764:あらゆるニーズに応えるかつてない広角ズーム『SONY FE PZ 16-35mm F4 G』
2022年05月29日
ミラーレスカメラ業界を牽引し、写真だけでなく動画撮影の分野においても躍進を見せるソニー。『SONY FX6』などに代表されるCinema Line「FXシリーズ」や、あらゆる要求に高次元で応えるニュースタンダード『SONY α7IV』の存在が勢いを後押ししています。そして、今回登場したレンズは特に動画ユーザーにとって非常に嬉しい一本となっています。そんな『SONY FE PZ 16-35mm F4 G』をご紹介します。
モデル名「PZ」が指す通り、本レンズには「パワーズーム機構」が搭載されています。これにより、動画内に手動では難しいズーミングを活用した映像表現を盛り込むことが可能になりました。その他にも、絞りリングやFnとして使えるフォーカスロックボタンの実装など新要素は数えればきりがありません。では、肝心の写りはどうでしょうか。Gレンズとしての実力を確かめるべく『SONY α7RIV』に装着して撮影を行ってきました。その写真をご覧ください。
訪れたのは昼下がりの寺院。木々の奥に佇む阿弥陀堂をローアングルで撮影。厳かな空気を乱してしまわぬよう、自然と撮影の所作も丁寧になっていきます。『FE PZ 16-35mm F4 G』に採用された絞りリングのクリックを感じながらゆっくり絞り露出を決めてシャッターを切りました。
境内には見上げる程に立派な大木が立ち並んでいます。木漏れ日が幹を照らし、スポットライトのように樹皮のディティールを浮かび上がらせています。その様を収めるとさすがGレンズと唸りました。レンズの描写性能を100%引き出してくれる『SONY α7RIV』とのコンビネーションも良好なようです。
場所を変え、海側までやって来たところ船が停泊しているドックを見つけました。ここで整備や調整を行ってまた出発していくのでしょうか。奥にはドックの出入り口を兼ねた跳ね橋が上がっているのが見えます。これから出ていくのか、それとも最近戻ってきたばかりなのか。そんなストーリーに満ち溢れた風景を楽しみました。広角側で撮ることで、広さを感じる印象的な一枚に仕上げています。
こういった場所にある浮き輪を撮りたくなるのは「カメラマンあるある」ではないでしょうか?手を変え品を変えいろいろな構図で浮き輪を収めていきます。開放での一枚、伝っているロープの細かい縫い目までもしっかり描写されています。その一方で、太陽を反射してキラキラと輝く波には綺麗な玉ボケが見て取れます。解像感とボケ味のバランスが良く、様々なシチュエーションで活躍してくれそうです。
一日の最後はナイトスナップを愉しみます。手に収まりの良いαシリーズは心強い夜のお供。ショーケースのマネキンをサッと撮るだけで2人のモデルのような格好良さがあります。少しISO感度を上げていますが気になるノイズもなく、ジャケットの質感やしわ、影までしっかり映っています。
夜の闇に佇むオフィスビル。広角端で見上げるように写すとより「そびえたっている」ように感じます。ドラマチックなワンシーンを紡いでくれる広角レンズはスケールの大きい映像作品を作りたい場合に必須になるのではないでしょうか。
あらゆるニーズに応えるかつてない広角ズーム
パワーズーム機構が搭載されていることで「便利な機能が付いた動画撮影向けのレンズ」という先入観がありました。しかし、機能面もさることながら最終的に重要なのは描写です。これだけの多機能を詰め込みながらコンパクトであるというならば、写りはトレードオフなのか。実際に撮影をしてその認識を改めました。Gレンズのバッジに恥じないシャープで抜けの良い描写は、どんなシーンもリアリティを伴って写し出すことでしょう。どのαシリーズボディと組み合わせてもバランス良く、その軽快さからどんどん撮影に出かけたくなることも間違いありません。
創作意欲を掻き立てる今までになかった一本。現在、動画版Kasyapaも作成を検討中ですのでご期待ください。
Photo by MAP CAMERA Staff