『TAMRON 28-300mm F4-7.1 Di III VC VXD』は、1本で広角28mmから望遠300mmまでをカバーする、フルサイズミラーレスカメラ用のズームレンズです。その倍率はなんと10.7倍。それでいて長さは126mm、重さは610gと小型・軽量に仕上がっており、まさにタムロンのお家芸とも言えます。似たレンズに「28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD」がありますが、開放F値が2.8スタートである代わりに望遠端が200mmまでとなっているのですみ分けができ、新たな選択肢が増えたことになります。いずれもソニーEマウント用なので、他社マウントのユーザーには羨ましがられてしまうことでしょう。
300mmというとここから超望遠とも呼ばれる焦点域ですが、手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)が搭載されているので安心です。またリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive) を搭載することで、ズーム全域で素早くピントを合わせることができます。
こちらは最短撮影距離19cm付近で撮影した一枚。等倍で見てみるとまさにマクロ写真と言えるような仕上がりで、実に細かく写っています。このようにワイドマクロレンズのような使い方も可能です。
ズームを伸ばしたり戻したりしながら決めて撮った一枚です。その場にいたままでも構図によって違う顔を見せてくれる景色をどう切り取るか迷う時間も楽しく、まさにこのレンズを使う醍醐味を感じた瞬間でした。
ここでもレンズを伸ばしたり縮めたり。どれだけ違うのか撮ってみました。こちらは広角端28mmで撮影しました。28mmらしくパースが効いて、空も大きく写すことができました。
ほぼ同じ場所から、今度は望遠端で撮影しました。広角端ではあんなに小さかった被写体が望遠端ではここまで寄せることが出来ます。中間域を使えばビル群に囲まれたスカイツリーという構図を作ることが出来たりもします。これだけズーム域があるというのはやはり便利ですし、楽しいものです。
高倍率ズームレンズを試す場として外せないのが動物園。ハシビロコウとフラミンゴを狙います。羽毛の一本一本に至るまでしっかりと写っています。
街へ戻ってひと休み。美しいグラスが目に留まり一枚撮りました。開放F値が4からということでボケの量が少ないのではと気になる方もいるかもしれません。この美しさ、いかかでしょう。奥の丸ボケも正円で綺麗です。標準〜中望遠域でも十分にボケを楽しむことが出来ます。
だいぶ日が傾いてきた時間帯。ビルとビルの間に射し込む光がクレーンだけを照らしていました。高倍率ズームならではの自由自在なフレーミングはもちろん、光が当たっているところと陰になっているコントラストの違いをしっかりと伝えられる描写力も持っています。
広角から望遠まで、高画質で。
まず焦点距離が高倍率であることに誰もが目を奪われることでしょう。もちろんそれは本レンズの最大の特長であり、レンズ交換することなく何でも撮れるのは使い勝手がいいことには間違いありません。
しかし本レンズがすごいのは「それだけ」ではないこと。画質がいいのです。諸収差やゴースト・フレアを抑えたクリアでシャープな描写やスムーズなボケ味は、フルサイズセンサーと相性抜群です。
簡易防滴構造に防汚コートも採用されていることから、まさにどこへでも持ち出せる一本。ぜひ、高倍率ズームによる利便性と妥協のない画質両方を手に入れてください。
Photo by MAP CAMERA Staff