タムロンからまた新しい提案。70-300mmのサイズ感を保ちつつも、「もう少し引いて撮りたい」という声に応えた、画期的な望遠ズームレンズ『TAMRON 50-300mm F4.5-6.3 Di III VC VXD』が発売されました。広角端を標準域の50mmにしたことでより使い勝手の良い望遠ズームレンズになっており、スナップ・自然風景・動物園など様々なシーンでより自由で多彩な作品づくりが可能になっています。注目点としては広角端を広げながらクラス最軽量の665gという軽さとコンパクトさ、最大撮影倍率1:2のハーフマクロ撮影、リニアモーターフォーカス機構VXDによる高速・高精度AFと手ブレ補正機構VCを搭載している点です。レンズ構成は特殊硝材レンズXLDレンズを2枚、LD (Low Dispersion; 異常低分散)レンズを2枚使用した14群19枚。レンズコーティングも最新のBBAR-G2(Broad-Band Anti-Reflection Generation 2)コーティングを採用しています。「50-400mm F4.5-6.3 Di III VC VXD」というレンズがあるなかで『TAMRON 50-300mm F4.5-6.3 Di III VC VXD』のこのコンパクトさは決め手となりえるのか。早速撮影にいってきましたのでぜひご覧ください。
広角端50mmでの最短撮影距離は0.22m、最大撮影倍率1:2というハーフマクロ撮影が可能です(望遠端300mmでも最短撮影距離0.9m)。最短撮影距離での後ボケ、マクロレンズに定評のあるタムロンらしい綺麗さです。水滴の輪郭線がとてもシャープで、水滴の中で反射する丸ボケもしっかり描かれています。
100mmくらいの焦点距離で木の幹を撮影してみました。剥がれた皮の凹凸の立体感や、苔の深い緑の発色の良さなどとても素晴らしいと思います。
水面に水滴が落ちていく瞬間を捉えようとチャレンジ。晴れてはいるものの、雲が厚く陽射しが直接入ってくるほどではありません。水面が光を反射するポイントを探すために立ち位置とアングルを調整し、余計な情報をカットするためにズーム域を調整して撮影しました。フォーカスポイントはおおまかに水滴の落下位置に合わせてオートフォーカスで連写します。外してしまうカットもありましたが、水滴の見事な躍動感を捉えてくれました。あとこれはレンズ単体というよりボディとの合わせ技ですが、ISO感度3200でも素晴らしくノイズレスです。
50mmでハーフマクロ撮影が可能となればカフェでの休憩中もササっと撮影。これでも実際にはまだ寄れる猶予があります。寄りでは少し絞るのも良いかなと思いました。ボケ味も嫌な感じに崩れることもありません。ジャンルとしては望遠ズームレンズでありながらシームレスに日常スナップが撮れる、これが実は一番推したいポイント。溶けた氷の表面、このドリンクを飲んだときの暑さと美味しさを思い出させてくれる良い写りです。
羽を休める鳥の群れを見かけることがあっても、散歩中は大体標準レンズをぶら下げているので「遠い」とシャッターを切ることもないまま終わります。今回はそんな個人的に撮ってみたいシーンを撮ることができました。このレンズの本来のコンセプトとしては「もう少し引いて撮りたいから50mmも撮れるようにした望遠レンズ」が正しいのですが、「ハーフマクロまで寄れる標準レンズ+望遠300mmまでいける日常スナップ用レンズ」として見るのも面白い気がしています。そういう見方なら「28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD」があるじゃないかというのはごもっともでございますが標準域が使えるに加えて300mmまで伸ばせて、665gの軽さとカメラに付けたままバッグに収納できるコンパクトさはやはり魅力です。
望遠端300mmで停泊中のボートが連なるシーンを撮影します。直線にして約40mほどの距離があったと思いますがギュギュっと圧縮してくれました。
300mmテレ端で前後に要素を配置しつつ、ピント中ほどにある被写体を抜いてみました。前ボケ後ろボケともに嫌な印象は抱きません、むしろ綺麗にボケていると思います。トップの(青空と木の棒が立っている)カットでも焦点距離、中間域で同じような撮り方をして圧縮効果を見ましたが、ポートレート撮影などボケを活かし撮影もこなせる一本だと思います。
コンクリートのゴツゴツ、ザラザラした質感はもちろんのこと貝殻の模様の細部まで繊細に描きます。50mm広角端での画質が特に優れているように感じました。開放絞りから安心して使える写りです。
レンズ補正の機能は全てAUTOに設定して撮影しましたが歪曲も周辺減光も良好に補正されています。引けばしっかり広めな画を撮れるのが50mmの良いところであり、開放絞りでも細部までシャープに写る良いレンズです。こうして一日レンズを使ってみましたが、使わないときはサッとバックパックに収納できて、取り出しも簡単。オールマイティーでいえば「50-400mm F4.5-6.3 Di III VC VXD」という選択肢もあるのですが、日常に寄り添う感じで、気軽に持ち出そうと思えるのは「TAMRON 50-300mm F4.5-6.3 Di III VC VXD」の方だと感じました。そう考えるとなんという絶妙なズーム域とサイズ感。「もう少し、あと少し」を叶える理想的なズームレンズなのかもしれません。
“もう少し”が撮れる
望遠域をカバーするなら広角端もそれに伴って長くなって当然。という常識にとらわれないレンズ『TAMRON 50-300mm F4.5-6.3 Di III VC VXD』。70mmが50mmに変わると、使い勝手がどれだけ良くなるのかというのは、普段標準レンズを使っていて、次回は望遠ズームレンズを使ってみたいと思ったている方にこそ使っていただきたいです。ハーフマクロ撮影ができる50mmとテレ端300mm望遠ズームを一本で常用できるのでスナップはもちろん旅行や運動会、動物園など色んなシーンで撮影者の”あと少し”に応えてくれること間違いなし。今年のイベント、スナップは使い慣れた画角+望遠ズームで新しい視点と可能性を探してみてはいかがでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff