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木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

2022年07月22日

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

昭和時代の描写を現代に。開放描写の“滲み方”にこだわりを持って作られた木下光学研究所・KISTARシリーズは今まで一眼レフのC/Yマウント、ミラーレスではEマウント、Xマウントで展開されてきました。しかしながら、このオールドレンズのようなクセ玉をライカボディで使いたいと思っていたユーザーも多かったのではないでしょうか。今回はその待ち焦がれた待望の1本、距離計連動式Mマウントレンズへ生まれ変わった『木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M』をご紹介いたします。

まず木下光学研究所という会社について簡単にご説明をしましょう。レンズメーカーとして聞きなれない会社名かもしれませんが、あのヤシカコンタックスの源流と言っても過言ではない富岡光学で銘玉「TOMINON 55mm F1.2」の光学設計を担当した木下三郎氏が独立・創設した会社なのです。近年ではオーダーメイドの特殊レンズや工業用レンズの製造を手がけてきた同社ですが、このKISTARシリーズは息子である木下勉氏や富岡光学出身の技術者が中心となって進めているカメラレンズのプロジェクト。古き良き時代のレンズを現代に、というコンセプトで作られたKISTARシリーズは意図的に収差を残した光学設計がされており、外観だけでなく描写もどこかノスタルジックな香りのするレンズばかりです。

この『木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M』は先鋭な描写で知られる3群4枚のテッサータイプと聞いて撮影に臨んだのですが、まさかここまで個性豊かな写りだとは驚きました。ぜひその描写をお楽しみください。

 

絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

暑さもひと段落し始めた午後5時近く。本レンズでスナップを始めてまず感じたのは、絞りによって写真の印象が大きく変わるところです。絞るとキリッと中心の画が引き締まるものの、周辺には若干の緩みを感じる描写性。これは一筋縄にいかないレンズだなと思いながら、どのような写真を撮ろうかと心が躍ります。
 

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

まるでソフトフォーカスレンズのような開放絞りでの写り味。そのことを頭に置いてシャッターを切らないと想像とは違った写真に仕上がってくるため、気持ち的にはタンバールで撮影するような感覚を持ってスナップしていきます。しかしながら、こんな描写特性のテッサータイプを送り出すとは、製作側が本当に楽しみながらこのレンズを作ったのだろうと想像してしまいます。

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

 

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

 

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

開放描写を活かすなら、晴天の強い光より、夕方から夜にかけての柔らかな光の方が本レンズとの相性がいい気がします。雨に濡れて光を反射するアスファルト、ヘッドライトの点光源。全てを優しく包み込む『木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M』は、解像力重視で作られた現代のレンズとは別の世界を切り取ってくれます。

 

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/4秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

 

絞り:F2.4 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M10-P + 木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M

 

雨の日だからこそ撮れる水滴にピントを合わせた一枚。本レンズの描写だけでなく被写体の反射もあって柔らかな印象になりました。しかしながらピントを合わせた水滴を見るとしっかりと細い線で描かれており、決して解像力が低い訳では無いところが面白いポイント。絶妙なバランスで収差と解像感の両立を図ったのでしょう。さすが木下光学製レンズです。

 


薄型なパンケーキタイプの本レンズ。上面から覗くとぷっくりと膨らむ前玉が愛らしいです。

 

フォーカシングレバーは削り出しで作られており、滑らかなヘリコイドのトルクも相まってピント合わせは実にスムーズ。とても完成度の高い、丁寧なモノづくりだと感じます。

 

KISTARシリーズでは初の距離計連動式を採用していますが、その精度は最上級と言っていいほど確かなものでした。梨地メッキも美しく、まさに古き良き時代のレンズを彷彿とさせる質感です。

 

収差に包まれた、KISTARの魅力。

他に類を見ない開放F2.4の明るさを誇るテッサータイプ『木下光学研究所 KISTAR 40mm F2.4 M』。日本の丁寧なモノづくりを感じる完成度と個性あふれる描写を併せ持った魅力的なレンズでした。絞り開放ではソフトフォーカスと言っていいほど収差が出る写りですが、その特性を活かして作品作りに挑めば、他のレンズには表現できない世界観を切り取れるはずです。

万人受けするレンズでは無いかもしれませんが、だからこそ面白い。解像力だけでは語れない写真の奥深さを改めて感じた1本でした。
 

Photo by MAP CAMERA Staff
 

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