901:パースペクティブを愉しむ『SIGMA Contemporary 10-18mm F2.8 DC DN X-Mount』
2023年10月30日
ズーム全域 F2.8の明るさをコンパクトなボディに凝縮した世界最小・最軽量なAPS-C専用超広角ズームレンズ『SIGMA Contemporary 10-18mm F2.8 DC DN』がライカLマウント、ソニーEマウント、富士フイルムXマウントの3マウント同時に発売となりました。本記事では富士フイルムXマウントを取り上げます。
まず本レンズを手に取って感じた第一印象は「軽い」「小さい」。ズーム全域でF2.8の明るさを誇り、超広角域を非球面レンズと特殊低分散ガラスを採用することで開放からズーム全域で解像感が高く、ワイド端で最短撮影距離11.6cm、最大撮影倍率1:4と被写体に「寄れる」。小さなボディにSIGMAの技術力がギュッと凝縮したレンズであることを実感しました。
その描写性能を活かす為に約4020万画素 X-TransCMOS 5 HR センサーを搭載した、Xシリーズ史上最高画質「FUJIFILM X-H2」に本レンズを組み合わせ、秋深まる風景を撮影してまいりました。それではフォトプレビューをどうぞご覧ください。
愛車のエンジンに火を入れ、早く撮影したいという気持ちを胸に高速道路を走らせます。立ち寄ったサービスエリアで澄んだ青空に気持ちよさそうに伸びる植物に心を奪われ、ファーストカット。NOSTALGIC Negの落ち着いたトーンと本レンズの立体感のある描写の相性の良さを実感。広角10mmがこんなにも開放的で撮影してても気持ちが良いものかと改めて感じました。
山の天気は変わりやすいものです。霧雨が降りはじめ、森の中は幻想的な霧が印象的でシャッターを切りました。適度な鮮やかさと落ち着いた色味が魅力のASTIAをセレクトしました。露出設定を明るめに設定することで森の中に差し込む光を表現しましたが、葉っぱを拡大してもディティールがしっかりと強調されていることがよくわかります。
35mm判換算で24mm相当の画角で接写。洋館の柵にもたれかかる植物が印象的で撮影しましたが、適度な前ボケ後ろボケがとても好印象。金属の質感もあるがままに捉えています。レンズコーティングの違いから純正以外のレンズを使用する時にフイルムシミュレーションを純正に近づけるよう筆者は補正をするのですが、本レンズは補正することなく純正レンズとの使い分けができるのも嬉しいポイントです。
季節の移り変わりを最も早く感じ取ることができる「ショーウィンドー」。お店のガラスの質感がとても面白く、気泡の入ったデザインガラス越しにクリスマスを感じることのできるガラス細工を望遠側で撮影しました。SIGMAのレンズを使うたびに感じるこの透明感、写りこみまで目で見たその光景よりも美しく光を表現してくれました。
先ほどまでの曇天が嘘かのよう、雲の隙間から光が差し込み青空が!青空と紅葉のコントラストをVelviaで撮影した1枚。超広角でピント合わせも難しいシーンではありますが、とても滑らかなピント合わせが可能なステッピングモーター採用でサクサクと狙ったポイントに合焦してくれます。心強い。
神社の手水舎。身と心のけがれを取り除く為の禊を簡略化したと言われる手水ですが、最近は自動センサーで水がでるものが増えました。昔ながらの手水舎で心ほっこりしながらクラシッククロームに設定し、水面ギリギリまでレンズを近づけ望遠側の美しいボケで前ボケを発生させて撮影しました。癖のないボケ味と表現がとても気に入りました。
梅雨の色づいた紫陽花も綺麗ですが、季節はずれの枯れた紫陽花もシックでとても魅力的。「秋色紫陽花」などの相性で親しまれていますが望遠側 35mm判換算27mm相当で撮影しました。まだ色が僅かに残っているガク(装飾花)もあれば、すっかり穴が空いてしまっているものまで。そんな目で見たままの印象を上手に捉えてくれました。
広角側でコスモスに思いきり近づき、パースペクティブをの効果を演出。クラシックネガで発色の良いコスモスを落ち着いたトーンで表現しました。コスモスの背景には湖に写りこむ青空と雲が印象的な1枚となりました。
フイルムシミュレーションをノスタルジックネガに切り替え、強い日光に向かってカメラを構えます。筆者は撮影をするときにフードを装着しないのですが、フレアやゴーストもしっかりと抑えられていてとても扱い易い印象。次に撮影に来るときは雪景色か、そんな思いでこの地を後にしました。
日が落ちるとどんどん気温は下がり、車のメーターが示す外気温度は8℃。風も強く澄んだ空気であったためこの場所で撮影がしたく車を走らせました。 予想通り幻想的な風景が広がっており、湯畑から上がる煙とスポットライトが織りなすハーモニーがスマートフォンで撮影する人々を美しく立体的に写し出してくれました。このような観光地に行くと1枚に納めたいけど画角が。そんな悩みもこのレンズを使うことですべてを解決してくれました。
最後の1枚は「白旗」の白い暖簾を強調させるべく、PRO Neg.Hiをセレクト。ISO2500においても優秀なセンサーと優れたレンズ描写のお陰で温泉地のワクワク感を演出することができました。
パースペクティブを愉しむ
国内外問わず旅に出る時は「軽く」「小さく」少しでも荷物を減らしたいもの。さらに欲を言えば広大な風景やシーンを1枚の写真にすべてを抑えられたらどんなに良いことだろう。そんなすべてを世界最小・最軽量APS-Cセンサー専用レンズとしてギュッと凝縮した『SIGMA Contemporary 10-18mm F2.8 DC DN』はまさにベストバイレンズであると感じました。
手のひらサイズの小柄な筺体はズーム全域F2.8の明るさを誇り、開放から使用しても周辺の光量落ちも気になることがなく被写体と向き合いながら存分にパースペクティブを愉しめる仕上がりになっています。ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。新しい世界が見えてくるかもしれません。
Photo by MAP CAMERA Staff