SONY α7シリーズの勢いが止まりません。先日の「α7R II」の発売から2ヶ月、今度は高感度性能に優れた「S」モデルの後継機『α7S II』が発売されました。
最高ISO感度409600を実現した有効約1220万画素のセンサーはそのままに、より見やすくなった有機ELファインダーや5軸手ブレ補正、4K動画内部処理など、最新モデルに相応しい機能を追加してのモデルチェンジに期待は高まります。さっそく撮影に出掛けてきました。
広いダイナミックレンジを有するだけあって、光のトーンをバランス良く捉えてくれます。窓から差し込むやわらかな日差しが、カーテンに透ける様子を綺麗に捉えてくれました。
4240万画素モデルの後発ゆえに1220万画素と聞くと少々物足りなさも感じますが、画素を抑えたことでエッジが立ちすぎず、柔らかな描写がとても好印象です。
明かりの取りづらい室内でも絞りを自由に設定できるのは大きな魅力。
強い日差しが差し込む室内でも光のトーンは綺麗で、白く飛んだ窓周辺部の質感もしっかり伝えています。
α7SIIの特徴でもあるISO51200という超高感度に設定した露出で手持ち撮影をしてみました。薄暗いトンネルも高感度で持ち上げることで、実際とは想像もつかない明るい画になりました。もっと人工的な雰囲気になると思いきや、静けさと冷たい空気感が思い出されるクリアーな描写に驚きます。照明から離れた右下隅の方には、少しノイズ感のようなものが感じられますが、照明付近では高い質感描写をみせています。 資料によれば明治時代に掘られたトンネルとのこと。その年期もしっかり感じ取ることができる描写力は、現場の薄暗さを知っているだけに凄いの一言です。
単に暗いシーンに強いだけではなく明暗差の大きなシーンでも、柔らかく階調豊かな画を楽しむことができます。
派手さはないものの、色乗りがよく被写体の質感を綺麗に捉えます。ポスターサイズへの出力やトリミングの必要がなければ、解像力不足を感じることもないでしょう。
T*コーティングをもってしてもフレアが生じる、厳しいシチュエーションでの暗部の強さはさすがの一言です。
ワンポイントで太陽を使うときに重宝するのが、露出補正もダイレクトに反映してくれるELファインダーです。
0.78倍に広がった綺麗なファインダーは、電子ファインダーとは思えないクリアーな画で隅々まで確認することができます。太陽を直視するのはタブーですが、太陽をどこに置くか、暗部をどこまで起こすかなど、作品の仕上がりをイメージしながら撮影できるメリットは大きく感じました。
単焦点レンズの大きな柔らなボケもそのままに伝えています。近年デジタルカメラの高画素化が進んでいますがα7SIIは1220万画素でもとてもキレイな写真を残せます。よくよく考えてみると他メーカーのフラッグシップ機も2000万画素を超えていないんですよね。そう思うと画素数という数値だけではない、そのカメラ自身の性能と画質表現が非常に高い事をうかがわせます。
暗いシーンで頼りになるのは高感度だけではありません。「α7 II」から搭載された強力な5軸ボディ内手ブレ補正が撮影をサポート。揺れる車内でも普段どおりの撮影が楽しめます。
さらに驚いたのが静音シャッター。ほぼ無音に近い静かなシャッター音でドライバーの集中を妨げることなく撮影できました。子供の寝顔を撮るなど、いろんなシーンに重宝することでしょう。
「Carl Zeiss Batis」レンズとの組み合わせでも、レンズの持つ高い透明感が分かります。
ストロボに頼らずその場の明かりだけで撮影できたおかげで、より臨場感が伝わる写真になりました。
画素加算のない全画素読み出しによる4K動画撮影が魅力の『α7SII』ですが、静止画だけでも十分魅力あるカメラに仕上がっていました。 α7Sからさらに進化した操作系とカメラとしての基本性能、抜群の高感度性能とダイナミックレンジの広さで、このカメラでしか撮れない画を撮る。そんな意気込みを持たせてくれるカメラです。ぜひ最高峰の性能をその手で確かめてください。
Photo by MAP CAMERA Staff