機動性に優れた単焦点望遠レンズ「300mm F4」が約14年ぶりに生まれ変わりました。
ニッコールレンズ初となる「PF(位相フレネル)レンズ」の採用により、大幅な軽量・小型化を実現した『AF-S 300mm F4E PF ED VR』は、実際に手にとってみると、そのコンパクトさに驚きます。
しかし、いくら機動性が向上しても写りが悪ければ意味がありません。早速撮影に出掛けてきました。
ファーストカットからその心配は露と消えました。単焦点レンズらしい美しいボケ味はさすがとしか言いようがありません。
ボケの中からも、本レンズの高い透明感と、描写力の高さが伝わります。
携帯性が大幅に向上したことで、スナップ撮影にも重宝します。
公園の手すりで日向ぼっこする雀。彼らを警戒させることなく大きく引き寄せることができました。柔らかそうな羽毛の様子も伝わります。
建物の上の方も手元に引き寄せる事ができます。古いレンガや年期の入った雨戸の様子を伝える質感描写は逸材です。
約4.5段分の手ブレ補正効果も見逃せません。暗いシーンでも高感度に頼らず、安定した撮影をすることができました。
せっかく小型軽量になったのですから、三脚などを持たずに気軽に出掛けたいものです。
ナノクリスタルコートレンズらしい、透明感ある描写も健在です。
新レンズの採用での色の出方の変化も全く感じられません。
望遠レンズらしい圧縮効果は、賑わう商店街の様子をより迫力を増して伝えます。
本来なら望遠レンズを持ち出さない場所でも、容易に撮影できるのは嬉しい限りです。
本レンズの使用で注意しなければならないのが、強い光源の周りに発生するリング状のフレアです。
水辺に咲くチューリップを逆光で撮影したところ、キラキラと光る水面の影響で色つきのフレアがいくつも発生しました。
「Capture NX-D」の使用で軽減可能とのことですが、柔らかいボケ味との組み合わせは美しく、作品の効果としても使えるのではと感じました。
どのレンズも綺麗に写る最近のレンズ群の中で、こういった特徴のあるレンズの方が楽しみ方が広がるかもしれません。
高速連写時に安定した露出の得られる電磁絞り機構も搭載されているので、動体の被写体を撮影する時もピントだけに集中できとても便利です。
機動性が大幅に向上した新「AF-S 300mm F4E PF ED VR」(写真中央)の大きさは、今までの「AF-S 300mm F4D ED」(写真左)と比較すれば一目瞭然。
フルサイズオートフォーカス単焦点300mmでは世界最軽量サイズになった本レンズは、標準ズームの「AF-S 24-70mm F2.8G ED」(写真右)に近いサイズ感です。
とても便利になった反面、身体に染み付いている望遠レンズは大きいという感覚との差から300mmという焦点距離がより長く感じられました。
ミラーレス機などの登場で、小型軽量化が進む機材の中でも、この大幅なサイズダウンには目を見張ります。
このサイズなら、DXフォーマット機やNikon1シリーズでの使い回しもよく、1本で幅広く活躍してくれるはずです。
他にもレンズ表面にフッ素コートを施し表面汚れが付着しにくくなるなど、小さな鏡筒には多くの先進技術が詰まっており、まさに小さな巨人と呼びたくなるレンズ1本です。
本レンズの登場で今後のラインアップも楽しみになりました。
Photo by MAP CAMERA Staff
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