

ニコンのフルサイズミラーレスのエントリーモデルが約4年半の時を経て登場。初代「Z5」の後継モデル『Nikon Z5II』をご紹介いたします。後継モデル、と言いましたがそのスペックは上位機種である「Z6III」に匹敵する点があるほどに高性能。センサーは表面照射型から裏面照射型になり、画像処理エンジンは「Z6III」同等の「EXPEED 7」に進化しました。センサーにおいては「Z6III」の部分積層型センサーとは差別化されており、AF性能など処理能力に違いこそありますが、「3D-トラッキング」や14コマ/秒の連写性能や「Z9」「Z8」同等の9種類の被写体検出、「AF-A」モードにも初めて対応しました。「リッチトーンポートレート」や「ディープトーンモノクロームなど」など気軽に多彩な表現を楽しむことができる「ピクチャーコントロールボタン」をフルサイズモデル機として初採用。初めてカメラを持つ方でも、手軽に、直感的に、カメラの操作が出来るような造りになっています。動画面においても「4K 60p」やZシリーズとして初となる、N-RAWのSDカード内部記録に対応など写真動画どちらも楽しんでみたいという方にもおすすめの一台になっています。2025年、新しいことを始めたくてその選択肢としてカメラを選ぼうとしている方にとってのベストバイな一台になりそうな予感がする『Nikon Z5II』。キットレンズである「NiKON NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR」とともに撮影に行ってまいりました。カットは全て撮って出しです。ぜひご覧ください。
初めに紹介した1枚目と2枚目の写真は同じシチュエーションを画角を変えて撮影したものです。2枚目ではその場全体の情報を取り入れつつ、1枚目は画面全域を花で埋め尽くすように撮影しました。いろんな画をその場でサッと作れるのはズームレンズだけの利点です。

関東はすっかり初夏のよそおいで、少し汗ばむほど。色鮮やかな花畑は今年も大勢の人で賑わっていました。今からもう夏の暑さを想像してはげんなりしてしまいますが、爽やかな風が吹くこの季節をまずは楽しむことにします。ざっくり手前の前ボケ、中景の花(をメインに)、後景の木々と空の三層で撮ってみましたが、立体感をしっかりと感じられる描写力。どこへ行くにもオールマイティーに撮影できるので、オススメのレンズです。ピクチャーコントロール「スタンダード」で撮影していますが春~初夏の色を鮮やかに、でもこってりと濃すぎることなく、絶妙に仕上げてくれました。

ニューサンタという名前に納得の、サンタクロースの衣装のような鮮やかな紅白。一般的に赤の発色は難しいとされていますが、綺麗な色を見せてくれました。面を意識したカットですが、光をよく捉えてくれているおかげで立体感もしっかり出ています。

望遠端で撮ればズームレンズでもここまで主役を引き立てつつボケ感もある写真を撮ることが出来ます。カメラを買ったのだから沢山ボケる単焦点レンズのほうがいいのではないかと悩むことがあると思います。単焦点レンズの楽しさを知っているからこそ、その選択は大賛成です。ただいろんな画角の世界を楽しんでみるのも楽しいと思うのでズームレンズを最初の一本にするのも、可能性を広げる良い選択だと思います。「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」や「NIKKOR Z 50mm F1.4」という手ごろながらに素晴らしい単焦点レンズがありますので、ぜひ楽しいレンズ選びを。

『Nikon Z5II』の手ブレ補正機構(VR)は、最大で中央7.5段・周辺6.0段の補正効果を発揮します。暗所でも絞って撮影したいというときでもシャッタースピードを気にせず撮影できるのはとても頼もしいです。

ISO3200でのカットですが、ピント面は全くと言っていいほどノイズを感じません。背景のボケたところに僅かに見えるくらいで、黒背景にもノイズが見えないことに驚きました。

初めて訪れたときから数年経ったでしょうか。通ることが出来た小路が立ち入り禁止になっていたり、記憶より錆びた部分が増えているような気がする展示物などを見ながら少し寂しい気持ちになったり。このカットはコンクリートの土管に絵が描かれているもので、穴を通ってはしゃでいた子供の姿を今でも思い出せます。当時からこんなに凸凹があったのかは記憶にありませんが、『Z5II』は長い時間を過ごした末の塗料の剥がれやザラザラとした質感をしっかりと描写してくれました。

まるでスポットライトを浴びているかのようなミーアキャット。背景の赤板壁さえ舞台の一種のように思えます。なにか深刻そうに見える彼らの表情も一役買ってくれました。柔らかくも少しゴワっとしてそうな毛並みの質感描写も見事です。

ウロウロと歩き回るアルマジロ。なかなかにすばしっこくて驚きです。中央で捉えるよりも画面左から歩いてきているような画にしたかったので、ファインダーを覗きながらオートフォーカスは全てカメラ任せで撮影しましたが、しっかりと目も認識してくれました。

カフェでのひととき。「NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR」の広角端開放絞りで撮影しました。背景の情報量が程よく入るボケ感で、実は旅行ではこれくらいが良かったりします。ピント面の解像力もばっちりです。

「ディープトーンモノクローム」で撮影。「ピクチャーコントロールボタン」のおかげで気軽にサッとイメージに沿ったピクチャーコントロールを選択することが出来ます。そして31種類の「ピクチャーコントロール」のほかに、著名なクリエイターが作成したレシピが使える「イメージングレシピ」に対応。最大9個のレシピをNikon Imaging Cloudから無料で直接『Z5II』に送信することが出来るとのこと。イメージ通りの画や想像していなかった表現に出会えるかもしれません。
見つかる「撮りたい」
「エントリーモデルの後継です」と笑顔で自己紹介しつつも、上位機種にも通ずるスペックで登場してきた『Z5II』。「Z9」や「Z8」と同様の3000cd/m²と高輝度のファインダーを搭載しているというのが一番嬉しいポイントでした。ファインダーが見やすいということはマウントアダプターでマニュアルレンズを使うカメラとしてもオススメできるということだと思いますので、そういった使い方もいずれしてみたいものです。苦手なことがないおかげで「写真を撮ってみたい」から様々に派生していく撮影欲求に応えてくれる『Z5II』。キットレンズから始めるも、単焦点レンズから始めるも、どの選択肢も大正解です。「撮りたい」の解像度が上がった先にどんな世界が広がっているのかはまた人それぞれ。ぜひ『Z5II』とともに楽しいカメラライフを。
Photo by MAP CAMERA Staff