LEICA M11 MONOCHROM
2023年04月22日
写真機が登場して以来、撮影者は世の中に溢れる様々な光を読み「写真」を撮ってきました。そのプロセスはデジタルカメラになった現代でも全く同じではありますが、もっと純粋に光を楽しめる、光と戯れることのできるカメラがライカより登場しました。
今回のKasyapa for Leicaは、4世代目のモノクローム専用のデジタルレンジファインダー機『Leica M11 モノクローム』をご紹介いたします。
「Leica M11」に搭載されている6000万画素のフルサイズセンサーをベースにモノクローム専用センサーへチューニングされた本機の心臓部。その魅力は画素数を超越する解像感と超高感度耐性ではありますが、さらに言うならば、レンズの光を忠実に再現できる写真力と言えばいいでしょうか。カメラ内でカラー処理がされない分、ライカレンズを通る光を余すことなく写真に残すことができるのです。
本記事で掲載している写真は全てJPEG撮って出し(リサイズのみ)となります。ぜひ本機の実力、素晴らしい表現力をお楽しみください。
当然ではありますが鮮やかな花々もモノクロームでしか表現できません。しかしそこにはカラーでは気付けなかった柔らかな質感や花びらの立体感、そして光が生み出す階調の美しさがあります。
これはいい写真が撮れたと感じた一枚。小さな窓から射すわずかな光を『アポズミクロン M35mm F2.0 ASPH.』が繊細に捉えてくれました。
まるで『Leica M11 モノクローム』 のトーンチェックを行ってくれたかのような照明の白い布地と窓からの光。この一枚がどれだけの「グレートーン」で構成されているのか。改めて階調の豊かさを実感します。
葉っぱの輪郭を覆う光が実に美しく見えました。これもモノクロームだからこそ伝わるカットではないでしょうか。
締まった黒とグレートーンの豊かさが目を惹いた一枚。光を帯びたカーテンや床を照らす光の強弱。繊細な画づくりに惚れ惚れしてしまいました。
開放絞りにこだわったので室内での高速シャッターとなりフリッカー現象が見受けられますが、注目してほしいのはISO : 80000での高感度ノイズとピント面のディテールです。ノイズ感がありながらも、ここまで精細に解像してくれるとは予想を良い意味で大きく裏切ってくれました。
まさに白と黒の中間色だけで描かれたこの一枚は、個人的にも強く印象に残りました。きっとカラーなら選ばなかった、気付かなかった世界。撮った本人が言っては台無しですが、ある種の芸術性さえ感じるカットでした。
今回このカットも含め新しく発売された『ズミルックス M50mm F1.4 ASPH. 11728』も撮影で使用しました。『Leica M11 モノクローム』はアポズミクロンの鮮鋭さもズミルックスの柔らかさも、どちらも表現しきれるカメラだと思います。
今までのM型にはない、ざらりとしたマットブラックの塗装が施された本機。本体にはマグネシウムとアルミニウムが使われており、堅牢ながら軽快に持ち運ぶことができます。
背面液晶には硬質なサファイヤガラスを採用。以前のプロフェッショナルモデルを彷彿とさせる仕様です。
光と影の真髄。
このカメラでなければ表現できない光がある。そう思わせる凄みを『Leica M11 モノクローム』から感じました。高画素化されたセンサーの画力は凄まじく、それを最大限に引き出すのはアポズミクロンと感じた一方、ハイライトの粘り強良さやズミルックスの柔らかなアウトフォーカスを余すことなく再現してくれる懐の深さ。「高画素機=シビアな特性」というセオリーを感じさせないバランスの良さも本機の大きな魅力だと感じます。また、最高ISO:200000の超高感度と電子シャッター使用時1/16000秒という高速シャッターも持ち合わせていますので、夜のスナップで被写体の動きを静止させたり、昼間にノクティルックスのような明るいレンズをNDフィルター無しで使用することも可能です。写真の登場以来続くモノクロームという表現ではありますが、『Leica M11 モノクローム』は写真の新たな可能性を示してくれる一台だと感じました。
色の表現が出来ない分、万能ではありません。しかしそれ以上の「グレートーン」という幾万の階調表現を手にすることができます。ぜひその手でモノクロームの世界を楽しんでください。
Photo by MAP CAMERA Staff