いつも『新品・中古デジタルカメラ人気ランキング』をご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。
毎回、月ごとの販売数でランキングを行っておりますが、今回はそのまとめとして2022年度(令和4年度)、つまり2022年4月より2023年3月末までの1年間のランキングをお知らせしようと思います。
2022年度はまだまだ予断を許さぬ新型コロナの感染拡大への警戒に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など、先行きへの不安ばかりが感じられるスタートでした。
様々な物資の供給が滞り物価も上昇。その波はカメラ業界にも及び、相変わらずの商品供給不足や価格の高騰という苦しい状況が続きました。
ただそんな危機的な状況の中でも各メーカーのカメラ開発への情熱は衰えることなく、様々な魅力的な新型機を発表することでユーザーに希望を与えてくれました。
年度後半には新型コロナの脅威も少しずつ薄らいでいく感があり、それに伴い人々の行動規制も徐々に緩和されていきました。そう、待ちに待った「お出かけ」の解禁です。
年末年始の帰省や旅行も可能になり、さらに外国からの旅行客も増加、一気に街の賑わいが戻ってきました。
新型機の発表・発売もさらにペースを上げ、毎月のように新たなカメラが登場しランキングを盛り上げてくれたのは記憶に新しいところです。
ではこの1年間の新品・中古ランキングを紐解くことで、あらためて2022年度を振り返ってみましょう。
2022年度の新品部門を制したのは『SONY α7IV』、なんと2年連続の年間1位です。
2021年12月末発売のα7IVが、たった3ヶ月あまりで2021年度の年度ランキングを制したのも驚きでした。
しかし今回、その後登場した強力な新型機を寄せつけず、2位以下を大きく引き離す形で2年連続の栄冠に輝くとは… 全く想像できませんでした。
実はこのα7IV、新年度スタートの2022年4月は前月2位から一気にランクダウン、なんと10位以内から姿を消してしまったのです。原因はやはりメーカーの供給不足。
圧倒的人気を誇っていた機種までもが… と、当時事態の深刻さに愕然としたことを覚えています。
それでも翌5月には再び1位返り咲きを果たし、その後は大きな供給不足に陥ることもなくランキングに定着しました。2022年度内で3度、月間1位に輝いています。
後半こそ続々と登場する新型機の後塵を拝する形になりましたが、安定した供給もありコンスタントに売れ続けたことが1位獲得の要因です。
ただこの「コンスタントに売れた」というのは、勿論カメラにそれだけの魅力があって初めて成り立つことです。
ここまでミラーレスカメラというジャンルを牽引してきたSONYにあって、α7シリーズの中核を担う本機はまさにスタンダード中のスタンダードとも言うべき絶対的信頼感をもって人々に受け入れられています。
超高画素の画が絶対必要という方でなければ、どんなジャンルの撮影でもα7IVで必要にして十二分な成果が得られる、それだけの性能・機能を持っているからこその結果と言えます。
2位は『Canon EOS R7』、2022年6月23日に発売したEOS Rシリーズ初のAPS-Cサイズセンサー搭載機です。
6月に初登場1位を果たした後も上位をキープしていましたが、供給が安定せず品薄状態に。だんだん下位になることが多くなり、2023年3月にはついにランキング10位以内から外れてしまいました。
それでもα7IVに次いで年度2位は立派です。約3250万画素APS-Cサイズセンサー搭載のボディに最上位機種EOS R3並みの高性能を詰め込んだこともあり人気を集めています。供給が安定すれば今後も月間ランキングの上位に返り咲く可能性は十分あるのですが…
3位にこれまた2022年度発売の注目機、『FUJIFILM X-T5』が入りました。11月25日発売、年度後半の発売ですが2位とは僅差、逆に4位以下を大きく離しています。
発売月は同日発売のSONY α7RVを2倍以上引き離す圧倒的大差で初登場1位を獲得。ただこの月あまりに売れ過ぎてしまったのか、翌12月にはその月発売のCanon EOS R6 Mark IIに逆に倍以上の差をつけられ2位に後退。
