
今回はフジフイルムより発売される『 X-E5 』のフォトプレビューをご紹介いたします。アルミ切削加工のみで成形した軍艦部に新たに設計された窓付きの「フィルムシミュレーションダイヤル」を搭載。定番のフィルムシミュレーションはもちろん、FS1-FS3ボタンにより自分だけの「FSレシピ」として保存することができます。Bluetoothボタンの位置が底面に設置されており、これは往年のフィルムカメラの巻き上げボタンを想起させる仕様になっているとのこと。本機より、ダイヤル類とレバーの操作が右手のみで完結する「クラシック」という新表示モードが搭載。EVFながらOVFのようにフレーム外を意識した撮影が楽しめるサラウンドビューモードなど、クラシカルな外観と、撮る悦びを喚起する操作性を両立させた一台になっています。質量約445gの小型軽量にしてEシリーズとして初めてになる5軸‧最大中央7.0段/周辺6.0段の強力なボディ内手ブレ補正機能を搭載。動画面でも6.2K/30P 4:2:2 10bitでのカメラ内カード記録などにも対応など、静止画撮影だけではなく、高品質な動画撮影にも対応しています。
またキットレンズには全長23mm、わずか90gの新レンズ「XF23mmF2.8 R WR」が採用されました。最短撮影距離20cmを実現し、防塵防滴構造で-10℃の耐低温構造。『 X-E5 』との組み合わせで、レンズ交換式カメラながらサブバッグにも収まるコンパクトさを実現しています。新しいレンズとともに合わせてどんな写りをするのか、ぜひご覧ください。

午前中の貴重な晴れ間。さっそく開放絞りで撮影してみましたが花の産毛や葉脈などしっかり写っています。「XF23mmF2.8 R WR」は全長23mmとコンパクトでありながら、ロック機構のある絞りリングが付いています。フォーカスリングもじっくりと動かせるトルク感でクラシックスタイルなレンズとしての使い勝手にまで配慮がされており、こだわりを持って造られていることがわかります。少し陽が入るように撮ってみましたが、逆光性能も優れています。

池一面がおさまるように引きの画を撮ってみましたが、解像感の高さに驚きました。ピントを合わせたのは中間域にある岩なのですが、しっかりと立体感がある良い写りです。4020万画素の高画素化の恩恵を実感できる一枚です。

ガラスに窓が反射しているのですが、窓枠に筆を配置してオートフォーカスがしっかり認識してくれるか撮影してみました。こういう時、ピントが奥にいったり迷ったりしてしまう経験があったのですが、迷うことなく合わせてくれました。

俯瞰視点で撮影してみましたが、隅のほうまで均一な描写です。食器に光が当たった光沢感などそれぞれの質感もしっかり出ています。

役目を終えて展示されている機関車。誰もいない客席を撮影しました。少し色褪せた青い座席とフィルムシミュレーション「クラシックネガ」との相性もぴったりです。窓枠を前ボケにしてみたのですが、柔らかくボケてくれました。いろんなシーンで取り入れられそうです。

「雰囲気を撮る」というのは難しいもので、撮ってみると自分の眼で見た時の印象と違ってしまうということは、よくあること。曇天のぼんやりした光は、さらに難易度が上がるものですが、イメージ通りに写ってくれました。

レンズの最短撮影距離は約20cm。開放絞りの近接撮影時でも十分な解像力ときれいな前ボケです。プリズムの複雑な色合いも見事に再現してくれました。

目がシパシパしてしまうほどの凄まじい窓枠の数。絞って撮ってみましたが、画面隅の窓枠までスッキリ解像してくれました。曇った天気でもこれだけ写るのは描写性能の確かな証拠です。

あれこれと設定を変えながら試行錯誤の末、フィルムシミュレーションを「Velvia」に、ホワイトバランスを「蛍光灯」にして撮影しました。スタンダードなものはフィルムシミュレーションダイヤルにセットしてあったので「FSレシピ」を変えたりする必要は今回なかったのですが、「FSレシピ」は同じフィルムシミュレーションでも自分だけの調整をかけて保存しておくことが出来ます。自分好みのフィルムをセットして、撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。
洗練されたクラシックスタイル
「X-E4」から大幅にスペックアップした『 X-E5 』ですが、何よりクラシックなデザインと使い心地が最大の進化のポイントでしょう。付属するキットレンズ「XF23mmF2.8 R WR」も絞りリングやフォーカスリングがしっかり付いていることから、より使い勝手にこだわりたいユーザーにおすすめできるレンズになっています。窓付きの「フィルムシミュレーションダイヤル」は利便性もさることながら、ふとテーブルに置いたカメラを見たときのデザインの良さに、自然と「かっこいい」という心の声が出てきました。新表示モード「クラシック」も個人的には非常におすすめです。必要最低限な設定は確認できる状態で画面隅まで見えるので集中できました。
小さいショルダーバッグで出し入れしながらの撮影でしたが、カメラを持ち出そうと意気込む必要もなく、自分の生活に自然に写真を取り入れられるというのは心地が良いです。バックパックから取り出して、仕舞ってを繰り返して、少し疲れてしまっているユーザーにもおすすめです。もちろん純粋に、クラシックというコンセプトを持ったこのカメラに惹かれた方にも。ぜひ『X-E5』と写真がすぐそばにある生活を楽しんでください。
Photo by MAP CAMERA Staff