
Leica SL3やQ3に搭載された最先端のイメージプロセッサー「Maestro IV」では
画像処理の高速化や低ノイズに寄与し、Leica独自の色再現性を実現しています。
そして、Maestro IVでは新たな機能として撮影者の好みに応じて変更可能なカラープリセット「Leica Looks」が使用できるようになりました。
この連載ではそれぞれ独自のカラールックを持つLeica Looksに焦点を当て、その魅力に迫っていきます。どうぞお楽しみください!
最初に選んだLeica Looksは、”Essential Looks”から「Leica Brass」を選択しました。
「Leica Brass」は、中間調とハイライト部にゴールド系の色合いをプラスすることで、
夕方の時間帯のあたたかな雰囲気をもたらすようなルックになります。
ちょうどフィルムでいうところの、Kodak Gold 200に近いようなイメージでしょうか。
今回の撮影では、ボディはSL3、レンズはズミルックス M50mm F1.4 初期型をアダプターを介し装着しました。
それでは早速撮影した写真を見ていきましょう。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass, SS:1/250,F1.4,ISO100 )
撮影地へ向かうバスの中から窓越しに撮影した一枚。
バスの窓にブルー系のフィルムが張られており、そちらの色合いが濃く出ていますが、
空のハイライト部ではイエロー系のブラスカラーが乗っていることがわかります。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
花畑があり、そこに近づいて撮影しました。初代50mmズミルックスの柔らかな描写と周辺減光、そしてBrassの色合いから、最新鋭のSL3というカメラを使いながらもフィルムで使っているような心地です。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
今回、Leica Looksの色作りを体感する企画ということで、色味の調整は全く行っていませんが
多少アンダー、オーバーな状況に合わせてハイライト・シャドーの調整を行っていました。
その際、6000万画素という高密度の画素ピッチとは思えない粘り強さを感じました。
例えば、以前の経験からいくと、「ここのハイライトの情報は残っていないだろうな…」と思っても、
スライダーを動かすとしっかりとディテールが残っているのです。
この辺りは、15ストップものダイナミックレンジを実現したセンサーとMaestro IVの利点と言えましょう。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
ところで、私は通称「貴婦人」だなんて呼ばれるこのレンズを、今回初めて使用しました。
前述した通り、開放ではかなり柔らかな描写でじゃじゃ馬感さえも感じます。
個人的に感じたレンズの印象は、貴婦人という優しい印象ではなく、「この描写で使いこなせる?」と尋ねられているような、そんな感覚。
でも不思議と、嫌な描写ではないのです。
こういったところが、貴婦人なんて呼ばれる所以なのでしょうか。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F2,ISO100 )
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
私は正対した写真が好きなので、必然的に遠景の撮影が多くなります。
このレンズは、無限遠のディテールよりも、近~中距離で絶妙な立体感を演出するのによいレンズだと感じますが、
対話するように、あえて開放で、無限遠で使い続けてみたりします。
レンズの描写も何もかも受け入れながら使用する事で、だんだんレンズの性格が分かってくるような気がします。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F11,ISO100 )
一方で、絞り込んでみた写真がこちら。
周辺部にやや甘さは残りますが、絞り込めば当然これだけシャープになります。
開放が柔らかい描写をするレンズだからこそ、私は開放で使いたくなる性分ですが
このように、絞り込んだ時の描写の二面性も楽しめるのが良いですね。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
今回、ズミルックス M50mm F1.4 初期型とSL3で撮影する前に、どこで撮影するのが良いんだろうと考えていました。
私の頭の中に浮かんだのは、ずばり水面のイメージ。
このレンズの開放の柔らかさが、瑞々しい水面の光沢感や透明感の再現に寄与するのではないかと考えたわけです。
Leica SL3 + ズミルックス M50mm F1.4 初期型 (Leica Brass,F1.4,ISO100 )
最後に辿り着いた浜辺で、一人たそがれてみます。
そんな広い砂浜で一人何気なく撮ったこの一枚が、個人的に結構気に入っています。
どこから来たのか分からない、大きくも無く小さいとも言えない石。
ズミルックスの柔らかな描写と立体感を良く表している一枚だと感じられるのではないでしょうか。
Leica BrassのカラーとSL3、そしてズミルックス M50mm F1.4 初期型の描写はいかがだったでしょうか。
他社メーカーのカラープリセット系機能と比べて、特定の領域だけに上手く色をプラスすることで、
フィルムをシミュレートしているというような、シネマルックとも言うような
独特の使い心地があり、個人的にはかなり気に入りました。
SL3の視認性のよいEVFや、タッチパネルも搭載された背面のチルト液晶により
撮影画像の確認までもかなりスムーズで直感的です。
Leica LooksにはBrass以外にも様々なカラールックが存在します。
皆様も是非SL3やQ3など、Maestro IV搭載機をお手に取り、ご体感いただけますと幸いです。
■今回ご紹介した機材はこちら↓