使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
前モデルから4年の月日を経て、大幅にブラッシュアップされた『Z50II』がついに発売となりました。特筆すべき2大特長といえば、多彩な色や画づくりを手軽に楽しむことができることと、フラッグシップでも採用されている最新の機能を有していること。画づくりについてはニコンフルサイズ最新モデル「Z6III」から採用された「イメージングレシピ」が『Z50II』にも搭載されいます。これはクリエーターなどが作ったレシピをカメラに取り込んで再現できるというものです。またピクチャーコントロールは専用ボタンから簡単に設定できますし、従来どおりシーン設定もできます。つまり仕上がりイメージを指定して、ほかの難しいことは全てカメラに任せてしまえるというわけです。
そしてニコンのフラッグシップモデル「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」は高速・高精度なAFや被写体検出を実現します。モニターはチルトからバリアングルに変わりました。これによりローアングルの縦撮影や自撮りといった、いままでできなかった撮影まで幅広くこなせるようになりました。プリキャプチャー機能ではシャッターを切る前までさかのぼることができます。これにより決定的瞬間も撮り逃しがありません。
そんな多くの機能が盛り込まれた小さな巨人『Z50II』のフォトプレビューをどうぞご覧ください。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
ポカポカと温かく日が差し込む昼間の公園。丁度イチョウが散り始めたころで、多くの方が黄色く舞い散る鮮やかな絨毯を愉しんでいました。木の間から光が差し込むのを待ち、理想的な光が演出できたその瞬間にビビットに設定をしてシャッターを切りました。ファインダーの性能も以前のモデル「Z50」と比べ、2倍明るい高輝度EVFを搭載しておりキャッチコピーにもなっておりますが「本気であそぼう。」が撮影者の心にグサッとくる1台であると実感しました。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
被写体と向き合いながら自分らしさを色で表現することができる「イメージングレシピ」に加え、多彩な「クリエイティブピクチャーコントロール」など31種類のカラープリセットがあらかじめ搭載されています。オシャレな街を歩いているとルックスからもマッスルさを感じるアメ車が停まっていました。事前にプリセットとして用意されているモノクロームカラーの中でも最も重厚感のある「カーボン」を選択。黒を基調とし、アンダーめに撮影することで古き良きアメリカンカルチャーを表現することができました。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
今回の撮影では「NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR」も多く使用していますが、約7.8倍の高倍率ズームレンズながら広角から望遠域までとても立体感のあるシャープな描写が印象的。絞らずとも引き締まったその描写はカラー撮影はもちろんのこと、モノクローム撮影にも非常にマッチする仕上がりとなっています。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
美しくアールを描いた窓ガラスに差し込む光、計算しつくされたようなチェアの配置。足を組む男性とそこから立ち去る女性のドラマをあるがままに表現しようと、カラーモードをニュートラルに設定して撮影。このようなシーンでもオートフォーカスは立ち去る女性をしっかりと追従。オート設定のままでも十分なポテンシャルをお愉しみいただける1台に仕上がっていると感じました。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VR
今回の目玉のひとつが「ピクチャーコントロールボタン」。天面に新たに設置された専用ボタンを押すことで、ピクチャーコントロールを簡単に呼び出すことができます。ポイントは、呼び出した後にはダイヤルを回して選択できるということ。もしこれがボタンを押す度にひとつずつ進むタイプでしたら、豊富な選択肢からチョイスするのにとても時間を要してしまいます。ダイヤルでしたら好きなところへ一気に飛べるので、スピード感のある撮影ができてよいのです。
こちらの写真では「ピクチャーコントロールボタン」を使い、甲冑を「ポートレート」で撮影しました。ほかに「リッチトーンポートレート」もあったので両方撮ってみようかと思いましたが、モニターには選んだ描写が反映されるので、シャッターを切らずとも好みに応じて選べます。おかげでモデルさながらの迫力ある表情を捉えることができました。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S
海に浮かぶ換気塔を35mm判換算600mm相当で手持ち撮影。描写力そして強力な光学式手ブレ補正を備えた優秀なレンズ「NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S」のお陰もあってそれぞれの線が鮮明に写り、肉眼では見えなかった文字の描写も精細です。船とか飛行機というのは旅を想起させますし、またその横にある換気塔がどこか非現実的で、これらが並んでいるのを見ているだけでワクワクしてしまいます。
色味は海なのでシーンモードにダイヤルを合わせた中から「海・雪」を選択。ついつい「ピクチャーコントロールボタン」を積極的に使いたくなります。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S
アメリカの田舎町によく行く人にとって、最も愛着があるであろう飛行機。ピカピカの機体に周囲の景色が映っているところがお気に入りです。本機は「EXPEED 7」を搭載しており、これはニコンのフラッグシップ機「Z9」と同等となります。飛び立つ機体にも俊敏に反応して撮り逃しがありません。高精度なAF、飛行機を含む9種類の被写体検出にも同じく対応しています。こういった望遠レンズ使用時は特にうっかりフレーム外に被写体が飛び出してしまうことがあるものです。しかし再びフレームインした際には速やかに追ってくれましたし、機体の一部だけがフレーム内にある際にもしっかりピントを合わせてくれ、AF性能の高さを実感できました。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S
被写体検出では猫や犬のモードがありますが、そこに合わせておいたところレッサーパンダも検出してくれました。目がしっかり開いていない眠そうな表情であってもきちんと瞳を捉えています。昔のカメラのオートフォーカスなら鼻にピントがきていたシーンです。
オートを選択しておくと、カメラが自動で被写体を判別してくれます。これがとても優秀なのです。例えばペットと暮らしている人にとって、人もペットもどちらも大事。『Z50II』ならどちらも主役にしてくれます。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S
シマウマは白黒のイメージがありますが、土で汚れていたりして意外と茶色いもの。そこでいろいろなモノクロモードを試してみることにしました。モノクローム、フラットモノクローム、ディープトーンモノクロームとある中から、今回はノーマルのモノクロームを選択。つい “ディープ” とか “リッチ” に惹かれたりしますが、基本となるモノクロームは洗練されていて素敵なのです。
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 18-140mm F3.5-6.3 VR
使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VR
夕方に坂道を上っているときに見えた光景。日本人にとっては当たり前ですが、よく外国人の友人たちが日本のこのような景色を「エモい」と言って喜ぶので、この写真も見せたいところ。こんな場面はダイヤルを「SCN」に合わせて「夕焼け」を選択すると、目にしたままあるいはそれ以上に印象的な景色に『Z50II』が仕上げてくれます。「イメージングレシピ」は確かに大きなトピックなのですが、「味付け」の設定ができるのはそれだけではなく表現は無限に広がるのです。
紛うことなき、小さな実力者
そのコンパクトは、エントリーモデルのような性能を想像させるかもしれません。しかし『Z50II』を使ってみてわかるのは、フラッグシップの機能を小さなボディに詰め込んだ唯一無二の存在であるということ。紛うことなき、小さな実力者なのです。
クリエイター魂を刺激する一台であり、初心者も表現を愉しんでほしいという、幅広い人に向けたニコンからのメッセージです。何より表現することにこだわり抜いた、ユーザビリティに優れる頼れる相棒。普段ハイクラス機を使っている方のサブとして、また最高の入門機として、ぜひ手にとってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff