2021年、「OLYMPUS」から「OM SYSTEM」へブランド名の変更を発表した「OMデジタルソリューションズ」、その次なる一手に世界中のユーザーが注目していたのでは無いでしょうか。今回発表されたフラッグシップモデル「OM-1」は写真性能の向上はもちろん、動画性能も大きく強化。従来機よりもさらに高度な防塵・防滴保護等級「IP53」を実現。使い勝手の良さが更にブラッシュアップされました。それでは、気になる描写力や使用感を一足先にご紹介いたします。
MOVIE
進化した動画機能
まず強化された動画機能を見てまいりましょう。直近のモデルである「OM-D E-M1 Mark III」からの変更点で目玉となるのが「C4K/60P」と「10bit記録」。また、30分を超える動画も一つのファイルに記録可能となりました。コーデックは「H.264 8bit」「H.265 10bit」の2種類。どちらも4K60P記録に対応しており、用途に合わせて選択が可能です。ちなみに、H.265選択時のピクチャーモードは「OM-Log400」「HLG」となります。
今回の撮影は全てC4K60Pで収録。雲台を手動で動かす場合、カット毎にパン・ティルトの速度を一定に保つのが難しく、最終タイムラインを30Pにすることで調整しました(60Pから30Pへの変換で最大2倍スロー効果を得られます)
「OM-Log」は暗部からハイライトまで黒つぶれ、白飛びを抑えて記録可能です。カラーグレーディングは必須となりますが、10bit記録と合わせて使用することで表現の可能幅を広げてくれます。実際にピクチャーモード「Natural」と「OM-Log400」を見比べてみると、 Log撮影の方が空のハイライトや木々のシャドー部に余裕があるのが分かります。カラーグレーディングの起点となる「OM-1」用の公式LUTも公開されているのでLog撮影をこれから始めるユーザーも扱いやすいと思います。
SHOT ON OM-1
今回の撮影の舞台は埼玉県の南西部に位置する秩父市。周囲を山に囲まれ、清流と渓谷、歴史ある神社など自然あふれる土地です。最初に訪れたのは、標高約1100mに鎮座する「三峯神社」。秩父神社、宝登山神社とともに秩父三社のひとつとして数えられ、ヤマトタケル伝説やお犬様信仰など数多くの伝説が残る関東屈指の古社です。
カメラを手にした第一印象は「軽い」の一言。今回メインで使用した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」と合わせても重量は約853g。フラッグシップモデルでも、コンパクトに収まるのが魅力です。
拝殿は寛政12年(1800年)に建立。総漆塗りで、きらびやかな彩色と彫刻が施されています。左右の大杉は鎌倉時代の武将・畠山重忠が奉献したと伝えられる、樹齢約800年の重忠杉。
山道や足場の悪い場所での移動が多かったですが、首にぶら下げても負担のないサイズ、重さで、大きな荷物では踏み込めない場所でも持ち歩けます。普段よりシステムが身軽になった分、これまで持ち出すのを諦めていた、MOZAの電動スライダー「Slypod-E」も使用しました。建物のように動きが無い被写体にスライダーを使うことで現場の雰囲気や奥行きがより感じられる映像となります。
次に向かったのは奥秩父、冬の名勝「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」。例年1月上旬~2月中旬頃に見られる氷の芸術です。岩肌からしみ出した湧水が真冬の寒さによって少しずつ凍り、氷柱の高さは約8m、幅約30mにも成長します。天然の氷のため毎年、姿が変わるのも見どころです。
液晶には自撮りにも便利な2軸可動式液晶を採用しています。写真も動画もシームレスに使えるデザインであれば、コンパクトなレンズと合わせてVlogにも挑戦してみたくなります。
新ブランドを牽引する一台
オリンパスが一貫して続けてきた「小型化・軽量化」への挑戦は新ブランドにも引き継がれており、その魅力を撮影を通して実感することが出来ました。メイン機としてお考えの方のみならず、サブ機として、日常・アウトドアなど様々なシーンで使えるオールマイティーなカメラを探している方にも打ってつけの一台です。性能向上による大型化が進むミラーレス業界に一石を投じる「OM SYSTEM」。今後の動向からも目が離せません。
Movie by MAP CAMERA Staff
(撮影協力:三峯神社)