約4年の歳月を経て、遂にEOSユーザー待望のEOS 5D後継機とも呼べる機種が登場しました。その名は『Canon EOS R5』。ミラーレス機となった本機には歴代のEOSシリーズで培ってきたプロ用カメラのDNAを引き継いだだけでなく、他に類を見ない革新的な撮影性能が採用されたカメラへと仕上がっています。今回のKasyapaはその『Canon EOS R5』で早速撮影を行ってきました。タイトな撮影スケジュールではありましたが、写真から本機の魅力を感じていただけたら幸いです。
手に馴染む丸みを帯びたボディと直感的に理解できるEOSの操作系、そしてファインダーを覗いた時に感じる被写体の空気感。右手親指の位置には馴染みのある電子ダイヤルも戻ってきました。撮影前に本機を手にした時「そう、コレだよ。」と思わず感動してしまいました。私たちが待ち望んだEOSがここにあります。
向かいのドアにかかる僅かな照らしが気になり、撮影してみたところ私の意図どおりの画を撮ってくれました。解像も申し分ありません。自分が感じた光を正確に捉えてくれるカメラです。「期待以上のものを魅せてくれる」という要素も大事ですが「期待に応える」カメラであることは現場においてとても心強いでしょう。
美しい曲線が川の流れのようにも見えました。ありのまま全てを写すことが写真の一つの役目だとするなら「自分が美しいと思った構図で見せる」というのも写真だからこそ出来ることだと思います。ISO2500という高感度でも素材の質感を損なうことなく表現できるというのも凄いことだと思います。
壁にかけられたテラリウム。建物の陰になり、あるのは僅かな光とガラス瓶への反射。ISO感度はなんと5000。吊るし紐など若干ディテールこそ損ないますが、写真としての立体感は失っていません。ノイズの少なさに関しても素晴らしいの一言です。
ハイライトからシャドウに繋がるトーンがとても繊細だと感じました。アンティーク調の椅子ということもありますが、被写体が持つ魅力を余すことなく伝える描写力。しかも今回はRAW現像ではなくJPEGを調整しています。それでもこれだけの情報量があると考えると本格的に使うのが楽しみで仕方ないカメラです。
驚いたのはピントの正確性です。これだけ細い葉っぱの先にしっかりと合うAF。こうして一見するだけでピントが合っていると実感できます。今回改めて実感したのはRFレンズのクオリティの高さです。70-200mmは本当に素晴らしい解像力で、携帯性も抜群です。勿論ここまで線の美しい画を見せてくれるのは『Canon EOS R5』の実力も加味されてのことでしょう。
実はこの写真はマニュアルフォーカスで撮影。約576万画素のファインダーは想像以上にピントの山が掴みやすいのです。勿論ファインダーの遅延もほぼ感じません。切りたいと感じたその瞬間を正確に捉えてくれました。あえてMFで撮る必要はないと思われるかもしれませんが、こういった小さな信頼の証明が「5」らしいと感じました。
さあ、ここからだ。
8K動画や最高峰のボディ内手ブレ補正機構など、最新機能を取り入れた『EOS R5』ですが、使用して感じたのはカメラとしての完成度の高さです。露出を変更し、ファインダーを覗き、被写体を捉え、シャッターを切る。その一連の撮影プロセスが全て思い通りに気持ちよく決まるのです。そして撮影した写真はEOS史上最高の解像力を持つ画なのですから、文句のつけようが無いというのが正直なところ。各社からハイアマ・プロ向けミラーレス機が登場していますが、今回この『EOS R5』がハイエンドミラーレス機の可能性をもう一段階引き上げたように感じました。
私はEOS Rが発売された当時の「拡張」という言葉がいまだに強く印象に残っています。EOS Rは言うなればミラーレスという新時代を切り拓く「挑戦者」でもあり「開拓者」でした。そして今日「5」という伝統の血筋を繋いだ『EOS R5』は「継承者」。さあ、始めましょう。EOSの新しい「5」を。
Photo by MAP CAMERA Staff