Kasyapa for Leica|(カシャパ フォー ライカ)東京新宿のカメラ専門店マップカメラが提供するLeica専門サイト » ~T・MBH 革ストラップ工房見学!①~ 
Select Language








こちらは革物司・岡本拓也氏率いるブランド、「T・MBH(エムビーエイチ)」の製品。
全長90cm。ロングストラップにも関わらず継ぎ目なし。
なめらかなラインが美しい、気品漂うカメラストラップです。

このストラップが、一体どのようにして生まれているのか?

まさに製作真っ只中の、T・MBH 蔵前工房を見学させていただきました。


------


お邪魔した工房は職人の方々が使用する机が数台並び、
とても静かな雰囲気でした。

岡本さんが使用している机をまずは拝見。
光を安定させるため窓のカーテンは閉じられており、
作業机には手元を的確に照らすための、大きなデスクライトが二つ灯っています。

「じゃあ早速お見せしますね」
細く切り出したイタリア産タンニンなめし牛革が取り出されます。

ブッテーロの他カラーに比べると薄い色味のため、目を近づけると
皮革表面の細かい気孔がわかります。
このうす茶色は使っていくうちに色みを深めていくタイプのカラーで、質感も柔らかくなっていくとのこと。


今回は仕上がりまでを見せて頂くために、あらかじめストラップの形に
切り出しておいた革の断面を整える作業から見学スタートです。





カーブの付いた細いナイフで、裏表それぞれの断面四辺を、面取りします。
角を落とされた状態になった断面は丸みを帯びることになります。


面取りを終えたストラップは、コバ磨きの準備に入ります。
コバとは、革端(切り口、断面)を指す用語。
「ブッテーロ」はステッチ部の極めて少ないモデルゆえに、このコバが美しさの大きなカギを担うのです。





器に盛られている透明なものはフノリ。海草成分の糊です。
まずはこのフノリを含ませた布で磨きはじめます。




両縁とも一度磨き終えたら、肌に当たる裏面、それから表面も磨きます。




丁寧に、力強く。
ぐっと力を込めながら毛羽を押さえることで、肌当たりがなめらかになります。
一方の手では革を押さえ、もう一方では圧を掛けつつ磨いて…
と手元にかなり力が要るため、岡本さんが説明する声も、
呼吸に合わせてぐっと強まります。

表面も、先程と同じように押さえながら磨いていきます。





こうして全面を押さえられながら磨くことによって密度の高い革へ変化し、
丈夫なストラップになっていくのです。


ここまで磨き終えた時点で断面と裏面に触れさせていただくと、
最初は硬くざらついていた毛羽立ちが、つるりと収まっているのがわかりました。






さて次に取り出されたのは、白っぽい、蝋のかたまり。
これを温めたコテに付けて先ほど磨いた断面へ、さーっと滑らせていきます。




「…これは表面に塗っているんじゃなくて、すべて革の奥に浸透させているんです。
こうすることで断面がほつれにくくなるんですね。
成分は全て浸透させるので、もちろん肌に当たってもべとつくなんていうことはありません」


蝋が浸透するのは、最初濡れたように黒く光った部分が、ふっと乾いて元の色に戻る様子でわかります。
この作業もまた、何度もコテを往復させて繰り返されました。

—と、艶やかになった断面に、サンドペーパーが当てられます。




せっかく(と言ってはおかしいのですが)艶が出た所なのに…などと思っていると
「まだここは、作業の5%」
岡本さんは笑いながらざっざっと手を動かします。
容赦なくやすりがけされたストラップは、ぱっと見は蝋を塗る前に戻ってしまったよう。
磨いて出た粉を払い、再びコテで蝋を浸透させていきます。

「蝋を浸透させて密度を高く(=硬く)させた断面は、そのままの革よりも磨きの精度が向上します。
これを繰り返すことで、どんどん精度の高い磨きが出来るようになるわけです」

この際使われるサンドペーパーですが、蝋がついていくことで
最初は粗かった番手も作業の進行とともに自然、段々と細かくなっていくのだそうです。
とにもかくにも、磨いて・蝋を浸透させ・また磨いて……
この幾度とない繰り返しの末に、T・MBH製品の艶やかなコバが現れるのです。
あまりの果てしなさに溜め息がもれます。

「果てしないですよー。革を扱っていると手縫いというイメージからか
『ステッチ大変でしょう』と言われますが、コバ磨きのほうが大変です」

作業を見つめていると、徐々にサンドペーパーの下に現れる断面も、なめらかになっていくのが見て取れました。
最後にはサンドペーパーから丸く研がれた木、牛骨へ持ち替えて、仕上げの高精度な磨きに入ります。

こうして幾手間もかけられたコバは、まるで飴のようにつややかに光っていくのです。





…いかがでしょうか。
こだわりのストラップ作りは、まだまだこれから。
中編 > ② に続きます!










コンテンツカテゴリートップへ戻る"

KasyapaforLEICAトップへ戻る"




 

カテゴリー:Special Contents  
 
 

 ≪BEFORE Top Page NEXT≫ 

null LEICA CL 2017年12月08日
絞り:F3.5/ シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:200/ 使用機材:LEICA CL + エルマリート TL18mm F2.8 ASPH. LEICA CL ライカの話をすると必ず過去の名機・名玉の名前が会話の中に登場する。それほど長い間愛され続けられるカメラやレンズは他にはないと思うが、その歴史の中に『CL』というフィルムカメラが存在したのをライカファンの方ならご存知だろう。当時ミノルタとの共同で開発されたCLはコンパクトなボディにレンズ交...
続きを読む
null LEICA CL 国内発表会 レポート 2017年11月27日
LEICA CL 国内発表会 Report 2017年11月22日、東京・渋谷区にあるアルフレックス東京にて、ライカより発表された新製品『LEICA CL』の国内発表会が行なわれました。今回はその会場の様子と、実機に触れた感想をレポートしたいと思います。 APS-Cシステムの新たなカメラとして登場した『LEICA CL』。2424万画素センサーを内蔵し、『SL...
続きを読む
Leica Price Guide Leica Price Guide 2017年11月24日
 Mマウント交換レンズ  Lマウント交換レンズ  ビゾフレックス用レンズ 価格は2017年11月24日現在のものです。予告なく変更される場合がございます。
続きを読む
null Leica Summicron M35mm F2 ASPH. 5th 2017年09月12日
絞り:F4/ シャッタースピード:1/90秒 / ISO:200/ 使用機材:LEICA M (Typ240) + Summicron M35mm F2 ASPH. (5th) もしこれからライカの始める方に「初めに買っておくべきレンズは?」と質問されたら、私はこのレンズを推薦すると思う。『ズミクロン M35mm F2 ASPH.』、被写体との距離を意識すれば広角寄りにも標準寄りにも写真を見せられる画角と、開放F2の安定感のある描写、そしてコンパクトで主張しすぎない大きさはスナップ...
続きを読む
Leica TL2 Leica TL2 2017年07月20日
絞り:F5/ シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:100/ 使用機材:Leica TL2 + ズミクロン TL23mm F2.0 ASPH. 他に類を見ない独創的かつスタイリッシュなデザインが目を引くライカTLシステムから、新たに『Leica TL2』が発表されました。 2014年に基盤となる『T(Typ701)』が発売され、2016年にはマイナーチェンジモデルである『TL』が発売されたライカTLシステム。TからTLではほとんど変化がありませんでしたが、今...
続きを読む


[↑TOPへ戻る]