さらにメーカーからの供給が不足してしまい、2月にはランク外に姿を消してしまう事態まで。
もし供給が安定していたら、年度1位も狙えたかもしれません。
毎月このランキングをご覧になってくださっている方ならご存知でしょうが、FUJIFILMの供給不足の問題はどのメーカーよりも深刻な状況です。
人気の高かったX-E4やX-T4などが、品薄状態のまま後継機が出る前に生産終了してしまいFUJIFILMファンのみならず多くの人を驚かせました。
今回の年度ランキングで10位に入った『X-S10』(2020年11月発売)も、発売から3年を経過した今もなお根強い人気を持っているのですが、ずっと供給不足が続いている状況です。
こちらも供給があればもっと上位に入っていたことが予想されるだけに残念です。
4位に『Nikon Z9』。2021年12月末の発売で、2021年度のランキングでは10位に一歩届かず、惜しくも11位という結果でした。
Nikon Zシリーズ初のフラッグシップモデル。発売前から大変な話題になり、ご予約受付開始初期の段階でメーカーから供給不足の案内が出てしまいました。
結局初回入荷数もご予約数には到底足りない状況に。それでも初登場2位を果たしましたが、同じ月発売のSONY α7IVに3倍以上の大差をつけられることとなりました。
その後もご予約は増える一方、一時メーカーからの公式アナウンスで9ヶ月待ちと告知があったほどです。入荷したものは全てご予約者に引き渡される形となり、入荷の多い少ないによってランキングの順位が決まるといった状況が長らく続きました。
ご予約の方に行き渡り、弊社の商品ページに「在庫あり」の表記が出るようになったのは2022年10月になってから。年度の後半に入っていました。
供給が安定するようになると、毎月上位をキープするようになり今回の年度4位という好結果につながりました。
60万円以上のフラッグシップ機が4位に入るというのは、多くのカメラ愛好家が集うマップカメラならではのランキングともいえます。
5位は『Canon EOS R6 Mark II』、2022年12月15日の発売でした。
初登場時X-T5を抜き1位を獲得したことは先に述べましたが、その後も1位、2位、2位と高い順位をキープしました。
発売翌月こそメーカーからの供給が少し不足気味だったものの、その後は安定した入荷があり、発売から4ヶ月に満たないながらも5位に食い込んできました。
今後も上位を期待できるカメラ、新年度もランキングを大いに賑わせてくれることでしょう。
6位に『Canon EOS RP』、こちらはなんと2019年3月の発売です。
4年前に発売されたカメラが年度ランキングの6位に入ったのですから驚きです… ということを実は昨年度のランキングでも書いていました。2021年度のランキングでは3位を獲得しています。
このEOS RP、発売から2年ほどはあまり注目を浴びることはありませんでした。小型軽量を売りにしていたのですが、発売当初それに見合う小型レンズが少なく、その良さを活かしきれていませんでした。
注目を集めるようになったのは2021年4月頃から。前年7月・8月に相次いで発売されたEOS R5・EOS R6が供給不足を脱し市場に出回るようになり、Canonのミラーレス機EOS Rシリーズが人々に定着したことが大きな要因だと思われます。
発売から時間が経ち価格が下がったこともあり、フルサイズセンサー搭載のサブ機またはエントリーモデルとして急激に需要を高めていきました。
2022年度に入って最初の月間ランキング、つまり2022年4月のランキングでは当ランキング史上前代未聞ともいえる事態が。並みいる人気機種を抑えてEOS RPが1位を獲得したのです。
その後も10位以内に定着し、一時品薄状態になるほど人気を維持し続けました。さすがに年度後半は失速してきた感がありましたが、それでも今回6位に入る結果になりました。
7位は『SONY α7RV』。2022年11月25日発売、2022年度新製品組の1台です。
発売日がFUJIFILM X-T5と同日、残念ながらX-T5に2倍差をつけられての初登場2位となりました。
