8K EOS MOVIE
「EOS 5D」シリーズはプロ・アマ問わず多くのユーザーに愛されてきたキヤノンを代表するモデルの一つ。その「5」の称号を与えられたミラーレスカメラ『EOS R5』が2020年7月30日に発売されました。今回は発売前から話題となっている8K動画にフォーカスした撮影レポートをお届けいたします。フルサイズミラーレス初の8K動画は筆者にとっても未知の領域、いったいどんな画を出してくれるのでしょか。
撮影の舞台は、神奈川県の三浦半島西部に位置する「葉山町」。さまざまな景色を全編8Kで撮影しましたので、ぜひ4K画質以上でご視聴ください。
8Kともなれば約3540万画素。静止画同様にレンズ性能も問われますが、最新設計のRFレンズとの組み合わせによる高精細な映像は見事です。8K映像は“自分がきれいだと思った感情を、そのまま映像に残せる”そんな第一印象を受けました。
今回の撮影機材
『EOS R5』は8KRAWでの動画撮影も可能ですが、今回は10bit/ALL-Iを選択しました。カメラメーカーによって設定に「8bit/10bit」の選択項目がありますが、『EOS R5』では通常設定時の動画記録は8bitとなり、Logを選択すると自動的に10bit記録に切り替わります。Log撮影ではカラーグレーディングが必須となるので8bitでの収録を望む方は少ないと思いますが注意が必要です。
馬の細かい毛並み、質感や艶まではっきりと映しこんでいます。こういった細かい描写がリアリティある映像には欠かせません。もちろん、8Kだからと言って身構える必要はなく、構図を決めてRECボタンを押すだけです。ここまで簡単だと撮るだけでも面白く、次はこの画質で何を撮ろうかとワクワクさせてくれます。『EOS R5』の登場まで8Kと言えば業務用シネマカメラで撮影するものだと思っていましたが、写真機でもこういった映像を簡単に撮れるのは進歩の早いデジタル技術の恩恵でしょう。
神奈川県には数多くの海岸がありますが、ここ葉山・一色海岸の美しさはCNNが選出した「今年こそ行きたい、世界の厳選ビーチ100」にもランキングされるなど、ここからの海の景色は格別です。海の反射やうねり、躍動感まで伝わってくる見事な描写。足場が悪く、カメラの後ろに立って撮影の出来ない場面もありましたが、バリアングル液晶を搭載したことで様々なポジションでの撮影を可能にしてくれました。
より精細になった新センサーは解像感だけでなく、トーンも良くなった印象です。12ストップの再現域を持つCanon Logと合わせることで、日の沈むドラマティックな風景の雲のグラデーションや空の色合い、ありのままの美しさで捉えることができます。
新次元の映像体験をEOSと共に
8Kの圧倒的なリアリティで次元の違う画を見せつけた『EOS R5』。 キヤノンと言えば2008年に発売された「EOS 5D Mark II」で現在に至る一眼動画ブームを席巻したメーカー。その後、他社からも動画性能に強いモデルがリリースされてきたこともあり、キヤノンの動向を注目していた方も多かったと思います。そんな中ベールを脱いだ『EOS R5』は4Kでも6Kでもなく8K、RAW動画にも対応するなど他社の追従を許さないスペック、正直驚きました。もちろん、動画ユーザーの中にも「4Kで十分」と感じる方も多いかもしれません。8Kはデータ量も多く、編集環境も要求されます。それでも一度この画質を手にするとそんな事は気にならなくなります。まずは難しい事は考えず、8K撮影の出来る唯一のミラーレスカメラと共に、新たな映像の世界をお楽しみ頂ければと思います。
Movie by MAP CAMERA Staff