デジタルカメラの進化とともに進む小型軽量化の波。APS-Cセンサー機やミラーレスカメラのおかげでカメラは驚くほどコンパクトになりました。 カメラに合わせてレンズも小さくならなければバランスが悪い。そんな声に応えるかのように、高倍率ズームレンズのパイオニアのタムロンがベストセラーレンズ「AF18-200mmF3.5-6.3 XR Di II」を10年ぶりにリニューアル、世界最軽量400gという大幅なダイエットに成功し『18-200mm F3.5-6.3 Di II VC』として新しく生まれ変わりました。小さくなっても性能が低下していたら意味はありません。早速その実力を見てみましょう。
まずは都庁を見上げてのカットから。絞りF8とはいえ軽量小型の高倍率ズームでこれほどシャープに写るとは驚きでした。本レンズの実力の高さを伺わせる一枚です。
コントラストは高め。色乗りの良い綺麗な発色は高画素のデジタルカメラの性能を存分に引き出す高い解像力を披露してくれました。 自然で大きなボケ味も楽しめ、まさにオールマイティーと呼ぶに相応しい仕上がりです。
流れ落ちる水をアンダー気味で捉えた一枚。望遠側いっぱいまで伸ばすとF6.3まで明るさが下がってしまいますが、定評のあるタムロン独自の手ブレ補正機構『VC』を内蔵していますので(Nikon/Canon用のみ)低速シャッターでも安定して撮影する事ができます。
太陽の光をたくさん浴びて生き生きと育つ稲穂、ちょうど花が咲いていました。色乗りもいいですね。よくタムロンレンズの色は“こってり”という表現が使われる場合が多いですが、本レンズの味付けも純正レンズに比べ濃いめで鮮やかな発色のように思えます。
撮影日は猛暑。木陰に入るとミンミンゼミも休んでいました。よくひっくり返っているアブラゼミは見かけますが、ミンミンゼミは青緑と透明の羽根がキレイですね。本レンズの最短撮影距離は0.49~0.77mと焦点距離によって変わります。この撮影では焦点距離200mmの最短0.5mで撮影しました。ボケ味がより被写体を際立たせています。
そして本レンズのAF駆動音にも注目です。今でこそどこのメーカーでもAF駆動時のモーター音は静かになりましたが、『TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 DiII VC』は動作したのか分からないほどの高い静粛性を持ったレンズになっています。セミはAF音で逃げるか疑問ですが、ネイチャーフォトや動物写真、結婚式など音が気になるシーンでも力を発揮してくれるでしょう。
サンドアートの製作現場に遭遇。離れた場所からでも砂の質感をしっかり見ることができます。徐々に迫力が増してくる細かな作業にしばらく見入ってしまいました。撮影した写真を見てみるとフォーカスを合わせた砂の粒まで見て取れる描写です。
展望台からの遠景の眺め。湿度が高かったため少し霞んでいましたが、ビルやマンションの細かな所まで写し出しているのが分かります。
近接・遠景など色々試して撮影をしてみましたが、『TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 DiII VC』は全てのシーンで高画質な描写をしてくれました。使用してみての感想は描写性能と強力な手ブレ補正機構、円形絞り、高い静粛性と素早く駆動するAFなど全ての機能においてワンクラス上という印象です。マウント部はプラスチック製ではありますが、レンズ重量とコストパフォーマンスを考えれば納得できる仕様だと思いました。
本レンズはエントリーユーザーやファミリーユーザーがターゲットとなるレンズだと思いますが、標準レンズ代わりに本レンズを装着しておけば行楽地への旅行や日常での家族写真など幅広いシーンで活躍してくれることでしょう。望遠側が200mmまで伸びますので秋の運動会にも向いている一本です。
レンズを換えると撮れる写真が変わります。ぜひ『TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 DiII VC』で素敵な写真を残してください。
Photo by MAP CAMERA Staff