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【特別版】 写真家:セイケトミオ 『私のライカレンズ元年』

絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:320
使用機材:LEICA Mモノクローム + ズミルックス M50mm F1.4 フード組込

 

70年代もそろそろ終わりを迎える頃、行きつけの機材店の棚に並んでいた小さなレンズに目が止まり、それを手に入れた日からぼくのライカレンズはスタートしました。そのころは散々写りが悪いと言われていたライツカナダ製の35mmズミルックスです、なぜそんなレンズを買ったのか今でははっきりとしませんが、ライツカナダからアサヒカメラへの回答に少しばかりのシンパシーを感じていたのかもしれません。

それからはしばらくこのレンズでなんでも撮っていました、そしてそれはレンズに夢中になるという初めての経験でもあったのです。確たるあてがるわけでもなく、ただ写真家への夢に支えられたハングリーな日々、そこで出会った一本のレンズ。いま振り返るとなんと幸せな日々だったのかと、懐かしく思い出します。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:320
使用機材:LEICA Mモノクローム + アポズミクロン M75mm F2 ASPH.

 

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:320
使用機材:LEICA Mモノクローム + ズミルックス M50mm F1.4 フード組込

 

その頃のライカの輸入元は内神田にあるシュミット商会です。ズミルックスを入手した後で、シュミット商会の写真部長A氏から色々お話を聞く機会を得ていましたが、ある日A氏が、「こんなレンズが出たんですが、よかったら使ってみます?」と言って見たこともないレンズを見せてくれました。手にするとまるで鉛の塊かと思うような巨砲です。これがノクティルックスとの出会いでした。

それからの数日間はそのレンズで夢中になって撮っていたと思いますが、ただそれよりもどうにかして手に入れたいという思いが強烈だったと思います。その頃のノクティルックスは今ほど高価ではありませんでしたが、プロ駆け出しの身にとって新品は高嶺の花です。しかしまもなく80年か81年だったと思います、新品同様の出物を日本橋で見つけることができました、当時20万円をわずかに切る値段でした。

 

絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:320
使用機材:LEICA Mモノクローム + ズミルックス M75mm F1.4 フード組込

 

早速手に入れたノクティルックス M50mm F1.0 (1978製) とこれまた中古のM4-Pを持ってシュミット商会を訪ねると、A氏は「75ミリのファインダー枠要らないでしょう?」と言い、それならとM4のファインダーブロックに組み替えまでしてくれた上、最短でのピントが問題無いよう調整までしてくれたのです。なんということでしょう、あれよあれよという間にM4-Pはノクティルックス スペシャルボディに生まれ変わったのです!おかげでその後の20年間、とかく難しいと言われるノクティルックスのフォーカスに苦心したことはなく、最短のフォーカスでも何の心配もありませんでした。

 

絞り:F1.0 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:3200
使用機材:LEICA Mモノクローム + ノクティルックス M50mm F1.0 (E58)

 

少し短めの標準(ズミルックス35mm) と少し長めの標準(ノクティルックス50mm) と言う感覚で2本のレンズを使い分け、ようやく自分の世界を掴みつつあったと思いますが、特にノクティルックスは自分の写真を切り拓いてくれたキーレンズで、このレンズがなければ今の自分はなかったと思っています。その後ノクティルックスはF0.95も含め、50mm系は全て使ってみましたが、50mm F1.0の初期玉58径のシグニチャーは特別で未だに手放せません。

 

絞り:F1.0 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:1000
使用機材:LEICA Mモノクローム + ノクティルックス M50mm F1.0 (E58)

 

 

絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:5000
使用機材:LEICA M10モノクローム + ズミルックス M50mm F1.4 ASPH.

 

それから数年してM6を購入した際、新品同様のズミルックス75mmも見つけて入手しました。今回もまた中古のレンズですが、ライカレンズを新品で購入するのはごくまれで、ライカのレンズを買うということは自分にとっては中古レンズを意味します。

75mmは初めてでしたが、思いのほかこの焦点距離が気に入って、その後もアポズミクロン75mm(初めての新品)、そしてヘクトール73mmも追加して、75mmファミリーが大好きになりました。中でもズミルックスは球面収差の美しいクラシックタイプのズミルックスです。いくら絞ってもカリカリしない上品な描写も35mmのズミルックスに通じるものがあり、マンドラーレンズの中にあってノクティルックスと並ぶ名玉と言ってもいいと思います。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:400
使用機材:LEICA M10モノクローム + ノクティルックス M50mm F1.2 ASPH. ブラックアルマイト

 

フィルム時代の主力レンズは、先の2本にこの75mmを加えた、35、50、75の3本トリオでほぼ完成でした。デジタルになってからは、不思議なことにこのセットはあまり出番がありません。フィルムの時はアウトプットが決まっていますので、レンズの選択も自ずとはっきりしますが、デジタルでは撮っても撮らなくてもいいものにシャッターを押すようになったり、“とりあえず”という向き合いが普通になると、どうしても撮りようが緩くなってしまうのは仕方ないのかもしれません。それでもたまにこのレンズを持ち出すと、何かしらの発見があって、このレンズの奥の深さを知らされます。

 

絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:2000
使用機材:LEICA M10モノクローム + アポズミクロン M50mm F2 ASPH.

 

 

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:1000
使用機材:LEICA M10モノクローム + タンバール M90mm F2.2

 

非球面レンズが採用されている現行のズミルックス M50mm F1.4 ASPH.に関しては、写りすぎてとそれを理由に手放す人もいるみたいですが、これは間違いなくライカ史上最強の50mm F1.4レンズです。それにしてもこのレンズの描写は素晴らしいと思う、特に開放では。ライカユーザーなら最初にどうぞと、誰にでも勧められる文句無しの50mmレンズです。アポズミクロン50mmも素晴らしいけれど、その違いは印刷でもデジタル出力でも殆ど見分けができないレベルの話、しかも値段はその1/2以下、中古なら1/3以下です。ライカ1台にレンズはこれ一本、あとは見向きもしないというユーザーがいたら、格好いいな~と思います、プロには絶対できませんから。

 

 
 

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