先日、第1回目のレポートを掲載しましたが、それから引き続き使用していてもやはり、この『LEICA X2』の描写力には驚かされるものがあります。この写真でも橋脚の精彩な描写は言うに及ばず、その迫るような存在感に圧倒されてしまいます。 まるでRAW現像で整えたような、撮影者の意図を的確に汲んでくれる高描写。手のひらサイズのカメラで、Jpegで、何ともサプライズの多いカメラです。
しみじみ良いと思える描写力です。ガラスの質感と反射する雲影、そこに透けて見える鉄骨の支持体などを見事に描き分けています。実はほぼ強烈な逆光状態で、眼を向けるのも厳しい状況でしたが『LEICA X2』は難なく描写していますね。この安定感、この堅実さ、信頼できるとはこういうカメラです。
撮影して、モニターで見て、そしてPCで見て更に嬉しくなる高描写。ごまかしと無理の無い余裕が感じられます。
壁面の荒い壁、ガラスの艶、そしてその立体感。瀟洒な洋館の静けさを実に良く表してくれます。そして撮れば撮るほど心地よく感じる独特の『ライカ・トーン』。渋く、味わいのあるデジタルカメラなんて、これはなかなかありません。
高速移動中の車内から、少し意地悪なショットを。ガラス越しで暗く、振動も多いという悪シチュエーションでしたが、結果はご覧の通り。天井の鋼材、差す光に照らされたレール、撮影時には分からなかった、PCの大きな画面で初めて分かる緻密な描写力です。
後ろボケも変にクセが無く、安心して活用できる描写です。金属部のトーンも相変わらず美しいですね。
日常生活でも、視点を変えれば様々な思いもよらない光景があります。そんな数々の物語の断片を描くのに、その場の雰囲気を壊さない『LEICA X2』は大きく活躍してくれるのではないでしょうか。写真家のスナップを支えてきたLeicaだからこその完成度。その実力は素晴らしいものです。
“フィルム”選択、ハードモノクロームですが、通常のモノクロームモードと比べて確かにコントラストが強く、暗部もしっかり締まる印象に。ただし昨今多いデジタルフィルターの明部、暗部が飛んでしまうようなコントラストのモノクロと比べて、しっかり撮影者が扱える「節度あるモノクローム」という印象。印画紙で言えば1号と少し、号数を上げた感覚で、この辺りがライカの考えるモノクロームの美学というものなのでしょう。
この花弁の立体感、存在感というのは一体なんなのでしょうか。編集部で「飛び出して見える!」といった感想がありましたが、その表現は的確だと思います。
ヘッドライトの輝き、ボンネットの緩やかなカーブとなだらかなボケ。さっと撮っても被写体がしっかりと存在感を持ち始めます。
写真を撮っていれば、様々な感情が去来するもの。明るいだけではなく”寂しさ”などの感情が滲む事もあるかと思います。派手やかではない旅情や郷愁、そういったものも『LEICA X2』は引き受けてくれそうです。
ライカにはMモノクロームという弩級のモノクローム専用機が控えていますが、それをおいてもこの『LEICA X2』のモノクロームの画の素晴らしさは特筆に値すると思われます。繊細さ、空気感、トーンの芳醇さ。どれも素晴らしくポテンシャルの高さを否応にも感じさせるものでした。
後ろに見えるのは1925年、Leica初の市販機であるLeica A型です。それから100年近い年月を経て、今回発売された『X2』はその「シンプルかつ洗練されたデザイン」と、「小型軽量かつ高い描写力」の2つのポリシーをしっかりと引き継いでいるように思えます。『LEICA X2』、様々な撮影者の眼として、相棒として、大いに活躍してくれる事でしょう!
Photo by MAP CAMERA Staff