ライカの新しい可能性を広げる『Leica ズミルックス M50mm F1.4 ASPH. 11728 / 11729』。5代目になるズミルックスは前回5群8枚のレンズ構成はそのままに、最短撮影距離が0.7mから0.45mへと短くなりました。背面液晶モニターや外付け電子ビューファインダー『ビゾフレックス2』などが必要となりますが、『ズミルックス M35mm F1.4 ASPH. 11726 / 11727』と同様にまさしく「新世代のズミルックス」となりました。今回は同じく最新機種『M11』と最新のモノクロ専用機『M11 モノクローム』で撮影した写真をそれぞれご紹介いたします。ズミルックスならではのやわらかい写りはもちろん、新世代らしい解像感のある写りをぜひご覧ください。
最初から早速、最短札距離0.45mで撮影したカットをご紹介いたします。実はかなり日が傾いてきた時間帯で切れ込みのように光が射している状況です。極薄でありながら、しっかりと背景と分離した立体感のある写り。最短撮影距離でこれだけ写ることにちょっと衝撃をうけました。
開放絞りから驚くほど写るようになったと感じましたが、F2にしてみるだけでまたさらに、シャキっとクリアな画になりました。せっかくだから開放絞りで楽しみたいところですが、ぜひこのワンクリックの変化も楽しんでみていただきたいです。
開放絞りでは柔らかさが魅力といいましたが、少しアンダーめな露出で撮ってあげればこれだけしっかり写ります。撮って出しでこのトーンを得られるなんて、レンズはもちろん『M11』の写りもさすがの一言です。
イメージしていた枠の外でうまれたこの画は不思議なもので、しっかりピントが合った画よりも強く惹かれました。写真の表現や可能性というのは本当に無限大。そしてこの画を良いと思わせてくれたのは、間違いなくこのレンズのおかげです。
『M11 モノクローム』に搭載されている調色(トーニング)のセピア(弱)で撮影をしました。上品な色付きと程よいシャープネス。手前の手すりに光が反射したボケなど色々な要素が心地よい一枚になりました。
夕陽を浴びて発光しているように輝くプラスチックのコップ。適切な露出より少しハイキーで撮ることで光をより強調しました。ぼんやりと滲むようなハイライトの表現はまさにズミルックスだなと思います。
空が白飛びしてしまうことは覚悟のうえで開放絞りで撮りたくなることもあります。というより開放絞りだからこその光の滲みがあるから撮りたくなるのかもしれません。理屈より感情でシャッターを切りたくなる。そしてそんな無茶をしても応えてくれる懐の深さに惚れました。
シャッタースピードの影響で赤信号が消えている瞬間。赤信号がちゃんと出ているカットを選ぼうとしたときに、赤があると主張が強すぎるのでない方が良いのでは?というスタッフの一言に「なるほど、そういう考えもあるんですね。」と面白くなったのでこちらを選んでみました。信号が光っているのが自然だし、ワンポイントになると思っていましたが写真の面白さを改めて実感した出来事でした。
その光に惹かれる
いつだって写真を撮るときには「その瞬間を撮りたい」という衝動が先にあります。突発的な瞬発力が必要なときもあれば、おもむろにカメラを手に取って撮るときも。短い時間でその癖を理解するのは難しいですが、そのなかでも伝わってくるものもあります。その一つ一つに気付いて、うまくかみ合ったときなんて本当に嬉しいものです。ズミルックスの感情豊かな写りは、知れば知るほど撮れば撮るほど、夢中にさせられます。そして理解できた!なんて思った矢先にまた違う表情を見せてくれる、そんな期待感に満ちたレンズでもあります。もしこの最高の光のなにかに惹かれたなら、ぜひその光をご自身の眼で見てみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff