革新的なカメラ・レンズの発表で度々ユーザーを驚かせてきたシグマからまたしても凄いレンズの情報が入ってきました。世界初・唯一の超広角にしてF1.4という驚異的な明るさ、アルカスイス互換の着脱式三脚座が標準装備された『SIGMA Art 14mm DG DN』の発表です。最近はどちらかというとスマートなレンズでラインナップを揃えてきていたので久しぶりの「シグマらしさ全開のレンズ」に心が躍りました。アスペクト比「21:9」なども用いた新しい視覚表現の可能性と楽しみを存分に味わうことの出来る一本。風景、室内撮影、夜景、スナップ、でたっぷりと使ってみましたので、ぜひ最後までご覧ください。
道路の白線だけを歩く縛り、みたいなことは誰しも経験があると思いますが、似たような感じで溝があればその上を歩きたがるのが子供というもの。そんな子供のおかげで舗装路と未舗装の境界線を中央にするということに気付き、あらゆる直線が中央に向かって収束していく不思議な絵面を見つけることが出来ました。こういう超広角の特徴を活かした撮影は意外なところに発見があったりします。
少しはみ出るくらいのボリューム感で下から見上げるように撮影しました。こういう迫力が出るのも超広角ならではです。
鬱蒼とした森に咲く紫陽花を撮りました。『SIGMA Art 14mm DG DN』は超広角でもボケを活かして被写体の紫陽花を引き立てるような撮影も可能です。そして背景のボケが画面隅でも流れないというのも凄いことだと思います。
洋館の回り階段をローアングルで撮影しましたが広角らしく奥行のある画になりました。ちなみにカラーモードには「サンセットレッド」を採用しています。夕暮れ時に映えるカラーモードですが、洋館のような赤や茶色の配色が多いシーンにもマッチするところがお気に入りです。
14mmの画角が最適解だったのではないかと思うくらい収まりの良い画を撮ることが出来ました。天井奥の細い格子のディテールまで繊細に描かれています。これだけの解像力、建築写真でも非常に重宝するレンズでしょう。
開放絞りで金網越しの港を撮影しました。前ボケになった金網の程よいボケ量をお伝えしたくてこのカットを選んだのですが、自らが写り込むことで画角の広さをより実感させられました。
飛行機がちょうど真ん中にきたところでシャッターを切りました。オートフォーカスの速度も精度も必要にして十分です。歪みを感じない綺麗な直線。陰と陽のコントラストや雲のディテールの描き分けなど『SIGMA Art 14mm DG DN』の良さがギュッと詰まった一枚だと思います。
F1.4のボケ量と接写を組み合わせることで超広角でもこんなドラマチックなカットを撮ることが出来ます。これだけの強烈な逆光でもフレア・ゴーストが発生しません。ちなみにこのカット「21:9」の設定で撮っていたものをRAWデータを読み込んで「3:2」に戻してみたものです。つまりレンズの周辺光量機能がオフなのですが開放絞り&日暮れ時でこれだけしか減光しないというのもさすがの一言です。同じシチュエーションで異なるアスペクト比「21:9」で撮った別カットも後で紹介しています。アスペクト比の違いで変わる写真の印象をぜひ見比べてみてください。
F1.4の開放絞りで夜景撮影も手持ちで難なく楽しめるうえにモニター越しにわかる発色の綺麗さ、撮っているときの満足度も非常に高いです。美しい空と雲の景色に最後まで魅了され続けた一日でした。
まるで映画のようなワンシーンを
個人的にも愛用しているアスペクト比「21:9」。横長で見る14mmのパノラマのように広がる世界には独特のストーリー性が生まれて、一つの映画を見ているかのようです。超広角らしいパースを効かした遠近感とシネマスコープの画角はとても相性の良い組み合わせで「3:2」で魅せる広角の迫力とはまた違う意図を写真に汲みこむことが出来ます。「サンセットレッド」や「ティールアンドオレンジ」といった個性的なカラーモードで彩られた一枚一枚のカットはこうして見返すだけでもカラフルで楽しくなります。このアスペクト比でも14mmの世界をぜひ楽しんでもらいたいです。
これはきっと最高の体験
シグマからの久しぶりなビッグなレンズの登場。「14mmの超広角」と聞いて今度はコンパクトな超広角が出たのかな?と思って実物を確認したらまさかの三脚座付きの大型レンズ。個人的には『Art 105mm F1.4 DG HSM』以来の刺激的な製品でした。個人的に『fpシリーズ』で撮影をするなら『ラージハンドグリップ HG-21』を付けるのを推奨したいです。最初はグリップなしで使ってみましたがグリップがあるとないとでは安定感がまるで違います。世界初・唯一の超広角による星景写真をメインとした全ての撮影のための一本。今、現時点で疑うことなき最高峰。ぜひこのレンズで最高の体験を。
Photo by MAP CAMERA Staff