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Thambar 90mm/f2.2 No center-Filter

2014年02月24日



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/300秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

ソフトフォーカスレンズという一群が有る。写真黎明期から肖像写真用として発展したレンズ群で、意図的に収差を残し、解像線は残しつつソフトな、紗のかかった様な絵画調な描写傾向を目指したレンズ達だ。最盛期にはウォーレンサック社のヴェリートやフォクトレンダー社のユニバーサルへリア、エミル・ブッシュ社のニコラペルシャイドなど様々なレンズが発売されており、今でも愛好家の多いレンズである。

そんな時代潮流も有り、LEICA用に唯一純正で発売されたのがこのタンバール・レンズだ。用途が特殊だったために生産本数は少なく、専用付属品の欠品してしまったレンズも少なくない。しかしライカレンズの中でも突出して独特なこのレンズの描写は”使ってみたい”と思わせる魅力にあふれている。ぜひその描写をご覧頂ければと思う。

このカットをご覧頂いただけでも、その独特の描写世界はご理解頂けるのではないだろうか。鮮明さやコントラストとは対局を行く世界。しかし月の表面を良くご覧頂きたい。しっかりと解像している事がお分かり頂けるだろう。ただボケてしまったレンズとの違いはここにある。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

花弁の愛らしい柔らかさ、艶やかな葉の照り返し、しかし独特な描写のレンズである。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2


『Thanbar 90mm/f2.2』はレンズ単体でも収差を残し、ソフトな描写をする様に設計されているが、アクセサリーとして付属しているセンターフィルターを使用する事でそのソフト量が最大になる様に設計されている。今回の使用ではセンターフィルターを外した状態で撮影しているが、それでも開放は驚くほどソフトだ。また、前ボケを美しくする様に設計されているレンズ故、後ろボケははっきり言って扱いづらい物が有る。センターフィルターを使用するとリングボケとなり更に使用が難しい。魅力的な描写の反面、使いこなすのが非常に難しいレンズの筆頭とも言えるだろう。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

後ろボケは暴れているが、こうしたカットであればあまり気になる事は無い。ピント面にある若芽の柔らかな質感描写はさすがタンバールである。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

ピクトリアル=絵画調とは…まさしく納得してしまうこの描写である。見慣れた近郊の光景が情緒あふれる空間に一変してしまうのだから驚きだ。使っていて楽しい事は間違い無く、また想像以上にカラーとの相性が良いのにも驚いてしまった。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

ピント前後のボケの感じがお分かり頂けるだろうか。まさしく光を愉しめるレンズで、このレンズでしか描き得ない世界がある。



LEICA M + Thambar 90mm/f2.2

絞り:F2.2 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Thambar 90mm/f2.2



今回使用したレンズは外観はさすがに積年の使用を物語るものであるが、レンズコンディションは良く、ピントもしっかりと来ている。次回のレポートではセンターフィルターを使用したレポートをお届けしたいと思う。数あるライカレンズの中でも間違いなくトップの個性を誇る本レンズ、好みは大きく分かれるが、ライカレンズの世界の深さを感じさせる1本だ。

Photo by MAP CAMERA Staff

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