『LEICA M』、『LEICA M Monochrom』と並んでLEICA Mマウントのシステムを構成する新機種がこの『LEICA M-E』です。「ライカMシステムへのエントリーモデルとして、ライカのエッセンスを凝縮したシンプルなカメラを目指した。」というお話でした。外装もシンプルながら、『M9』をベースに高度な距離計とフルサイズセンサーなどもそのまま。”エントリーモデル”と呼称してしまうにはあまりにもったいない魅力的な1台の登場です。
『M9』との相違は視野枠セレクターレバーの取り外し、ボディ側面のコネクターの撤廃が主。これらは個人的には使用しないものでしたので、むしろスッキリしたデザインとなった『LEICA M-E』は非常に魅力的に思えます。外装レザーも『LEICA M』と同様のグリップの良いものに変更され、ホールディングは確実に良くなっています。レザーのシボのパターンは『M』と異なるものが使用されていた様に思いますが、これは製品版ではどうなるのでしょうか。
そして、日々持ち歩くカメラボディとして気になるのは新しいカラーリングとなった”アンスラサイト・グレーペイント”の色味ではないでしょうか。個人的にも発表時から気になっていたものであり、HP画像からは随分ブルーとも思える印象があったので今回は同じアングルでもカットを多めに掲載しました。いかがでしょうか?
印象としてはこれまでの”アンスラサイト”系ペイントであった結晶塗装の印象は少なく、僅かにブルー味のかかったグレーのペイントボディといった印象。「バルナックライカ時代のIIIc、その軍用グレーペイントが一番近い色でしょうか」というお話をさせて頂きましたが、確かに、その色味が最も近しい色かと思います。(上記写真ではシャッター速度ダイヤルが七色に映ってしまっていますが、実際にはAモードが赤、他速度表示は黒になります。)
ニッケルのレンズ、はさすがに違和感がありますでしょうか。でもデザイン的には何ら違和感のあるものではありません。もちろんトップカバーは真鍮ですから、使い込むにつれ味が出てくるに違いありません。そうなればオールドレンズとの相性も抜群でしょう!
今回の取材ではLEICA社の様々な方にお話を伺いましたが、その中でも現在の全てのライカ・プロダクトの責任者であるステファン・ダニエル氏に「なぜこのカラーリングを選んだのですか?」と伺った際の「好きだからだよ!」という答えが一番印象的でした。「ライカはカメラだからもちろんスペックには大変に拘っている。でも写真を撮るのに大切なのは数値が並んだスペックだけではなく”手になじむ使い易さ”や”満足できる格好良さ”、”驚く様な新しい写真表現”といった感性部分も大きいんじゃないか。ライカのプロダクトは常にそうした部分を目指して創られている。」との事、これは今のLEICAの魅力を支える大きな柱だと感じました。
「LEICAは『SUMMILUX 21mm/f1.4 ASPH.』の発売前後から”新しい写真表現”へ向けて大きく舵を切った。開発者はこれで誰も見た事の無い映像表現が出来ると語っていた。」というお話も伺いました。『SUMMILUX 21mm/f1.4 ASPH.』は2008年末の発売。その後『LEICA M9』の発売、世界最高の明るさを誇るフルサイズ標準レンズ『Noctilux 50mm/f0.95』の発売など、突出して魅力的なプロダクトを次々と生み出し、最近では世界初のフルサイズセンサー搭載モノクロ専用デジタルカメラ『LEICA M Monochrom』の発売、超高性能標準レンズ『APO-Summicron 50mm/f2』の発表と躍進を続けてきたLEICA社。今回登場した多くのプロダクトも含め、全てが「これで撮ったらどうなるんだろう。」「こんな表現が出来るんじゃないか。」というワクワクする様な気持ちにあふれていました。多分、今回のPhotokinaでライカブースに訪れていた方々は皆、同じ様に感じていたのではないでしょうか。
Reported By MAP CAMERA Staff