SONYから待望の大口径標準レンズ『Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM』が発売となりました。Zeissブランド、しかも銘レンズとして名高い”Planar”銘のレンズですから、その描写力には否応にも期待がかかります。レンズ構成にも非球面レンズを2枚使用した贅沢なもの、金属外装の高品位な仕上げ、前玉の大きさと相まってクォリティの高さが伺えます。
早速開放F1.4での撮影に臨みました。開放での描写ですが…この解像感、いかがでしょうか?後ろボケも実に安定しており、花の花弁から緩やかにボケていくその美しさはこのレンズの実力のほどを伝えます。周辺減光も殆ど感じられないその描写力は、さすがの”Planar”と言えるものではないでしょうか。
最短撮影距離、0.45mでの撮影です。一瞬ピントピークがわからなくなる様な描写ですが、良く見るとグラスの中心にピンが。前後にかけて柔らかく広がるボケと、鮮烈なその色彩。瑞々しいそのグラスの質感まで実に見事に描き出しています。
何とも言えず、質感描写とトーングラデーションの奇麗なレンズです。午後の斜陽の柔らかく差し込む室内の、その微妙な陰影を捉えているが故に、中心の椅子の少し寂しそうな存在感まで伝わってくる気がします。
総じて撮影していて感じたのは、本当に光を奇麗に捉えるレンズだという印象です。画面全域にわたってしっかりピントが来ていますし、解像感も抜群。トーンの描出も奇麗なのですが、それでいてしっかりと個性のあるレンズ。その場の光が本当に奇麗に描かれるのです。背面液晶でもひしひしと感じるその描写は、撮影していてもとても楽しいものです!
RAW現像で少々手荒く現像しても、しっかり耐えてくれるのはレンズの素性が良いお陰でしょう。
フォーカスも早く、最短距離近くでもストレス無く思ったポジションにピントを持ってくる事が可能です。これは大口径の『Planar T* 50mm F1.4』の性能をしっかりと生かしてくれる大きなポイントです。
何気ないカットですが、手前のピント面の持つ立体感は素晴らしいものです。アウトフォーカスのボケていく様子も実に奇麗ですから、背景ボケも積極的に活用していけそうです。
こうした無機質な被写体は少々絞り込んで、ピントを立たせて撮影するのが普通ですが、このレンズにはそうした配慮も必要ない様です。被写体の存在感といい、コントラストといい、申し分の無い描写。標準レンズとしての完成度を追求したこのレンズ、その描写は”Planar”の永い歴史の、新たな1ページとなるものでしょう。
Photo by MAP CAMERA Staff