元を見れば枝や葉が影を落とし、幾何学的な形をしたシンプルな板に複雑な模様を描きます。写真に奥行きをもたせ、手前が明るく奥が暗いというメリハリがつく角度を探しました。
広角レンズの画角を活かし、ビルの屋上から広い景色を写しとります。360度どの方向を撮ってもいい中でこの方角を選んだのは、手前に公園の芝生が広がり、右奥には新宿の高層ビル群があって対比が面白かったからです。空を主役に据えて見えるままの景色を切り取ります。
かつて活躍していた古い電車。外光が木の床に反射する様が魅惑的です。板の継ぎ目がまっすぐに伸び、遠近感を醸し出します。アンダー目にすることで、静寂をも一緒に写しました。
“G”の描写がダイナミックに踊る。
ひとことで言うならば、自由を堪能できるレンズ。使い手側が制限されることがないのが魅力です。精細な画質、美しいボケ味、身軽になれる携行性、見た景色をありのまま写すこと。このレンズがなんなくこなしているそれらの自由は実は得難く、いかに『E 15mm F1.4 G』が優秀であるかを体現しています。また細かい使い勝手がいいのも嬉しいポイント。絞りリングがついているのは直感的な操作に向いており、それもストレスフリーのひとつとなっています。素早く静かなAF、そしてフォーカス時のブリージングの抑制により、静止画・動画問わず活躍が期待できるでしょう。毎日カバンに忍ばせておき、いつでもどこでも確実なシュートを決めてくれる。そんな使い方で幅広い被写体を狙ってほしい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff