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LEICA M10モノクロームの世界【写真家:若木信吾 氏】

2020年03月06日


LEICA M10モノクロームの世界

『ライカ M10 モノクローム』。モノクローム専用機として三代目に当たる本機は、ライカ M10-Pと同じボディをベースにしながら約4000万画素のモノクロセンサーを搭載した、M型史上もっとも解像性能に優れた一台です。今回のKasyapa for Leicaは特別編として、第一線で活躍するフォトグラファー・若木信吾氏に本機の魅力を伺ってきました。ぜひお楽しみください。

LEICA M10モノクロームの世界

LEICA M10モノクロームの世界

 

『ライカ M10 モノクローム』は、本物のモノクロ写真

90年代後半に『M6』を使い出して、そこからライカスクリューマウントをはじめとするライカのレンズにハマった時期がありました。デジタルはライカ M9-Pから始まって、今はライカ Sと、ライカ M10-Pを使用しています。ライカ M10モノクロームを使用してまず驚いたのは、撮影した写真が背面液晶に映し出された時のクオリティの高さ。いわゆるカラーデータをモノクロ化したのとは全く違う、モノクロプリントを見ているような感覚で、撮った時点で“本物のモノクロ写真”なのです。それが衝撃でした。基本的に撮って出しが多い僕にとって、モノクロで撮るとこう仕上がる、というのを現像しないでそのまま写し出してくれるのが嬉しいです。例えば露出を少し明るめにして撮ると、薄くて軽い感じではなく、ちゃんと明るめのモノクロプリントのような階調を出してくれます。

LEICA M10モノクロームの世界

露出は基本的にマニュアルです。そうじゃないと自分のトーンが作れないのと、絞りを回しながら思いついた露出でパパっと撮れるところがいい。例えば暗め、明るめのバリエーションをオートブラケットを使って撮ろうと思うと、メニュー画面を開いたりと時間がかかってしまうじゃないですか。撮影の時は、そういう時間はないですからね。やっぱりシャッターを切るまで感覚的に操作できるのが、ライカ M10モノクロームを含めたライカの魅力だと思います。

LEICA M10モノクロームの世界

LEICA M10モノクロームの世界

上の2枚はスナップをしていた時に、たまたま見つけた閉店した後のレコードショップの写真です。トタン屋根の軒下にパネルや看板が放置してあって、それを柵越しに撮影しました。このパネルをよく見ると印刷の網点まで写っているんです。そしてディテールやトーンはもちろんですが、写真を写真で撮るというのも面白いなと。

LEICA M10モノクロームの世界

続いてはポートレートです。食事に行った時など、よく一緒に行く仲間や知人を撮らせてもらうのですが、やはり目線が来ているポートレートというのは特別な魅力があります。しかもモノクロだと、知り合いなのに他人として写る様な“よそよしさ”が生まれる。これがカラーでニッコリ笑っていたら記念写真になってしまうじゃないですか。このクールで独特の引き離し方がモノクロのいいところだと思います。そして、ポートレートを撮るときは、なるべく表情を作っていない時の方が、その人を写し出せる気がして好きです。撮影の時は「笑わないで」という時もあります。

LEICA M10モノクロームの世界

こちらも知人を撮った一枚です。ライカ M10モノクロームで撮影すると、カラーの時よりもアート寄りなポートレート作品に近付ける気がします。

LEICA M10モノクロームの世界

移動中の新幹線から撮った写真です。京都の手前の滋賀あたりかな。この時期はいつもここだけ雪が降っているので、いつかこの景色を撮りたいなと思っていました。移動中に見える車窓からの景色を素敵だなと思ってシャッターを切ることがあるのですが、画が流れたり、電柱が横切ったり、なかなかイメージ通りに撮れないんですよ。

もし通り過ぎる一瞬の記憶を、その場で立ち止まって撮った様な写真ができたら素敵だと思うのです。普段は気づかないような道も、写真にするとじっくり見ることができて、この道を歩くことができるじゃないですか。そういうのがモノクロで撮れて、しかも外は雪景色だったりすると、写真の中に世界観が生まれますよね。

LEICA M10モノクロームの世界

LEICA M10モノクロームの世界

最後は、とある町工場で革を切るための作業台を撮った写真です。一見するとハサミが錆びているように見えるのですが、これは革の染料が着いている為で、この雰囲気をモノクロに表現できたらいいなと思い、シャッターを切りました。モノクロだと色に邪魔されることなく金属や革、紙など素材の違いを表現することができるし、ディテールもしっかり表現されているので、立体感も素晴らしいです。

今まで仕事も作品撮りもカラーが多かったのですが、今回ライカ M10モノクロームを使用して、改めてモノクロもいいなと感じました。昔は暗室を持っていた時期もありましたが、撮る時間の方が増えてしまって、どんどん現像していないフィルムが溜まってしまって、結局ラボにお願いするやり方になってしまいました。そうやっているうちに、モノクロから少し遠ざかっていました。

ライカ M10モノクロームを持っているとモノクロで景色を見るように意識が変わるのです。「モノクロだったらこうなるな」って。そうなると被写体や光に集中して撮ることができる。写真を撮ることに迷わなくなります。モノクロの表現で最高の被写体を探すことに徹することができるのです。

LEICA M10モノクロームの世界

最後はライカ M10モノクロームで若木氏を撮らせていただきました。この度は本機の感想だけでなく、撮り下ろしの写真と、貴重なコメントをありがとうございました。

最新技術が次々とカメラに採用され、多機能がカメラの性能とも言える現代のデジタルカメラ。そんな中で、写真とは何なのかをライカ M10モノクロームは示しているような気がしました。今後もKasyapa for Leica では皆様が楽しめるライカ関連のフォトプレビューや特集記事を掲載していきます。引き続きマップカメラ、そして ライカブティック MAPCAMERA SHINJUKUを宜しくお願いします。

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