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伝説の再来。『Leica SL2』で撮る『Noctilux M50mm F1.2 ASPH.』

伝説の再来。『Leica SL2』で撮る『Noctilux M50mm F1.2 ASPH.』

2023年02月19日

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

今回ご紹介するレンズは『Leica Noctilux M50mm F1.2 ASPH.』いわゆる復刻非球面です。ズマロンM28mmF5.6、タンバールM90mmF2.2に続き復刻第3弾となる本レンズは2021年、鮮烈なデビューを果たします。というのも、モデルとなった初代ノクティルックスはあらゆる面でプレミアムなレンズ。生産数の少なさや注ぎ込まれた技術の精巧さであるとか、明るさはもとより独特かつ魅力的な写りに至るまで。それらの要素をただコピーするだけでは曲者に、かといって過度に補正を加えてしまえば凡庸な50mmになり得ることは想像に難くありません。しかしそのどちら側にも踏み外すことのない理想的な復刻なのです。

さて、数世代に渡って展開されるNoctiluxシリーズの中でもオリジナルおよび本レンズは小ぶりな2本。とはいえLeicaMボディに装着した場合の存在感は大きく、選ぶ機種によってはフロントヘビーになることもしばしば。今回はLeicaが誇る至高のミラーレス機『Leica SL2』にアダプターを介して装着し撮影します。大口径相応の重たさ・大きさはどこへやら、風格のあるコンパクトレンズに様変わり。まずはモノクロで光と影を贅沢にお楽しみください。

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

今回のモノクロ写真は「モノクロHC(ハイコントラスト)」で撮影、明暗共によく耐えました。開放で数十メートル先を写すのは酷かと思いましたが、意外。ボケ部分との乖離が滑らかなおかげもあり被写体は引き立っています。肉眼を超えて精緻に記録するよりも画として完成させる能力に長けています。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

高いコントラストを逆手にとって暗部をわざと潰します。日が当たっている部分だけぽっかりと浮き上がらせるくらいのシャッタースピードで撮りましたが、よく見ると手前の手前まで本当によく粘っています。反射光の持つ濁りを表現できる底力はセンサーの余裕に由来するものでしょう。また、ここまで丹精に光を到達させるレンズも侮ってはいけません。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/400秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

モノクロで感じるパキッとした輪郭は、色を加えることによってまた違った魅せ方になります。視認できなかった滲みが写真に溶け出す事で演出される一体感、それと空気感。写真だったものが途端に視界に代わる感覚をご体感ください。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

さて、それでは色を加えます。

霞に差し込む西日を受けてなお開放。当時はままならなかった高速シャッターに許された最高の贅沢。翌日は大雪予報の甲府市、どこかスモーキーな大気によってコントラストが下がりそうな気もしましたが持ち堪えています。ごくわずかに青みを感じるナチュラルな色使いはさすが『Leica SL2』の処理エンジン。

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

私は普段50mmをあまり使いませんが、この画角で切りとる風景も悪くないことに気づかされました。F5.6まで絞ることによって四隅のビネットや滲みは大きく改善、開放の描写からは想像し難い、素直で真面目な写真を写すことも可能というわけです。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

こちらは開放の遠景撮影。周辺減光、滲む花、際立つ被写体、山、煙り。普通の風景ですが、これらをまとめあげて“1枚”に昇華する力がライカ。大口径に由来する影響のすべてがメリットと呼ばれないことは周知の事実ですが、それら要素を盛り込んでなお破綻しない作品の一例です。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

現代カメラらしい澄んだコントラストと、反対に滲み、歪み、減光といったオールドレンズの風合いが不思議に組み合わさる新鮮な写真たち。オリジナルを彷彿とさせるレンズが安定して手に入ることはとても貴重な機会で、なんとも贅沢な時代に生まれたものだと実感させられます。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

ノクティルックスらしさはこの一枚にあり。紅梅の枝は曇天に溶け、咲きつつある花のディティールを引き立たせるように当たるスポットライト。強いベクトルを持ったレンズと、それに反発することなく見事に行き先を示すボディ、それらを両手の中に感じました。乗りこなすのは思いのほか難しくありません。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

ノーファインダー、腕を心動く方へ向けてシャッターを切る1枚。カッと切りつけた様なコントラストも実は滑らかな境界線が構築しているため、写し過ぎることによる鑑賞の負担はありません。開放でこれですから、2.8、5.6、8と絞り込むにつれてまた変わった表情を向けるのも楽しみ方の1つです。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica SL2 + Noctilux M50mm F1.2 ASPH.

 

 


 

写真から得られる感動は様々。たとえば、直面した風景を緻密に残せたこと。目には映せない色が写ったこと。決定的瞬間が記録されたこと。思いもよらぬ偶然が作品になること。今回の組み合わせはそのどれとも言い難い感動を与えてくれました。驚愕の緻密性でも奇を衒った特異性でもない、かと思えば両の眼でみたままを写す誠実性というわけでもない。強いて言うのであれば、「こう写したい」という撮影者の欲を感じ取り寄り添ってくれる感動でしょうか。おそらくその理想が高く鮮明であればあるほど期待に応えてくれる万能性を持つカメラとレンズです。想像を力に変える魅惑のエンジン、ならば限界は青天井。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

 



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