【Leica】M3と歩む 6
あけましておめでとうございます。
これからも皆様に楽しんでいただける記事を掲載できるよう努めてまいりますので、本年もマップカメラをよろしくお願いいたします。
これは筆者が様々な不具合を抱えたM3を購入し、2023年ものんびりと歩いていくお話です。
Leica M3,Voigtlander HELIAR classic 50mm F1.5 VM
雨の日が好きです。
私が生粋の雨男というのもありますが、雨の日には艶のある写真を撮れるからです。
「雨の日の写真は雨の日にしか撮れない」と考えると、雨の日も晴れの日と同じくらいありがたく感じられるような気がします。
今回はそんな雨の中、中日本をM3と歩んでいきます。
濡れた瓦屋根の艶感を非常に美しく描写すると同時に、空のハイライトに引っ張られて鰹木が滲み切っています。
今回はKentmereというフィルムを使いましたがISO100ながら粒状感があり、ハイライトからシャドーまで粘ってくれる性格のようです。
Leica M3,Voigtlander HELIAR classic 50mm F1.5 VM
雨の日の中でも特に好きなのが山間部。
雨の日の山間部では山々にかかる雲の濃淡を見られます。
色情報を捨て、白と黒で描写するモノクロフィルム。
私が最も大切にしているのは物の質感です。
山の間にかかる雲でもどっしりと横たわっているのか、ほんの少しずつ千切れたようにあるのか。雲の位置は高いのか、麓まであるのか。
今回は空が明るく雨もまばら。1段オーバーくらいで撮影し雨上がりのような雰囲気の1枚になりました。
Leica M3,Voigtlander HELIAR classic 50mm F1.5 VM
天橋立を見に行きました。
と言っても肝心の天橋立には目もくれず、堀を通る船や回転する橋に見惚れ、気が付けば天橋立らしい写真を撮らぬまま現地を後にしました。
ミスショットを嫌い今まで動き物はフィルムで撮らないようにしてきましたが、どうしてもこの景色を記録に残したいと思い置きピンで撮影。
柔らかな波がヘリアーの周辺部の甘さとマッチしてくれました。
Leica M3,Voigtlander HELIAR classic 50mm F1.5 VM
ほんの小さな丘に登りました。
あまり人が通らないのか、道は荒れ階段は崩れ坂は苔で滑ってなかなか前に進めません。
やっとの思いで登って見えた景色はより美しく感じます。
M3で撮った写真も同様で、じっくりピントを合わせ、露出を取り、構図に思案したからか非常に魅力的に見えます。
Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
サムネイルにも使用した1枚です。
岩に波が当たり水飛沫があがるところを見ていると、いつも脳内で東映の「荒磯に波」が思い出されます。
荒々しい波から勝手に日本海で撮られたものだとばかり思っていましたが、調べてみると千葉の犬吠埼で撮影されたようです。
岩が波で削られ角が丸くなった下段の岩、あまり波が当たらないのか角が立った上段の岩。
波が上がりそうなタイミングでシャッターを切りましたが、なかなか上手くいかないもので数枚撮った中でこれが最も波が上がっているものでした。
Leica M3,Voigtlander HELIAR classic 50mm F1.5 VM
最後はヘリアーらしい滲みと共に。
最近、カラーフィルムを使うことがめっきり減りました。
稀に気まぐれでカラーフィルムを使うこともありますが、基本はモノクロフィルム、それもISO100ばかり。
フィルムで撮る時に色について考えるのが煩わしい、モノの質感やレンズの写りの事だけを考えたい。そんな思いからモノクロフィルムを好んで詰めています。
また、圧倒的なラチチュードを持つモノクロフィルムであれば、デジタルではカバーできない領域を担ってくれます。
どんどん写真としての原点に近付いている気がします。
そのうち「”原点”を体験したくて部屋に穴をあけて乾板に感光塗料を塗りました」なんて言い始めるかもしれません。
まぁ、冗談はこれくらいにして。
ほぼモノクロ専用機となったM3ですが、モノクロ用のボディがあるならカラー用のボディもあって然るべきです。
そんなわけで新しく迎えたボディ、Leica M(typ240)です。
今年はデジタルをM(typ240)、フィルムをM3とゆっくりのんびり歩んでいきたいと思います。
本年も一年、何卒よろしくお願いいたします。