LEICA SUPER APO SUMMICRON SL21mm F2 ASPH.
2023年12月14日
「アポ・ズミクロンSLレンズ」としても最広角レンズ。世界初となる焦点距離21mmのアポクロマート補正レンズ『Leica スーパー・アポ・ズミクロン SL21mm F2 ASPH.』が登場しました。レンズ構成は非球面3枚を含む11群14枚。特殊な異常部分分散ガラスをレンズエレメントの大部分に採用し、色収差を抑えています。これだけの超広角レンズでありながらフィルター径E67と他の「アポ・ズミクロンSLレンズ」と統一、約789gのコンパクトなサイズになっています。21mm銘なら「ズミルックス」、「スーパーエルマー」「スーパー・バリオ・エルマー」や「スーパーアンギュロン」のような超広角レンズがありますが「ズミクロン、アポズミクロン」の「スーパー(超広角)」はこれが初めてです。実際一体どんな写りを見せてくれるのか。撮影してまいりました。ぜひご覧ください。
朝の光が射し込む秋の色を撮影。中央にフォーカスしましたが細い小枝をすらりと描く解像力の高さに驚かされます。これからさらに赤や黄色に色づいていく葉の鮮やかな色をしっかりと捉えてくれました。アンダーではっきりした色からから光に透けた色まで綺麗です。
少し寄って開放絞りで撮影しました。最短撮影距離は21cmなのでまだまだ寄れる余地はありますが背景に明るいポケットがあったので、そこに蜘蛛の糸が絡んだ落ち葉を入れてみたところ背景に丸ボケが出来ました。21mmの超広角でも割と気楽にボケを活かした撮影が出来るというのは嬉しい発見です。ボケの形も周辺まで大きな歪曲がありません。
葉が重なり合う部分をご覧ください。葉の厚みや立体的な輪郭線。黒ではない陰の表現が非常にリアルです。暗がりに沈んでいく茎や、仄かな光に浮かぶ葉もとても色っぽいです。
白い壁に模様のように映るのは実は影です。色んな角度の反射光で重なる影の濃度を絶妙なコントラストで描いてくれます。
スポットライトを当てたかのように、中央に浮かび上がる一脚の椅子。その存在を引き立てたくて全体的に露出をアンダーに振りましたが、この極端なコントラストでもしっかりと被写体の立体感を感じる写りです。
最短撮影距離21cmで撮影。最短でも細かなディテールまで解像する性能の高さに驚きです。超広角で絞りF2でもこれだけしっかりとボカすことが出来ます。
レンズ自体に手ブレ補正機構はありませんがコンパクトな鏡筒と程よい重量感でホールド感はとても良いです。さらにボディ内手ブレ補正がサポートしてくれるおかげで、絞って撮るとその鮮鋭さにますます磨きがかかります。
「眩しい」と思うような強い光や、その光に反射する銀の輝き。影のグラデーション。ライカのレンズが捉える光にはいつも感情が揺さぶられます。
超広角単焦点の最高峰
いざ実際に撮影してみて思ったのは一枚一枚の写真にあるリアルさ。まさにそこに存在するかのような質感と質量。明るいF値によるボケ表現もあって超広角レンズながら同シチュエーションでも幅の広い撮影が出来ました。わずかな光の変化も敏感に捉えて撮影者の意図をこれでもかと汲んでくれる『Leica スーパー・アポ・ズミクロン SL21mm F2 ASPH.』。ぜひ使ってみていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff