【新元号令和、平成を振り返る】レンジファインダーニコンで日常にスパイス【Nikon】
スパイス10
気が付けば、平成という時代もカウントダウンを迎えています。
同時に春の訪れも、往々にして、気がついた頃にはもうすぐ傍に感じるものです。
今年も今年とて、あっという間に春の景色が広がり始めました。
さて、春は新しい出会いへの期待や、別れへの不安など、様々な感情が交差する季節。
同時に、新しいことへの挑戦の可能性も秘めています。
十人十色の春の始まりですが、一つ、これから何かを始めようとする方へ、ささやかな提案です。
「平成の最後に、S型ニコン、始めませんか?」
ちなみに、以前、私の担当する当記事のシリーズの中で、
ニコンS2、ひいてはSマウントレンズの魅力を、さらっとですが、お話いたしました。
今回は、そのお話の続きといたします。
ところで、私がなぜ、レンジファインダーカメラの代名詞的存在であるライカを使わずに、ニコンのレンジファインダーを使っているのか。
正直なところ、こればかりは理屈ではありません。
しいて申し上げるなら、「一目惚れ」というものなのでしょうか。
そんなニコンを愛してやまない私が、今回ご紹介するのは、Nikon S3です。
趣味の道具は、愉しまなければならない
ニコンのレンジファインダーカメラのひとつ、Nikon S3。
皆様には、人生の中でこれだけは大事にし続けたい、というものはありますか。
私にとってこのカメラは、そういったかけがえのないもののひとつです。
このカメラは元来、1958年にオリジナルが発売いたしました。
私の所持しているものは、平成12年に復刻され、2000年を記念した限定2000台のモデルです。
前機種にあたるS2などのものに比べ一層大きくなったファインダーには、35mm、50mm、105mmのフレームが搭載されています。
シャッター速度は最高で1/1000秒など、S2を踏襲する部分も多々ありますが、
ダイヤルなどの細かい部分が、少しずつ使いやすいように改善されています。
今回使用したレンズは、画像にある、50mm F1.4、3.5cm F1.8、10.5cm F2.5の三本です。
まずはガード下の物陰から50mmで一枚。
すこし絞り込んでみました。
コーティングが現代的なことなどもあるのかもしれませんが、
ガウス型の典型的な描写を想像していたので、端整な描写に驚きました。
川岸に群生する菜の花がなんとも春らしかったので、フレーミングしてみます。
ハイライト部に薄くフレアが渦巻いて、若干オーバー気味だったこともあり、
柔らかい一枚になりました。ボケも思っていたほど癖がなく、扱いやすいです。
3.5cmに付け替えて、沿道を散策します。
50mmと同じくガウス型の構成です。当時としては随分明るいレンズでした。
開放付近だと周辺で画像のような流れなども出ますが、
この描写もなんだか好きで手放せません。
最短は約0.9mですので、明るいF値も相まって、広角ながら、
ある程度ボケを生かしつつ写真を撮っていくことも可能です。
最後は10.5cm F2.5での一枚。ゾナータイプのレンズです。
ボケに定評があるレンズですが、ピント面はほどよいシャープネスが残ります。
今、始めるS型ニコン
一般的にS型のニコン製レンジファインダーカメラの中で、最高傑作との呼び声が高いものといえば、Nikon SPです。
これは、既存のS型ボディに、ニコンの持てる技術を余すところなく詰め込んだ、まさにスペシャルでプロフェッショナルな、完全系モデルです。
ではS3はというと、これはS2の後継機というところが概ねの認識となります。
前述のように、もともと昭和の時代にオリジナルが発売されたS3。平成に入った2000年にS3が、SPは2005年にそれぞれ限定台数で復刻しましたが、発売当時の手書き図面から、現代の技術で再び命を呼び起こしたそうです。
私の所有するS3も、復刻版のいわゆるS3ミレニアムモデルです。
また、ニコンS型シリーズは、当然ライカM型ほど知れ渡ってはおりませんが、魅力的なレンズが多数展開されています。
そして何より魅力的なのが、Zマウントのボディが新規に発売され、各社からアダプターなどが出そろい始めつつある今、
マウントアダプターを介して、Sマウントレンズをあたかも純正の組み合わせのように使うことができるのです。
いやはや、素晴らしい時代に生まれました。
当時、ニコンが持てる技術をつぎ込んで完成させた一眼レフの裏で
同じプロフェッショナルな機材として、S型ニコンは静かに歴史を歩んだのです。
やがて、ライカM型の地位が完璧なものとなり、他社からも高い評価を得るレンジファインダーカメラが発売され、ニコンがレンジファインダーカメラの開発から離れた、その時まで・・・。
そんな歴史の一片をたぐりよせるような感覚も味わうことができます。
昭和から平成、平成から令和へと移り変わり、こういったカメラやレンズをそろえるのは、一期一会の機会が多いのも事実です。
しかし、そういった中で手に入れた愛機には、一段と愛着がわいてきます。
これからの新しい年号で始まる生活をあなたのとっておきの相棒と共に、いかがですか。
▼今回使用したカメラとレンズにフイルムはこちら▼
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W NIKKOR 3.5cm F1.8
NIKKOR S 50mm F1.4
NIKKOR P 10.5cm F2.5
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