週刊 カメラーズ・ハイ! 第23回 『レンジファインダーを身近にしたVoigtlander BESSA R』
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┃週刊 カメラーズ・ハイ!第23回『レンジファインダーを身近にしたVoigtlander BESSA R』
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「Voigtlander BESSA R」は、日本のカメラメーカー コシナ より2000年3月に発売された、
TTL定点合致式距離計連動35mmフォーカルプレーンシャッターカメラ(メーカーカタログより)です。
簡単に言うとライカ型カメラですね。
前年1999年2月発売の「BESSA L」に距離計内蔵ファインダーを搭載したものです。
(「BESSA L」は、ファインダーも距離計も持たない目測式の広角レンズ専用カメラです。)
最大の特徴は、何と言っても、高性能なファインダーでしょう。
明るく鮮鋭なファインダーは、M型ライカのものと比較しても決して負けてはいません。
ボディ上面のフレームセレクターレバーで、4種類の焦点距離に対応したフレームをファインダー内に表示させることができます。
左から、75mm、 35mmと90mm、 50mm のフレームです。
ファインダーは、ハイアイポイント仕様で、眼鏡をかけていても見やすくなっています。
もちろんパララックス自動補正付きで、撮影距離によってフレームが右下へ移動(∞から最短距離)します。
M型ライカと同様の実像式距離計は、二重像のフチもはっきり見えるため、二重像合致式のほか、上下像合致式のピント合わせが可能です。
一眼レフと異なりレンズからの入射光が常に当たるシャッターは、
光線漏れを防ぐためにシャッター幕の前(レンズ側)に遮光幕を設けています。二重シャッターですね。
グレーに塗られた遮光幕に反射した光をボディ底部のSPD素子により測光するTTL中央重点測光システムを搭載しています。
巻き戻しクランク、フレームセレクターレバー、シャッターダイヤル、巻上レバーなどは、金属製でこだわりを感じます。
裏蓋は現代のカメラらしくフィルム確認窓があり、立体的な成型でホールド性を高めています。
フィルム室の上に大きなファインダーがあるため配置が難しい巻き戻しクランク(ライカM4でも苦労した様子がうかがえます)も
折りたたみ式にして、上手くまとまったデザインに仕上げていますね。。
また、ボディ前面エプロン部には、オールドレンズの無限ロックピンを逃がす溝があり
ライカのエルマーやズマロンも使用できます。
BEESA R 発売当時は、「中古カメラブーム」でライカにも注目が集まっていましたが
中古といえども、ライカは高価でなかなか手がだせない「高嶺の花」のような存在でした。
しかし、この「BESSA R」によってレンジファインダーの世界に踏み込んだユーザーも多いことでしょう。
「レンジファインダー機は高い」と言うイメージをくつがえし、高性能にして低価格の
「BEESA R」は、レンジファインダー機を私たちのより身近な存在へと変えてくれたのです。
私自身も父が使っていた「キヤノンIVs b」「キヤノンP」のレンズを露出計内蔵の新型Lマウントカメラで使ってみようと「BESSA R」を購入しました。
実際に使用してみると、その素晴らしいファインダーの魅力と便利なTTL露出計、ライカにもない1/2000秒シャッターなどのとりこになりました。
また、Lマウントレンズは、Mマウントに比べてメーカーも多く種類も豊富で、しかも安価で買いやすいものが沢山あります。
「BESSA R」のLマウントはブラックホールのように次々とオールドレンズを集めはじめたのでした。
「レンジファインダーカメラ入門機」としても「ライカへのステップアップ機」としても
また「生涯の友」としても長く付き合える良いカメラだと思うのです。
追記:1999年に発売されたレンジファインダー機と価格
1999年 3月 安原一式 ¥55,000 (完全予約制の少数生産機)
1999年 12月 コニカ ヘキサーRF ¥168,000 (モータードライブ内蔵のAE搭載機)
1999年 12月 ライカM6TTL ¥360,000 (ライカM6の改良機:TTLストロボ自動調光搭載)
BESSA R の仕様
型式:TTL定点合致式距離計連動35mmフォーカルプレーンシャッターカメラ(レンズ交換式)
使用フィルム:35mmフィルム
画面サイズ:24mm×36mm
レンズマウント:Lマウント
ファインダー形式:実像距離計式逆ガリレオ透視ファインダー
ファインダー倍率:0.7倍
距離計:二重像合致式、連動範囲0.9m~∞
視野枠:35mm,50mm,75mm,90mm対応、ブライトフレーム切り替え式、パララックス自動補正
視野率:87%(3m時)
シャッター:メカニカルタイプ上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター 1/2000~1秒、バルブ
シンクロ接点:X接点(1/125秒より遅い速度で同調)
測光方式:TTL幕面ダイレクト実絞り中央部重点平均測光、3点LED表示による定点合致方式
測光範囲:EV1~EV19(ISO100F1.4;1秒~F16;1/2000秒)
フィルム感度:ISO25~3200(1/3ステップ)
露出読み取り:シヤッターボタン一段目のONにより表示、LEDの12秒間点灯表示
フィルム巻き上げ:一作動レバー巻き上げ式、巻き上げ角135°、予備角30°、二重露出防止付き
フィルム巻き戻し:巻き戻しボタンおよび巻き戻しクランクによる、巻き戻しボタンは巻き上げにより自動復帰
フィルムカウンター:順算式、裏ぶた開放により自動復帰
セルフタイマー:メカ式セルフタイマー、作動時間 約10秒
電源:LR44型アルカリマンガン電池2個またはSR44型酸化銀電池2個
大きさ:135.5(幅)×78.5(高)×33.5(厚)mm
重さ:395g(ボディーのみ)