FUJIFUILMから新たな単焦点レンズが発売になった。35mm判換算で85mmの枠を埋める事になるこの56mmは、F1.2というAFレンズの中では最高の明るさを誇るハイスピードレンズだ。 中望遠になるこの画角のレンズは、適度な撮影距離と被写体を浮かび上がらせるボケの美しさから別名ポートレートレンズとも言われる。 現在の公開されているレンズ開発のロードマップの中では最後の単焦点となる本レンズ。その明るさと高性能なレンズが揃うフジノンレンズということもあり、どのような世界を写し出してくれるのか期待してしまう。早速撮影に赴いた。
F1.2と明るい開放値のレンズだが、周辺が崩れる事も無くキッチリ写るのには驚いた。色も綺麗で繊細さも有り、一昔前のレンズに見られる明るいが故の”甘さ”は微塵も感じられない。
しかしカリカリと固い印象はなく、どこか滑らか。 ポートレートレンズとして絶妙な解像バランスの一本だ。
前後のボケも非常に綺麗に出ている。柔らかいボケのお陰でピント面が引き立つのがお分かり頂けるだろう。気持ちのよい光が捉えられている。
完全な逆光でも、フレアが殆ど出ていない。逆光耐性もかなり高い様だ。それでいて路面の細かな質感までしっかりと描ききっている。
近接撮影もしっかりとこなしてくれる。朝の光の中で、植物の生き生きとした雰囲気を捉えてくれた。
当初はもう少し大きく重いレンズと言う印象があったが、実際に手にしてみるとバランスの良いサイズと重さに仕上がっている事が分かる。他のXシリーズのレンズと比べても同程度のサイズであり、フォーカス等も素早い事から使用感は上々だ。大口径レンズは撮影していて楽しい物だが、FUJIFILMらしい柔らかさと安定感の同居した本レンズは撮影していて安心感もあり、Xシリーズの魅力を更に引き出してくれる。ぜひそのボケとシャープさのあいまった撮影の楽しさを、味わって頂きたいと思う。
Photo by MAP CAMERA Staff