世界初のグローバルシャッター搭載カメラ『α9III』に続いたのは世界最軽量、約1,470gのサンニッパ『FE 300mm F2.8 GM』です。なんと初代『FE 70-200mm F2.8 GM』より10gも軽いというのだから驚きです。寸法の違いもあれ、レンズ構成は17群21枚ですがレンズ前方に重さが集中しないよう重量バランスが最適化されており、実際に持ち比べて見ると圧倒的に『FE 300mm F2.8 GM』のほうが軽く感じます。トランクケースで持ち運ぶクラスのレンズがここまで軽量化される時代がくるとは。色々なシチュエーションで使いたいレンズですが、まずファーストプレビューとして動物園で撮影してまいりました。最新モデルの『α9III』とのタッグです。ぜひフォトプレビューをご覧ください。
この立体感、ボケ感、描写力。曇天で光の回りもあまり良くない環境でもこれだけの写りを見せてくれました。耳毛のもさもさ感がたまりません。
プリ撮影で木の枝に止まっていた蝶を撮影しました。こちら側に飛んできたので蝶がこっちを向いている状態です。背中から撮ることはありますが、正面から羽根を開いた瞬間というのは今まで撮れたことがなかった貴重なカットです。
さらにこちら側に飛んで来る瞬間では、口吻がくるんと巻かれている状態を確認できるほどピタリと撮影することが出来ました。横移動する被写体だけでなく前後に動く高速の被写体にまでAFが食いつくのはすごいことではないでしょうか。
タカが飛び立つ瞬間を撮影しました。想像よりもはるかにたくましい足と大きく開いていく羽根の迫力。人間の眼では捉えられない瞬間です。
観察しているうちにグルグルと回ることが分かったので、正面から再度飛び立つ瞬間を狙って撮影をしました。一瞬のことなので上手く撮れているか不安でしたが、撮影画像を見返してみるとしっかりと目にフォーカスされていました。被写体認識を「鳥」にしただけでカメラとレンズの設定は変えずにこれだけの撮れるとは素晴らしい性能です。
飛び立つ瞬間を待っている間はカメラを構え続けているわけで、重い超望遠レンズだと結構な体力が必要です。その点ここまで軽量化されると負担も少なくて助かりました。
前ボケも柔らかく良いアクセントになります。質感描写がしっかりしているので動物の瞳も吸い込まれそうなほど美しく写ります。
急に冷え込んだ一日。寄り添い合う猿の表情に寄りたくて『2x Teleconverter』を付けて600mm相当での開放絞りで撮影しました。2倍テレコンでも顔の細かな皺や毛先まで描写しています。
寄り添いあっていた群れにちょっかいを出した猿がいて怒った猿たちとの喧嘩が始まりました。こんなシーンも連写で追えるのが非常に楽しいです。
開放値がF2.8と明るいので、手前に網目があっても目立つこともありません。かなり細かい網目でもこのようにフィルターをかけたようにボカしてくれます。
『α9III』はISOのベース感度が上がった代わりに1/80000秒の電子シャッターを切れるようになったので逆光でも露出オーバーになることはありません。絞ってみましたが細い枝から画面隅の隅まできっちり写る上、フレアやゴーストも発生しません。
暮れていく空に一羽の鳥が飛んでいったので追ってみたら、小鳥が横切っていて連写の一コマの中に羽根を広げた瞬間がありました。最後の最後まで驚かせてくれる組み合わせです。
シャッターチャンスの宝庫
とにかく軽さが素晴らしいレンズです。これはもう本当に実際に手に持って体感していただきたいです。体力の限界を感じることなく構え続けられるので、今まで撮れたことのない瞬間が次々に撮れてしまい楽しく撮影できました。軽さの次に感動したのはやはりAFの精度と早さ。まさかこちらに向かって飛んでくる被写体の眼を捉えてくれるとは。そして描写力・解像力の高さ。瞳のハイライトがとても魅力的に写り、毛の質感も繊細に表現してくれました。この高画質をさらに活かすために『α1』等の高画素機と組み合わせるのも楽しみです。ただし今回撮影できた決定的瞬間は『α9III』と『FE 300mm F2.8 GM OSS』の組み合わせだからこそ撮れたもの。やはりこれも最適な組み合わせだと思います。とても刺激的な撮影体験でした。この『FE 300mm F2.8 GM OSS』は今まで超望遠レンズでの撮影経験がある方ほど衝撃的で魅力的な一本になっています。ぜひともまずは一度手に取り、この軽さを体感してみてください。手に入れたくなること間違いなしです。いざシャッターチャンスの宝庫へ。
Photo by MAP CAMERA Staff