超望遠の常識を変える一本。35mm判換算762mm相当にして質量1335g、開放F5.6の明るさ。特殊なスキルや専用のケース、機材を支える重い三脚。そういった制限や制約から解放される超望遠レンズ『FUJINON XF 500mm F5.6 R LM OIS WR』が登場しました。スーパーEDレンズ2枚、EDレンズ5枚を含む14群21枚のレンズ構成で高コントラストでシャープな描写、解像力を実現。かつ構成レンズ一枚ずつを極限まで薄く小さくすることで小型化し「X-H2S」と組み合わせても2kgを切る軽量化も実現しているとのこと。リニアモーターの設計に専用の開発者がいるほど徹底したこだわりを惜しみなく注ぎ込んだ高速・静音のオートフォーカス、5.5段の手ブレ補正手持ちで屋内や日没時・日の出の時間帯も手持ちでの撮影を可能にしました。
ズームレンズに「XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR」がありますが望遠端、開放F5.6の明るさはあらゆるシーンのシャッターチャンスに貢献してくれます。「フジノン XF200mm F2 R LM OIS WR」同様のシルバーカラーですが個人的な印象としては、光沢感が抑えられていて落ち着いた印象がありました。実物を見てサイズ感に驚き、手に持ってさらに驚きます。重心のバランスが良く、重さの偏りがないおかげで一層軽く感じます。「X-H2S」に装着してストラップで首に掛けても負担を全く感じません。またピークデザインの「エブリデイバックパック 30L」で撮影に向かいましたが、仕切りを変えて縦に入れることでレンズを装着した状態で収納することが出来ました。超望遠レンズを装着した状態でバックパックに入れたまま、サイドバッグに「X-M5」を入れて撮影してきましたのでぜひご覧ください。
若い鷹は隣のドームに。そんな内容の看板を見て、改めて目の前の鷹を見てみると羽毛にワイルドさを感じました。レンズの視線に気付いてなのか、落ち着きなくキョロキョロと周りを見渡す鷹の瞳に光が入ったタイミングを狙って撮影しました。開放絞りですが虹彩もくっきり、ピント面では羽毛の一本一本まで解像しています。
孔雀の色鮮やかで宝石のように輝く美しい羽根。遠目から見ても鮮やかな色ですが『FUJINON XF 500mmF5.6 R LM OIS WR』でクローズアップしてみて、その繊細な色使いにさらに引き込まれました。
動物への瞳オートフォーカスにも対応。急に何かを察知して歩き出したチーターの瞳を追尾してくれます。
もうなんだか疲れ切ってしまっている表情のお猿、超望遠らしい切り取りが出来ました。開放絞りから一本一本の毛の描写がとても細やかで丁寧です。
空一面を厚い雲が覆う中少しずつ天候が回復してきて、雲の切れ間から光が射し込み始めました。762mm相当ともなると一輪の花を捉えようと思っても、あっという間に見失ってしまいます。根気強く、光を浴びている秋桜をファインダー越しに探し続けました。軽量なおかげで途中で腕が疲れたり集中力が途切れてしまうこともありません。
超望遠といったら圧縮効果を活かした撮影が醍醐味。というわけで大分見切れてはいますが、スカイツリーが見える一直線の道を突き抜けてみました。個人的に子供の頃から見知った道がこうやって圧縮される画を見るのは面白く新鮮な感じがします。
最短撮影距離は2.75m。このレンズであまり最短撮影にこだわることはないかもしれませんが近接時でも高解像をキープしています。よく見ると手前のガラスの擦れも確認できました。
噴水の水しぶきが最高到達点に到達した瞬間を撮影。曇り空でしたが見上げるように撮影したことで僅かながら光が当たってキラキラとして立体感のある水滴が撮れました。噴水の水しぶきを撮るということは今までもやったことがありますが、一番上の部分を切り取ろうということはありませんでした。超望遠の画角を手にすると今まで見てきたものも工夫して撮ろうと思うきっかけになります。
一緒に持っていた「FUJIFILM X-M5」でも撮ったススキ。陽に当たって輝く穂と前後のボケ感などやはりレンズの焦点距離で同じ場所で撮ったものでも全く違って見えてきます。
超望遠の常識を変える
坂の多い場所は超望遠レンズを持って歩くのが一苦労なのですが、ストラップで首に掛けながら歩き回っていても重さが辛くなることが全くありませんでした。軽量であることも勿論嬉しいのですが、それよりもカメラバッグにレンズを装着したまま収納できたことが一番嬉しかったです。撮影スポットを変更するたびにカメラとレンズを別々に仕舞って、また取り出して装着してを繰り返すのは案外面倒です。今までもちょっと撮りたいと思ったけれどわざわざ組み立てるのは面倒だな・・と諦めてしまうこともあった筆者には、この差はかなり大きいです。そもそもそんなに時間をかけたらシャッターチャンスを逃してしまうこともあるので、スピード感としては撮りたい！からのササッ！の行程は短めでありたいのです。まあそんなスナップ目線はひとまず置いておいて。長い時間を粘る必要のある撮影やあっちこっちを歩き回りながら撮らなくてはいけないというユーザーにとってはこの軽さは非常に頼もしいものだと思います。また「フジノン テレコンバーター XF2.0X TC WR」などテレコンバーターとの組み合わせが可能で、最長1000mm（35mm判換算：1524mm相当）相当の焦点距離で撮影をすることも可能。テレコンバーターを装着しての画も改めて撮影してみたいと思いました。素晴らしく高い解像力・描写性能をもった『FUJINON XF 500mm F5.6 R LM OIS WR』。ぜひ超望遠の常識を変える体験を。
Photo by MAP CAMERA Staff
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