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日録新卒カメラ vol.7 ~ZEISSIKON Contina~

『日録新卒カメラ』は、昨年の春に入社した新卒による短期連載ブログです。
マップカメラで働き始めてから早いものでもうすぐ1年。
入社前から大切に同じ機材を持ち続けている人。
初めて自分のカメラを購入した人。
システムがガラッと変わった人。
いろんなカメラをたくさん集めた人。
十人十色、様々なカメラへの向き合い方があった1年間です。
この連載では各々が持っている機材や、その機材で撮った写真をご紹介します。

数日間続いてきましたこの連載もこの回をもっておしまいです。早いですね。
私がこのお店で過ごした1年間もあっという間に過ぎ去っていきました。
入社式で緊張しきっていたことがその言葉のとおり、昨日のことのように鮮明に思い出すことができます。

そんなまるっと1年若い、入社ほやほやな私はその数ヶ月後、小さな一台のフィルムカメラを手にします。
新卒カメラ最終回はそんなカメラを紹介いたします。

サボテンとContina

1948年、西ドイツはZEISSIKON社製のスプリングカメラ、Continaです。
おおよそ70年前に生まれ、おそらく幾多の人の手にスッポリと収まったこの子は、やがて海を越え時代を超え、私の手にも収まったのです。

実はこのカメラ、ContinaでありContinaⅡでもあります。
今回紹介するContinaが発売されるより前、1947年にIkonta35というカメラが誕生しています。
このIkonta35、1953年ごろからはContinaⅠと名前を変えて販売されています。

おやおや、すでに1948年に無印のContinaは販売されているというのにⅠ型という肩書が。
その当時どんな議論が交わされ、どんな決定によってContinaⅠと呼ばれたかは私は知りません。
しかしContinaと、ContinaⅠが同時に存在するのもおかしな話です。
ということで、Ikonta35がContinaⅠと改名されるタイミングでContinaはContinaⅡと改名されました。
なんともむつかしい話だと思いました。いつも頭の中が整理されていない私にとっては頭も痛くなるほどです。
今でも(これで合ってたっけ…?)と少しだけ不安になります。

さて改めまして今回は、発売当初の名前を大切に「Contina」でご紹介です。

ZEISSIKON Contina+kodak PORTRA160

冒頭でもお話しましたが、去年の初夏ごろ衝動的にお迎えしました。
お世辞にもカメラに詳しいとは言えなかった私は、そのフォルムと可愛い手間に惚れ込んだのです。
スプリング式のメカ感、非連動の距離計、空回る巻き上げは36枚撮りで36枚撮れるほうが稀なくらいに。
奇妙な機械式カメラデビューを果たしました。

ZEISSIKON Contina+kodak PORTRA160

古いカメラやし壊れてもしゃあないか、と、半ば博打感覚で買いましたが、これがなかなか壊れません。
なんにもない日も、楽しいことがある日も、おやすみの日も、お仕事の日も。一番多い頻度で持って出かけるのはこのカメラです。
きっとその小ささと可愛さ、それとこの亀のようなフォルムの頼もしさが起因しているのでしょう。

ZEISSIKON Contina+kodak PORTRA160

 

ZEISSIKON Contina+FUJIFILM業務用カラーフィルム

写りも申し分ないものです。
淡い色合いと、適度に光を処理しきれない感じが何とも言えずいい雰囲気を醸し出してくれます。
撮影空間に伝わる影響はごく僅かで、チャキ…という小さい小さいシャッター音と、指に伝わる水滴が落ちるような軟い振動だけ。
短い距離で交わされるカメラと私の会話のように思えます。

ZEISSIKON Contina+FUJIFILM業務用カラーフィルム

気が付けば手元のカメラは12台。このブログが投稿されている頃にはもう少し増えているかもしれません。
結局どのカメラも可愛くてかっこよくてローテーションですべて使ってあげるようにはしています。
ただそうは言っても自分で買った初めての完全機械式のカメラであるContinaはその中でも群を抜いて愛着があります。

Continaと仲間たち

ひたすらいろんなカメラを触って、集めて、撮ってみて、数多くの学びがあった1年間でした。カメラというものを使い始めて10年と少し、来年こそは上手くなったと思うことのできる1枚を撮りたい、など、毎年思っていることを今年も例にもれず考えています。

4月まであとほんのわずか。
様々な出会いと別れの思い出とは切っても切れないこの季節。
記憶一つ一つが鼻水とくしゃみ、目の痒みで霞む季節。
社会人二年目に突入する私たちにとってはクラス替えや卒業、入学などのイベントこそありませんが、
なんとなくもの悲しいような緊張するような心細いような…こんな甘酸っぱい青春の名残りの気分がまだ感じられます。
いずれ感じられなくなってしまうのでしょうか、そうなれば寂しいかもしれません。
裏を返せば、忘れてしまった方が生きやすいのかもしれません。
体の一部になりつつあるマスクのおかげで花粉など意に介さぬはずなのに、ああ痒いと意地を張りながら湛えた涙でぼやけた世界。
濁さず残してくれるのは数百分の一秒にも満たない短い時間の、小さな小さな羽根の動きであったりするのです。

ZEISSIKON Contina+FUJIFILM業務用カラーフィルム

扉の先は季節外れの三寒四温。
羽織ったコートの命運やいかに。

日録新卒カメラ、これにてひとまずおしまいとさせていただきます。
最終回までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 


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[ Category:etc. | 掲載日時:20年03月30日 11時30分 ]

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