SONYから新しいα、『α6000』が発売されました。
洗練されたスタイルと優れた操作性から人気を博した「NEX-7」と「NEX-6」の良いところを統合した感の新モデルは、αと名前を改めたところからもSONYの意気込みを感じます。
その進化の度合いはいかに。さっそく撮影に出掛けてきました。
春の暖かい日差し。頭上の桜を見上げると強烈な逆光で被写体が肉眼では判別しづらいシーンでも、瞬時に合うピントの合わせの早さに驚きます。
『α6000』の最大の特徴でもある世界最速AFの凄さを一瞬で体感できました。
露出をプラスに振ってハイキー気味での撮影では、白トビ感を感じさせない高精細な仕上がりです。
集光効率を極限まで高めたという新しいセンサーの能力の高さも感じとれました。
鯉のぼりの鮮やかな色彩を強調すべく「クリエイティブスタイル」をビビッドにしての撮影では、コントラストも高まり立体感も向上しました。
「α7」に似たパリッとした描写です。
画像処理エンジン“BIONZ X”により高感度にも強くなっています。
もはやISO 3200位では高感度とは言わないのかもしれませんが、生地の凹凸までしっかり見てとれるクリアな質感です。
鳩も目を逸らす様な強い日差しの中、広角端で太陽を入れたためゴーストが生じましたが、春の暖かさも伝わる見事な透明感です。
今回使用のレンズはキットレンズにもなっている「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」。
電動ズームとは思えない軽さはボディとのバランスも良く使いやすい1本です。
操作リングでの素早いズーミングはもちろん、手振れ補正の効きも良くなかなかの高性能ぶりを発揮してくれました。
さらにファストハイブリッドAFに対応した素早いピント合わせには気持ちよさすら感じます。
画面全域に配置されたセンサーが、あらゆるシーンでも瞬時に狙ったところに合焦する上、動きがある被写体でもしっかり追従してくれます。
歩きながらでも瞬時に合焦するので、ストリートスナップが存分に楽しめました。
豊富な「ピクチャーエフェクト」が、見慣れた景色も別世界に変えてくれるので、撮影に飽きる事がありません。
暗いシーンのピント合わせでは見やすいEVFファインダーが効果的です。
光学ファインダーと異なり、露出の補正がリアルタイムに反映されるので、明るさをプラスした状態でピントを確認することができます。
スペック上ではNEX-7/6と比べ、235万ドットから144万ドットと解像力が落ちていますが、ファインダー内にも非球面レンズを使用するなど光学面でしっかりカバーされているので、見やすさが低下したという感覚はまったくありません。むしろ広視野角への対応とより等倍に近くなった倍率とで隅々までよく見える様になった感じです。
また個人的に嬉しかったのが、ファインダー脇の視度補正ダイヤルです。
NEXでは飛び出たレバーを上下にスライドさせる仕様だったため、ケースからの出し入れの際にズレる事がしばしば。『α6000』では背の低い回転式ダイヤルになったのでズレる事も無く、とっさの撮影でもスムーズにファインダー確認ができました。
サイズ感や体感で感じる重さは「NEX-6」との差をほとんど感じません。ただグリップ部分が改良され指掛や握りやすさが向上しました。
またモードダイヤルとコントロールダイヤルが独立したおかげで、双方ともグリップしながら操作しやすいなど、使い勝手の向上も見逃せません。
カタログ上では気にも止めなかった事が、意外と便利と感じました。
じわりじわりとその良さが伝わってくる『α6000』からは、単にNEXの後継機とは呼べない不思議な魅力がありました。
Photo by MAP CAMERA Staff