トキナーが展開するミラーレスカメラ用の交換レンズ「atx-m」シリーズに、新しい一本が追加されました。その名は『Tokina atx-m 11-18mm F2.8E』。atx-mレンズとして初のズームレンズとなっています。
フルサイズ換算で16.5mm~27mmという超広角側の画角域をカバーしながら、開放F値はF2.8を実現。これだけのスペックにもかかわらず質量はわずか335gと非常に軽量です。また、広角端で最短撮影距離が19cmと近寄っての撮影も得意。軽量なのを活かして様々なシチュエーションを撮り分けることが可能です。今回は、同じく軽量コンパクトで相性の良い『SONY ZV-E10』と組み合わせて撮影を行いました。その写真をぜひご覧ください。
10月といえばハロウィン。行楽地やアミューズメントパークだけでなく、通勤途中の街頭など身近なところでもカボチャのモニュメントを見かけることがある季節です。ビビッドなオレンジ色はまさしく「秋」という印象を受けるので、この時期の被写体にはもってこいです。坂道にランダムに並んでいるカボチャ達の列を見下ろしながら、流れを感じる画角で一枚。手前・奥のボケ味の自然さも見て取れます。
そびえたつ鉄塔の下に立ち、まっすぐに上を見つめます。長きに渡りこの地に立ち続けるため、綿密な計算のもと設計されたであろうデザイン。左右上下対象の美しさが超広角でより鮮明に伝わってきます。トキナーレンズといえば青の美しさに定評があり、赤い鉄塔との対比も楽しめます。
海辺にやってくると、錆をまとった金属があちらこちらに見つかります。私はこういった被写体がめっぽう好きで、見かけるとついつい写真に収めたくなってしまいます。最短撮影距離を意識して、グッと寄りながらシャッターを切ります。光を受けたコントラストの高い一枚に仕上がりました。解像感の高さも同時に見ることが出来ました。
水面にキラキラと反射する太陽光の美しさ。それを、直接ではなく画作りの一要素として画面に収めたくなり、ボケ味の中に潜めることにしました。素直で柔らかいボケ味は非常に好印象で、ストーリーを感じさせるような映像を撮りたい方に大変オススメできると感じました。
夕焼けが美しい季節。この海辺の公園はお気に入りの撮影スポットで、カメラを持っていない時でもふらっと訪れることがあります。散歩を楽しむ人、釣りに打ち込む人、海を見ながら思案に明け暮れる人。いろいろな人間模様が垣間見えるこの場所でスナップ撮影を行いました。ふと見上げた時に橋を渡る人と日が重なり、シルエットで目に飛び込んできました。この瞬間を逃したくない、と即座にカメラを構えました。AF性能が高く、数秒の物語を逃すことがありません。
夕焼けの時間は長いようで短く、刻一刻と変わる色の濃淡やグラデーションを味わいながら一番撮りたい瞬間が訪れるのを待ちます。もう少しでビル群の奥に隠れてしまう手前、ここしかないとシャッターを切りました。やや絞り気味にすることで波の複雑なディティールまでしっかりと切り取ってくれています。この日の最終カットでしたが、満足できる一枚です。
ひらめきをもたらす超広角ズーム
まるで純正レンズかのようにしっくりとくるサイズ感。『SONY ZV-E10』も相当コンパクトな一台ですが、そのメリットを引き立ててくれるのが『Tokina atx-m 11-18mm F2.8E』です。たった1mmが大きく印象を変える超広角域。撮影前は「たった7mmしか差がないなら、写真のバリエーションを作るのが難しいな」と思っていましたが、そんなことは全くありませんでした。ボケ味の表現力、寄ることで被写体をどうとらえるのか。その機動力を活かしてあれこれとアングルを模索しているうちに「この画角が良い!」というひらめきが訪れるのです。自由自在な撮影で、心を込めた写真表現を。ぜひ一度、お手に取っていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff