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292:『Canon EF50mm F1.8 STM』

2015年05月26日

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
Canon EF50mm F1.8 STM
今回のKasyapaは約25年ぶりにモデルチェンジをした『Canon EF50mm F1.8 STM』のご紹介です。ロングセラー商品だった先代の『EF50mm F1.8II』はCanon一眼レフユーザーなら誰もが知ると言っていいほど有名なレンズ。カメラを始めてみたものの、交換レンズが高すぎる・・・そんなビギナーユーザーに『EF50mm F1.8II』は1万円でおつりが返ってくる破格のプライスでした。その写り味はピント面はシャープに、そして良くボケる。レンズを交換すると写真が変わるというカメラの面白さを多くのユーザーに教えてくれたレンズです。

今回新しく生まれ変わった『EF50mm F1.8 STM』、なんとレンズ構成は今までと全く同じという事を聞いて驚きました。では一体どこが新しくなったのか?

先代の登場が1990年(平成2年)の12月、写りに定評はあるものの、今の時代に使用するには各所に古さを感じてしまうレンズでした。ちなみにその年は任天堂のスーパーファミコンが発売になったのと同じ年です。

まずデザインを一新し、全長を縮小。強度が心配されていたプラスチックマウントも金属マウントへ変更されました。AFはレスポンスや制御性の高さが特長のSTM(ステッピングモーター)を採用、これは動画撮影にも強い味方です。ボケ味をより美しく表現するため、五角形の5枚羽根から7枚羽根の円形絞りに変わりました。そして最短撮影距離はなんと35cm!一般的な50mmレンズより10cmも被写体へ寄ることができます。

写りはそのままに、より使いやすくなった『EF50mm F1.8 STM』。さっそくその描写をご覧いただければと思います。

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
地面にはチョークで描かれた作品たち。楽しそうにおしゃべりをしながら何を描いているのでしょうか。

『EF50mm F1.8 STM』のレンズ構成は5群6枚のシンプルなガウスタイプレンズ、コントラストが高く、色乗りも良好。中央部は高い解像力を見せてくれます。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F4/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
歩くのがやっと上手になってきた息子をパシャリ。

F4まで絞ればフォーカス部はスッキリと解像し、アウトフォーカス部の柔らかいボケが被写体を立体的に見せてくれます。

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F1.8/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
絞り開放F1.8での描写力。ピントを合わせた子牛のまつげがしっかりと写し出されています。四隅はわずかながら減光しますが、これは中央部をより際立たせる本レンズの味として捉えてもいいかもしれません。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F1.8/ シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
絞り開放で真逆光の撮影。さすがにフレアは出ますが、非常に上品な出方をします。ピントを合わせた葉を見ると画が破綻する事無く葉脈までしっかり描写をしているのが分かります。逆光でのフレアを生かし、ポートレートなど撮影したら面白いかもしれません。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F1.8/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
続いてはアンダーに撮影した鎖と錠。F1.8ながら錆び付いた金属の質感が見事です。また周辺に見える減光もこの写真のスパイスとしていい味を出してくれました。この場所は大戦中に弾薬庫として使われていたとの事。一眼レフの高い表現力はまるで歴史の重みも写し出しているように感じます。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/40秒 / ISO:500/ 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM

トンネル出口から差し込む光がまるでSF映画のワンシーンのようです

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
ポニー乗馬体験を楽しむ子供達。それを見る親も嬉しそうにカメラを向けていました。

写真左側にすこしコントラストの低下が見られますが、日差しが強かったためレンズに斜光が入ったのかもしれません。今からの季節、屋外で安定した描写を求めるなら別売りのレンズフード『ES-68』を装着する事をオススメします。

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
Canon独自の色表現も相まって鮮やかな色彩を写真に残す事ができます。F2.8に絞ったのですが、さすが円形絞り。ボケ味もキレイですね。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
ひっくり返って大号泣。それを見て「お!いい顔だね!」と笑いながらシャッターを切る私。

本レンズはポートレートにいいレンズですね。通常の50mmよりあと半歩寄る事ができるので、F2.8のピントの立ちと深いボケ味を同時に表現する事ができます。

 

Canon EF50mm F1.8 STM 絞り:F1.8/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon 6D + EF50mm F1.8 STM
『EF50mm F1.8 STM』の表現力はキットのズームレンズでは絶対に写せない世界を持っています。絞りによって変わる描写、被写体との距離感などレンズの使い方を学べる教科書のように感じました。

 

Canon EF50mm F1.8 STM
『EF50mm F1.8 STM』はベーシックながら非常に味わいのある一本でした。少しクセのある開放描写はハイグレードレンズでは表せられない独特の魅力があるもの。新旧様々なレンズを使う私には「最新光学のレンズよりも個性がある」と気に入ってしまいました。AFは迷う事無くキチッと決まり動作も滑らか。近接撮影に強いのも嬉しいですね。使用していて寄り足りないと感じる事がありませんでした。

今回は試写にフルサイズ機である6Dを使用しましたが、X8iや70DなどのAPS-C機に装着すれば約80mm相当の画角となりポートレート撮影により適したレンズになります。手軽にボケ味を楽しむ事のできるレンズとして作品撮影に活躍してくれることでしょう。

『EF50mm F1.8 STM』は価格だけでなく描写も素晴らしい一本でした。このレンズはキットのズームレンズしか持っていないCanonユーザーの皆さんに是非使っていただきたいです。レンズを換える面白さ、写真を撮る面白さを、自分の写真が大きく変わる面白さをあなたに教えてくれることでしょう。

Photo by MAP CAMERA Staff

 

 

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