【Leica】Mを愉しむ ~M11でレンズを愉しむ~#8 SUMMICRON M35mm F2 ASPH. + APO-SUMMICRON M75mm F2 ASPH.
2月20日、MapCamera本館1階のLeica Boutique MapCamera Shinjuku は9周年を迎えました。これもひとえに皆様の厚いご愛顧があったればこそ、心より御礼申し上げます。
9周年を迎えるにあたって、今回ライカブティックでは「愉しむ」をコンセプトに様々なイベントをご用意いたしました。毎年ご好評いただいているスタッフによる連載ブログですが、今回は『Mを愉しむ』というテーマのもと、「M11でレンズを愉しむ」と「M10シリーズを愉しむ」という2本立てで進行させていただきます。
「M11でレンズを愉しむ」では、2021年1月21日に発売を開始したばかりのLeica M11を全面的にフィーチャー。
マップカメラスタッフが持ち回りで試写し、そのインプレッションを各々の観点で語らせていただきます。
さらに最新鋭機 M11に組み合わせたいレンズを各自でチョイス。その描写を皆様にお届けします。
時代を彩る銘レンズたちが、6000万画素という超高画素・高精細なカメラを通してどんな表現を見せてくれるのか、是非お愉しみください。
今こそ深遠なるライカの世界に…
待望の「Leica M11」に触れる機会を得ました。
M10-Pを所有して約2年。ようやくスムーズ?に使えるようになり、愛着が湧きはじめた頃の出来事に「まさか欲しくはならないだろう」と思っていたのですが…。
今回使用したのはブラックペイントモデル。ボディの外装にアルミニウムを使用したことで、M10-Pより145gも軽量化されています。
そもそも私のライカデビューのきっかけが、重い機材からの解放でしたから、この軽量化されたボディを握った瞬間の驚愕は忘れることができません。
しかも重さ以外の寸歩は全く変わっていないのですから、握った時の違和感は全くありません。まさかファーストタッチで欲しくなるとは。
新しい物がすぐ欲しくなる病気は相変わらずのようです。
軽量化により過去最高にフットワークが軽くなった筆者は、人出の少なそうな場所を求めて東海道線の国府津まで着てしまいました。
15両編成の列車から降りた乗客は10人程。駅前の海岸にも釣り人が1人いただけの静かな場所です。
早速、緊張のファーストカットを。
やや雲が多めの空でしたが、冬の強い日差しが差し込む逆光下での撮影です。
ライカを使っていて唯一頭を悩ませていたのがこのようなシーンでの撮影でした。M型ライカはM6以降シャッター幕の反射光を測る方式で測光していたため、強い光が少しでも入ると実際より明るく認識する傾向がありました。これがM11からは撮像センサーで直接測光するようになったおかげでより露出精度が向上。露出補正することなく見た感じに近い風景を切り取ってくれるようになったのです。
長年ライカを愛用されたいる方に聞くと、グレー模様のシャッター幕が見られなくなった事に寂しさを感じるという声も聞かれましたが、デビュー2年目の筆者にはそこまでの愛着はなく、素直にこの進化を嬉しく感じました。
国府津駅から御殿場線沿い進むと曽我別所梅林に辿り着きます。
かつて小田原周辺を治めていた北条氏が梅の実を兵糧とするため城下に多くの梅を植えたのがきっかけに生まれた梅林だそうです。
富士山が近いことから富士山と梅のコラボが見事な場所なのですが見頃はまだ先のようです。混雑を避けての外出でしたからある意味予定通りです。
それでも早咲きの花を楽しむことができました。
センサーの画素数が6030万画素になったことで小さな被写体もより繊細に捉えるようになったM11ですが、気になるのがレンズとの相性です。
今回使用したレンズは普段から愛用の「Summicron M35mm F2 ASPH. (フードはめ込み式)」と「APO-Summicron M75mm F2 ASPH.」の2本。
メーカーがアポズミクロンの優れた描写力を存分に味合うことができる6030万画素と言うように、75mmではその素晴らしい描写が一目で分かりました。
M10-Pの2400万画素には何の不満もありませんでしが、悔しい事により高画質な画像を見てしまうとその差を見過ごすことはできません。
画質がもう一段クリアーになった印象で色のりも良くなった様に感じます。コントラストがはっきり出るおかげでデジタル色が強くなったイメージもありますが、空気感を含めた描写力は凄いの一言です。
近接撮影すれば、その質感もより伝わります。
一方で、さらに精度の高いピント合わせやブレ対策が必要となり、自身の未熟さを痛感する結果となりました。
食事処を求めて小田原城近くまで移動してきました。
広いお城周辺では、画角の広い35mmでの撮影がメインになります。
私が使う「Summicron M35mm F2 ASPH.」はフードはめ込み式と呼ばれる1世代前のモデルで、1997年に登場した少し古めのレンズです。
非球面レンズを採用しているものの、2006年のM8以前に設計されたレンズですから、デジタルカメラでの撮影には考慮されていなかったと思われます。それでも画面周辺までシャープに捉えるのですから、いかにライカのレンズが昔からしっかり設計されていたかが分かります。
城内でも見事な梅を楽しむことができました。
細い枝までしっかり描写しており、旧モデルのレンズだからといって6030万画素に耐えられないということは感じられません。
少し絞って撮影した天守閣のカットでも25年前のレンズで撮ったとは思えないほどシャープな写りを披露してくれました。
かつてニコンからD800E(3600万画素、ローパスフィルターを無効化モデル)が登場した際、その能力をフルに活かすことのできるレンズとして、推奨レンズがメーカーから公表されていました。それから約10年、高画素化の進化は止まらずさらに倍近い6000万画素の時代に。
当時を知っている身としては、どうしてもレンズとの相性が気になってしまいます。歴史ある銘玉が多いライカだけに尚更です。
しかし今回使ったレンズではその心配は杞憂に過ぎませんでした。また機会があれば他のレンズでも試してみたいと思います。
ライカブティック9周年記念ブログ『Mを愉しむ』はこちらから。