フルフレームの頂。『Leica SL2』で撮る『Carl Zeiss Otus 85mm F1.4』
2023年02月11日
今回紹介するのは『Leica SL2』と『Carl Zeiss Otus 85mm F1.4』です。あらゆる被写体をスチル・ムービーの両面で繊細に、克明に捉える『Leica SL2』。強靭なマグネシウムボディにボディ内手ブレ補正を搭載、4,000万を超える画素数に加え5Kでの動画撮影も可能なライカの切り札とも言える1台です。
中判写真と同等の解像感・立体感を生み出すために誕生した『Carl Zeiss Otus 85mm F1.4』はマニュアルフォーカス専用とは思えぬ巨体。全てのツァイスファンを魅了する「Apo Planar」は「写す」という1点にとことんこだわった究極の1本。1846年に創業し常に光学機器メーカーのトップを走り続けてきたカールツァイス、その歴史と技術が詰まっているのです。
冒頭のカットは車のダッシュボードを写したものです。絶妙な反射のニュアンスと繊細なトーンがよく表現できていると感じ選びました。
欄干にとまるユリカモメ、餌を与える人がいるからか近づくことを許してくれました。美しい電子ビューファインダーのおかげでピタリと瞳にピントが合っています。非常に薄い合焦範囲、ボケの量・質も申し分なくお世辞抜きで中判のそれと違いがわかりません。
何でもない光景もこのように。質感・粘り・遠景描写、どれをとってもまさに一級品です。はるか上空を飛ぶユリカモメもしっかりと写っています。これで絞り開放。
絞り開放ではさすがに口径食やフレアの類も見られます。しかしそれを差し引いても有り余る描写力。
このしっとりとした質感描写。豊かな透明感と空気感はツァイスを選ぶ意味をあらためて教えてくれます。
偶然近くにとまったカワセミ。滅多にないチャンスなのに持っているのは85mmだけ。半ば諦めかけて1枚、モニターで拡大・確認して目を疑いました。2枚目がモニターの最大倍率で拡大した時に近い状態です。超望遠レンズで撮影した時と遜色のない解像感、ここまで写す必要があるのかと苦笑いするほどです。
この迫力のフォルムと重量感は、ユーザーの写りに対する期待に応えるため。合理的かつ論理的な『Carl Zeiss Otus 85mm F1.4』を十全に味わうことができました。個人的に感じる『Leica SL2』最大の特徴はその美しい電子ビューファインダーです。開放絞りF1.4での撮影もピント位置の拡大確認なく行うことができ、9割近く狙った通りにピントが来ておりました。「短望遠レンズ」とカールツァイスのホームページにある通り、遠くの被写体をまるで目の前にあるかのように写す力が確かにあります。距離を問わない至高のレンズに現代最高レベルのカメラ、贅沢過ぎる組み合わせが新たな世界を垣間見せてくれました。
Photo by MAP CAMERA Staff