『Summicron』と言えば、『Elmar』などと並んでライカレンズの中でも著名なレンズブランド。Lマウントからはじまる『Summicron 50mm/f2』の歴史は最新の『APO-Summicron 50mm/f2』に至るまでLEICAが誇る標準レンズとして多くの写真家に愛されてきた歴史でした。今回使用したのは沈胴・固定鏡筒などバリエーションの多い初代モデルの次、Mマウントの固定レンズとしてブラッククローム仕上げで製造された第2世代モデルです。初代と似た先細りの美しいスタイルながらローレットの刻み等を大幅にリファイン。重量も軽くなり、現代的なフィニッシュで生まれ変わったモデルです。
描写もコーティングを含めたブラッシュアップでかなり現代的になっていますが、その現代的な描写に仄かにオールドレンズの余韻を感じるのがこのレンズの魅力の1つ。例えばこんなカット。初秋の柔らかな光が、少し滲んだその描写で実に良く表されています。
少し絞り込むとこの通り。シャープネスとコントラストはグッと向上します。こうした2通りの描写が潜むのがこのレンズのオイシイ所で、シチュエーション次第で好みの描写を選択できるのは撮影していても楽しいものです。またフィルムとの相性も実に良く、モノクロームでの金属面の描写等は息をのむ様な美しさを得られます。
少し薄暗い中に光が当たる様な光景でも、陰影描写は美しいもの。立体感もしっかりと持ったその描写は『Summicron』の名に恥じない素晴しいものです。
雲も夏の強い陰影から変わり、すっかり秋らしくなりました。コントラストが強くない分暗部にも陰影を多く持ち、写真のどこを強調するか撮影者の意図にそって決めていく事が出来ます。
外装のデザインは簡潔にしてシンプル。コンパクトで軽量ながら良い描写故、愛用している方も多い1本です。フィルムでもデジタルでも変わらず応用範囲の広いこのレンズはこれからも多くの方に愛用されていく事でしょう!
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.