しかし約6100万画素という超高画素モデル、価格もX-T5の倍ということを考えると、大変な人気ぶりであったことが分かります。タイミングが悪かった…
その後も順位の上がり下がりはありますが10位内をキープしています。供給は安定していますので、SONY α7シリーズの上位モデルとしての人気をどこまで維持できるか今後の動向に注目です。
8位には『Canon EOS R6』が入り、EOS R6 Mark II と2世代に渡るランクインが実現しました。
年度前半のCanonの好調を支えたEOS R6、後継機EOS R6 Mark II へのバトンタッチも鮮やかに決まりました。
9位に2022年9月29日発売の『FUJIFILM X-H2』がランクイン。
7月にX-H2S、9月にX-H2、そして11月にX-T5と新製品を立て続けに発売したFUJIFILM、それだけを見るととても活気に満ちているようにも感じられますが…
X-H2Sは発売月こそ初登場1位を獲得しましたが、その後早い時期に失速してしまいました。年度ランキングは15位。
X-H2は月末の発売だったことも響き、初登場1位はSONY α7IVに阻止されてしまいました。翌月には雪辱を果たし、年内の売れ行きは好調でしたが、後発のX-T5に人気面では一歩及ばずといったところ。
そしてX-T5は前述の通り供給不足に苦しんでいます。
同じく供給不足に長期間苦しめられているX-S10が10位にランクインしたことは、先に述べさせていただきました。
さて今回、ランキング10位以内に2022年度発売のニューモデルは5機種ということになりました。前回2021年度は4機種でした。
20位までで見ても、前回合計6機種に対し今回は計8機種に。
ロングセラー機の存在も重要ですが、やはりその年度に出た新機種がランキングに多く入る方が活気が感じられるというものです。
中古部門の第1位は、『SONY α7III』でした。
年度の人気ランキングを始めたのは2020年度からになりますが、α7IIIはなんとその2020年度から3期連続で中古部門第1位を獲得しています。
2020年度は年間7度、2021年度には実に年間11度、月間ランキング1位を獲得しています。当然、両年とも年度ランキングでは2位以下を大きく引き離して1位となりました。
今回はというと、5回月間1位を獲得しています。しかし年度の前半9月までのことで、10月以降は中古ランキングでも後継機α7IVに上位を譲るようになりました。
結果としてそれまでのような圧倒的な大差をつけての1位ではなく、2位にかなり迫られての1位でした。
とはいえ、3期連続というのは大変な偉業です。(年度の集計を取る前の2019年度も常に上位にいる存在でしたので、ひょっとするとひょっとしたかもしれませんが…)
2018年3月発売後、常に新品ランキングで上位に位置していたα7III。あまりにも売れたために中古商品数も増加、新品部門で上位にいる間に中古部門でも1位を獲得するという事態が起こりました。
SONY勢がその多様なラインナップでランキングを占領していた頃、メーカーのキャッシュバックキャンペーンとマップカメラの中古セールによって、新品・中古どちらが売れるか決まる、なんてこともありました。
時は流れ、今や他メーカーの激しい追い上げにあい、以前のような圧倒的強さは感じられなくなってしまいました。それでも新品・中古両部門で1位を獲得するのですから、恐るべしSONYの底力。
2位『X-T4』、3位『X-S10』とFUJIFILM勢が続きました。
ここまでさんざん述べてきました通り、どちらも新品がメーカーからの供給不足により入手困難な時期が長く続きました。
欲しい方は中古を求めるしかなかったのですが、事態が回復しないままX-T4は2022年9月に生産完了になってしまいました。
11月にX-T5が登場すると、お買い替えによりX-T4の中古商品数が増え、2023年1月と2月の月間中古ランキングで1位を獲得。
X-T4に関しては年度の前半と後半で若干様相が異なりますが、終始中古が売れ続けての年度2位です。
X-S10においてはもっと事態が深刻で、年間を通して新品の供給不足が続いていました。
中古商品も品薄状態に陥ることが多々ありましたが、コンスタントに10位以内にランクインしていたことが今回の好結果につながりました。
発売から2年半近く経過してもなお人気の高い機種なのは確かなのですが、新品が潤沢にある状態だったらこの順位にはならなかったように思います。
4位に『Canon R6』。2022年11月、12月に1位を獲得しました。
年度前半はEOS R5とともに新品ランキングの上位に位置することが多かったのですが、2022年6月EOS R7発売頃から徐々にランクを落としていきました。
そして11月のEOS R6 Mark II予約開始、12月発売に合わせ、EOS R6の中古販売数が増加することになりました。
EOS Rシリーズは第2世代から第3世代へ、そして中古部門でも活躍と良い流れが出来ています。
Canonはその他に7位『EOS RP』、10位『EOS R』といった第1世代2機種も10位以内にランクインさせました。
EOS RPに関しては、先に新品部門で年度前半の好調ぶりを詳しく紹介しました。中古部門でも同様で、2022年8月にはランキング1位を獲得しています。
しかしそれがピークでその後は下降、10月以降はランク外が続きました。
EOS Rも息が長いモデル。EOS RPのように1位獲得!なんていう華々しさはありませんでしたが、コンスタントに月間ランキング10位内に残り続けました。
順位を戻し一気に紹介。5位『α7C』、6位『α7IV』、8位『α7RIV』、9位『α7RIII』と、ランキング後半はSONY勢が占めました。
α7Cは2022年10月に中古月間ランキング1位を獲得しています。
α7IIIに迫る時も多々ありましたが、中古商品数がα7IIIほど潤沢とはいかず品薄状態になってしまったのが順位に表れてしまいました。
α7IVが中古ランキングに顔を出すようになったのは2022年8月から。そして10月にはα7IIIを上回るようになっていました。
今後はこのα7IVが、SONYの中古の売れ行きを牽引していくことは確かなようです。
SONY α7シリーズの高画素機、α7Rシリーズも世代交代が進みました。
年度前半はα7RIII、そして後半、特に11月α7RV発売頃からはα7RIVが月間ランキングに名を連ねるようになりました。
結局SONYは2022年度ランキング10位以内に、2021年度同様5機種をランクインさせました。
終わってみれば、やっぱり強かったSONYということでしょうか。
ラインナップの多様さや、世代交代が上手くいったことが強さの要因と思われます。
しかし2021年度はSONYだけが持つ強みでしたが、2022年度に関してみると同様の兆候がCanonにも見られます。
今回の年度ランキングから今後の展開を想像してみるのも楽しそうです。
さて、最後になってしまいましたが、やはり触れずにはおかれません。
Canon EOS 5D Mark IVが、年度中古ランキング11位… ついに10位以内から一眼レフ機の名が消えてしまいました。
2020年度はEOS 5D Mark IV(3位)、Nikon D750(5位)、EOS 5D Mark III(10位)の3機種。2021年度はEOS 5D Mark IV(同数3位)、D750(5位)の2機種が10位以内にランクインしていました。
やはり来てしまったか… それが率直な感想です。月間ランキングでもいつ起きてもおかしくない状況であるのは皆様ご存知のことかと。
でも当マップカメラであれば、まだ程度の良い一眼レフ機が手に入れられます。あの光学ファインダーの見えが忘れられない、という方は是非!
『2022年度 新品・中古デジタルカメラ人気ランキング』いかがでしたでしょうか。
2022年度は、前半と後半で世間の様相ががらりと変わった1年でした。
後半様々な規制が緩和され「お出かけ」も解禁となった時、観光地や繁華街の様子が映像に映し出されると、いかに多くの人が手にカメラを携えているか!
皆がこの時を待っていたということがよく伝わってきました。はたしてあの中にマップカメラで購入されたカメラもあったでしょうか、なんて。
早いもので、新年度ももう4月末に。いよいよ待ちに待ったゴールデンウィークがやってきます。
今回の年度ランキングが、これから新しい相棒を探そうという方のお役に立てたら幸いです。
マップカメラから旅立ったカメラが、皆様の楽しいひと時とともにありますように。