コンパクトなサイズ感ながら、「Artライン」と遜色のない光学性能を詰め込んだシグマの「Contemporary」シリーズに、またも魅力的なラインアップが追加されました。今回はAPS-C用標準ズームの決定版『SIGMA Contemporary 18-50mm F2.8 DG DN』をご紹介します。
まず手に取った時、その小ささと軽さに思わず「おぉ…」と声が出てしまいました。まるでキットレンズのような手軽さを装っていますが、「焦点距離フルサイズ換算27-75mm・開放F値2.8通し」というあまりにも使いやすいスペック。本当に、この可愛らしいルックスにその実力があるのか?疑うというよりも、「その力をみせてくれ!」というドキドキ感が沸き上がってきます。ソニーEマウント版とライカSL/TL用が同時発売されますが、今回はまずソニーEマウント版を『SONY α6600』に装着して撮影した写真でご紹介したいと思います。ぜひご覧ください。
まだ色づいてはいないものの、もみじの葉を見ると秋の訪れを感じます。撮影日は朝方涼しくブルゾンを着込んで出かけたのですが、気温がぐんぐん上がりすぐに脱ぐ羽目に。見上げた葉に、裏側から強い陽光が差して葉脈を描き出しているところを、一枚。いじわるな条件ですがまったくひるまない描写に嬉しくなりました。
公園のベンチというのは不思議なもので、一度腰かけると立ち上がる気力を根こそぎ奪われてしまいます。考察するに、奥が窪んで手前が盛り上がる形状になっていますから、デスクチェア等と比較して深く腰が落ちるようになっているのでしょう。朝からせっせと歩を進めながら撮影を行っていたのもあってやっと一息。休ませてもらったついでに被写体になってもらいました。前後の自然なボケ味が程よい立体感を生んでいます。
再び秋の訪れを感じる出会い。田舎の出身なので、幼少期にどんぐり集めにはまっていたことを思い出します。山に潜り、手にしたビニール袋にこれでもかとどんぐりを詰め込んでいくのですが、その後の用途を特に決めず「集めることが楽しい」という遊びなので、袋がパンパンになったところで満足。袋をひっくり返して坂道にキャッチ&リリースして転がっていく様や音を楽しんでいました。大人になって、じっくりカメラ越しに向き合うとその愛らしい存在を無下にはできなくなります。
場所を移して、海の方へとやってきました。きれいな貝殻を見つけて、ググっとレンズを寄せていきます。「自然界に存在するデザインが一番美しい」とはよく言ったもので、その代表例ともいえるのが貝ではないでしょうか。丸みがかったフォルムに様々なラインが入っているモノやつるりとしたモノ、キラキラと反射するモノもあればカラスのように漆黒の貝もあります。そして、そんな見事な造形が2枚合わさっているという奇跡のような造形。神様のデザイナースキルには脱帽です。そのうえ、食べても美味しいのですから敵いません。
紅葉や柿の旬など、秋のイメージカラーは私の中では赤やオレンジの暖色系です。ゆえに、夕日から得る感動も秋というだけで普段より大きなものに感じてしまいます。日が短くなりだしたから、というのもあるかもしれません。海に沈んでいく夕日は水面の反射もあって荘厳で、そして空と水平線の色味が絶えず変化していくさまも見ていて飽きません。夢中になってシャッターを切った中から、気に入ったカットを一枚。
凝縮された手のひらサイズ
手のひらサイズの本レンズをボディに装着し、初めて構えた時に「あ、ちょうどいい」と思いました。それは、レンズとボディのバランスや持った時の程よい重量、さらにはデザインのマッチングに起因するものと思います。しっくりくるとはこの事を言うのでしょう。毎日連れ歩くのに、これ以上最適な組み合わせはないのでは?とまで思ってしまいました。携行性の高いカメラというと、描写や利便性とトレードオフになる印象もありますが、その点で『SIGMA Contemporary 18-50mm F2.8 DG DN』は全く妥協がありません。開放からハッキリとした写り、広角から標準まで使いやすい画角、各リングの心地よいトルク、使ってみて不満を感じる点がまったく無いのです。ちょうどいいサイズに、詰め込まれたシグマのこだわり。日常的に写真撮影を楽しみたい、写真と共に暮らしていきたいという方にうってつけの一本。手に取った時と撮影した時、二度驚いていただけること請け合いです。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff