都心からおよそ1時間半。
手軽に行ける観光地として人気の小田原でスナップ散歩をしてみました。
ファーストカットは「小田原提灯」として有名な駅構内の巨大提灯。
実は昨秋の台風19号により破損してしまい、修理のため一時撤去されておりました。
今年の8月末に修理を完了し、現在はふたたび小田原のシンボルとして観光客を出迎えています。
7月には「箱根登山鉄道」の全線復旧も果たし、小田原〜箱根エリアは完全復活を遂げました。
駅を出てすぐ、右手を向くと小田原城の天守が見えます。
今回のカメラはNikon Z7とNIKKOR Z 50mm F1.8 Sを選択しました。
空気を写し取るレンズとして有名なNIKKOR Z 50mm F1.8 Sと、
高画素フルサイズボディとしてはトップクラスの性能を誇るNikon Z7の表現力を知るために選びました。
2020年末には次世代のZ7Ⅱの発売を控えていますが、その前に初代機の実力を見てみましょう。
季節は秋を迎えて、商店街のディスプレイも秋めいてきました。
ガラス越しの被写体は手前の写り込みと奥の背景とがレイヤーになっていますが、NIKKOR Z 50mm F1.8 Sは評判通りの「空気を感じる」写りをみせてくれました。
深度を浅く撮ってローアングルから狙い、奥行きを表現しました。
背景のボケの具合が非常に柔らかく、わざとらしさを感じません。ピント面のシャープさを追求するとボケの柔らかさが犠牲になりがちですが、このレンズはその両立ができていると思います。
今回の散歩の目的は、小田原城のすぐ近くにあるカフェです。
神社の境内に併設されており、落ち着いた雰囲気の中でコーヒーを頂けます。
都会の騒々しさから離れて、ゆっくりとした時間を過ごすのに最適です。
この写真を撮り終えた直後、背面モニターで見た瞬間「凄い」と息を飲みました。
薄暗い境内の中、僅かな光の諧調を豊かにとらえています。微妙な露出を狙った場合、中途半端な画になりがちですが、レンズとボディ双方の表現力の高さが後押しして、このようなシチュエーションの写真も積極的に狙いたくなりました。
特にZ7のファインダーの良さに助けられました。以前からファインダーの質の良さは噂に聞いてはいましたが、まさにレフ機とも肩を並べる視認性でした。
当日の天候はくもり。コントラストの高い写真は狙いづらい日でしたが、Z7の諧調表現の豊かさやNikonの色づくりの良さのおかげで「わび・さび」を感じられる写真が撮れました。
普段だと50mmでの画づくりに苦戦することが多いのですが、この日は不思議とそんなことがありませんでした。NIKKOR Z 50mm F1.8 Sの描写力の高さにどんどんシャッターを切ることができました。
これだけシャープかつボケが豊かなレンズなのに、質量が約415gと軽くコンパクトなのは驚異的です。
見た目と同じように、すんなりと写ってくれるのが50mmの特徴です。
すんなりと写るがゆえにレンズの基本性能を問われるのが50mmの宿命とも思います。
どんな設計の50mmを用意しているかでそのメーカーのレンズに対する設計思想が見えてくると思います。
開放値F1.8と昨今のレンズスペックとしてみると控えめな数値ですが、いたずらに開放値だけを求めるのではなく、総合的な写りを考えられて作られたレンズと言えると思います。「質実剛健」と言いますか、Nikonらしい作りだと思います。
境内の中にあるということで、普通のカフェとは少し空気感が違っていたように感じます。
気のせいか、外の空気よりもすこしヒンヤリとした肌触りを感じました。
歩き回っていたせいで体がすこしほてっていたせいか、「涼」を感じたくなりアイスコーヒーを注文しました。
帰り際にみつけた落ち葉の色づきを見て「秋」を感じました。
近頃は季節が一瞬で通り過ぎていくような気がします。
この秋を感じられるのもあとわずか、すぐにでも冬がやってくると思うと、短い秋を写し取るためにもっとZ7と出かけてみたいと思いました。