1970年代も終わりに差し掛かった頃、新しい設計思想をもとに開発されたのが、この第三世代のElmarit28mmF2.8である。俗に言う『ニュー・ジェネレーション=ライカ』の始まりだ。直線的な鏡胴と立体的な大型のフードは、これまでのライカ製レンズと比較すると、近代化を実感させるデザインをしている。
近代化は外見のみならず、描写に関してもハッキリと感じとることが出来る。絞り開放においても、ピント面はしっかりと解像感を維持しており、非常に素直な前後ボケも、その印象の助力となっている。
悪く言えば、面白みに欠けると思わせがちな描写は、実はなかなかに侮れないもの。かなり端正でありながら、全体的に硬すぎることも無く、ちょうどいい柔らかさを漂わせている。現行の非球面レンズでは失われてしまった、ひとつの味と言ってもいいだろう。
先代のElmaritと同じく、少々長さのある鏡胴ではあるが、重量はそれほど感じさせない。デジタルに、フィルムに・・・ 素直で扱いやすい28mmは如何だろうか。
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