【Leica】 Digital “M” 貴方はどれを選ぶ? 【こだわりのM8/M8.2編】
デジタルM型ライカ。
記録媒体がフィルムから撮像素子に変遷した今も、伝統の距離計を搭載し、進化し続けています。
名だたる国産フラッグシップ一眼レフを優に超えるその価格、そしてブランドは、カメラ界の“高嶺の花”とも言うべき存在。
M8からスタートしたデジタルのM型ライカも、フルサイズとなり、モデルが多様化してきた今。
皆様の「今からライカを始めるのならどのモデルを買えばいいのか?」という疑問にお答えする為に。
本稿では、各モデルを振り返って、順番にご紹介していきたいと思います。
前回は、M9~現行のM(typ240)をご紹介する【フルサイズ編】をお届けしましたが、
今回は【こだわりのM8/M8.2編】をお届けします。
<<<<<<『Leica M8』 / 2006年12月15日 発売>>>>>>
1030万画素 APS-Hサイズ・CCDセンサー搭載。
重量:545g
カラーバリエーション:ブラッククロームメッキ/シルバークロームメッキ
初のデジタルM型ライカ。
デビューを果たしたのは、今から8年も前のことになります。
ボディの中心に鎮座するのは、フィルムではなく撮像素子。
M型ライカはマウントから撮像面までの距離、フランジバックが他のカメラに比べて短いために、
レンズを通りセンサーへ入る“光の角度”が設計上の課題になりました。
そこでKodakが開発したのが『KAF-10500』という名の新型センサー。
フルサイズでは無く、APS-H相当。装着したレンズは1.33倍の焦点距離となります。(例:35㎜→約46.55㎜)
きつい角度でセンサーに光が入射しても、画像周辺部が良好な画質を保てるようにマイクロレンズをオフセット。
更にはローパスフィルターを搭載せず、ソフトウェアによりモアレを処理しています。
1030万画素というスペックだけ抜き出すと、今となっては古臭く感じるかもしれませんが、
Mマウントレンズ群に最適化された専用設計のセンサーは、驚くほどヌケが良く、鮮鋭な写真を出力してくれます。
さて、皆様はM8しか持ち合わせていない最大の特徴をご存知ですか?
それは、最高「1/8000秒」のシャッタースピード。
M8以降、シャッターが静音化された為に、後述のM8.2~現行のM(typ240)では「1/4000秒」が最高速。
NDフィルターを使用せずとも、絞りを積極的に開けて撮影出来る為、レンズのボケ味を楽しみたい方に人気のポイントでもあります。
元気の良いシャッター音については否定的な意見も耳にしますが、上述の利点を考えると些細な事ではないでしょうか。
個人的には「撮ったぞ!」という気にさせる良い音だと思っています。
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<<<<<<『Leica M8.2』 / 2008年10月23日 発売>>>>>>
1030万画素 APS-Hサイズ・CCDセンサー搭載。
重量:545g
カラーバリエーション:ブラックペイント/シルバークロームメッキ
M8の発売から約2年後、ユーザーの声を反映したマイナーチェンジモデルが登場しました。
搭載しているCCDセンサーはM8から受け継いだまま、シャッターを静音化。
ブラック・ボディの仕様がブラッククロームメッキ仕上げから、往年の黒塗りライカを連想させるブラックペイント仕上げに変更。
トップカバー正面のライカロゴも同色にペイントされているために、立ち姿が良く、現在でもファンが多いのも頷けます。
実は、M8.2にも独特の機能があります。
それは、「S(スナップショット)モード」
シャッタースピードダイヤルをSモードに合わせておくと、
撮影条件に応じてシャッタースピード/ISO感度/ホワイトバランスを自動的に設定してくれます。
速射性を高める人気の撮影モードでしたが、後継のM9からは搭載されなくなりました。
遊び心を加えたマイナーチェンジで、M8から更に進化した『M8.2』
質感・画質共に、6年経った今でも、十分楽しませてくれます。
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最後に・・・
以降のデジタルM型ライカでは改善された、M8/M8.2固有の問題。
「マゼンダ被り」についてお話しておかなければなりません。
M8/M8.2に使用されているCCDセンサーは、赤外線をカットするフィルターが極めて薄い設計。
その為、メーカーも当初は予期していなかった「マゼンダ被り」が発生します。
赤外線を吸収しやすい被写体…特に黒色の繊維を撮影すると、その部分だけマゼンダに色転びしてしまいます。
この問題に対応するため、余分な赤外線をカットする「UV/IRフィルター」をレンズの前に装着する必要があります。
少々面倒な性質を持っていますが、近年ではその特性を逆手にとり、M8/M8.2で赤外写真の撮影を楽しむ方も増えています。
一般的なデジタルカメラでは赤外写真用の特殊フィルターを装着すると撮影には三脚が必須ですが、
ある程度の環境であれば手持ちで撮影が可能なようです。
いかがでしたでしょうか。
いわばクラッシック・デジタルカメラのカテゴリーに入りつつある『Leica M8/M8.2』
順を追って、簡単に特徴をご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
皆様のお好みに合う一台に巡り合えたなら幸いです。
是非、前回の【フルサイズ編】も合わせてご覧ください。